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【無罪】紀州のドン・ファン事件

2018年5月、和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏が覚醒剤を飲まされ急死した事件は、日本中を驚かせた。彼の死因が「覚醒剤中毒」と判明し、2021年には元妻・須藤早貴被告が殺人容疑で逮捕されたが、裁判の結果、2024年に無罪判決が言い渡された。この事件は法廷での結論が出たものの、数々の謎や噂が解明されないままとなっている。

華やかさの裏に潜む孤独の人生

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助氏は、50億円を超える資産を築き、派手な生活で知られた。彼の人生には次のような側面があったようだ。

「金でしか愛されない」という自嘲

野崎氏は金銭を通じて人間関係を築いてきた自覚があり、その孤独を埋めるために女性との交際を繰り返していた。

遺産をめぐる不安とトラブル

野崎氏は生前から、自身の莫大な遺産をめぐるトラブルを懸念し、遺産の大部分を田辺市に寄付するとしていた。この方針が事件の背景に影響を与えた可能性も指摘されている。

元妻・須藤早貴被告が怪しまれた経緯

野崎氏の急死後、須藤早貴被告が逮捕に至るまでにはいくつかの疑念が積み重なった。野崎氏の死因は「覚醒剤中毒」とされたが、彼は健康を大切にし、薬物を使用するような人物ではなかったと周囲から証言されている。覚醒剤がどのように摂取されたのかが捜査の焦点となった。また、須藤被告との結婚は「53歳差の年の差婚」として注目されたが、結婚からわずか3ヶ月後に野崎氏が死亡したため、彼女に遺産目的の動機があるのではないかと疑われた。事件当日、須藤被告は自宅にいたが、夫が倒れた際の対応に不審な点があったとされている。また、その後の供述に矛盾が見られることも疑念を深める要因となった。

無罪判決の背景には立証責任の難しさ

須藤被告に無罪判決が下された背景には、次のような要因があったとされる。

決定的な証拠の欠如

須藤被告が覚醒剤を用意し、野崎氏に飲ませたことを直接示す証拠が見つからなかったことが、無罪の最大の理由とされている。

疑わしきは被告人の利益に

裁判所は、「合理的な疑いを超える立証がなされなかった」として、須藤被告に有罪を言い渡すことができなかったのだ。この判断は法治国家として重要な原則に基づくものだった。

事件をめぐる噂と謎

裁判で無罪が確定したとはいえ、この事件には未解明の部分が多く残されている。

・覚醒剤入手の謎

野崎氏の自宅から微量の覚醒剤が検出されたが、その出所は明らかにされていない。須藤被告が関与していなかった場合、誰が覚醒剤を持ち込んだのかは依然として不明となっている。

・第三者の可能性

一部では、須藤被告が単独で犯行を行ったのではなく、別の人物や組織が関与していたのではないかという噂もある。覚醒剤の入手が容易ではないことから、須藤被告が利用された可能性も指摘されているようだ。

・遺産をめぐる利害関係者

野崎氏の遺産をめぐる関係者の中には、事件と無関係ではない人物が存在するのではないかとの憶測も飛び交っている。

紀州のドン・ファン野崎氏は、なぜ殺害されたのか。果たして元妻は本当に無罪なのか。殺害理由は謎のままである。なんとも腑に落ちない事件だ。

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