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【映画鳩】哀れなるものたち

公開後そこかしこから良い評判が聞こえてきていましたね。へ〜……くらいにしか思っていなかったのですが、ちょっと前に作っていた映画公開見たいものリストの中に本作が入っており(すっかり忘れていた)、まあそれなら見てみるかあと映画館まで行ってきました。


(注:以下ネタバレあります)


いつものことながら思えば情報を仕入れずに見に行ったため(大人の身体の中に子供の脳が入っている?程度)、屋敷の中にキメラのような動物が出てきたあたりで、どんな世界観???になっていました(すぐに慣れましたが)。この状態で観に行ってもわかり悪いところがあるわけでもなかったので、それはとても良かったのかも。
様々な方が評価している通り、映像や美術が美しく、世界観が一貫しているので、非現実的なものも割と違和感を感じにくい。

女性が個人として自立していく物語、ともとれるけれども、学習と成長という過程の中で、恥じらいや罪悪感、倫理観のようなものを一切獲得していかないのはどうなんだろうと思った。ナオミ的な(痴人の愛)、自由奔放なミューズということなのかもしれないけれど、それは後天的な話であって、学習と成長という過程をみせるならば、それらの獲得自体は必要なのでは? 男性にとっての理想的な(都合の良い)女性を天性のものとして描きたいということなんだろうか(設定されている時代の倫理観かな?とも思われるけど)。結局そういった、人間らしさの一部ともとれる感情の欠落を起こしているという点で、ゴッドの実験は一部失敗ともいえるのではないかなあ。ただしそういった獲得と葛藤を描いても、この物語においてはノイズとなりうる、ということも、分かってはいる。

ベラが旅路の中で、いろいろな経験を積み、知識を吸収し成長していき、ふるまいが変化していくのを見るのは面白かった。個を獲得し、喜怒哀楽をひとつずつ覚え、身体の使い方が滑らかになっていくところなど。
ファンタジックな、というかSF的な話は嫌いではないし、好きな方ではある。映像も美しくて見応えもあったけれど、少し引っかかる部分が多いな〜という感じでした。

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