3月の積雪と板津さんのリトグラフ
2024年3月8日(金)
雪が積もった。
天気予報で積もるかも的なことを言ってたものの、「いやいや、3月やし、ゆーて積もらんでしょ」と思ってたら、朝起きてビビった。
出かける頃には路面の雪はほとんど溶けていたので良かったけども。
ちなみに、雪は「解ける」なのか「溶ける」なのか迷って調べてみたら、結構微妙っぽかった(詳細はこちらから)。
「雪解け」って変換されるから「解ける」かと思いつつ、なんか数学の問題っぽいな・・・と違和感を覚えた。
上のサイトの情報によると、今回の意味だと「溶ける」の方が良さそうで、「解ける」に別れを告げられて安心した。
「雪解け」は比喩に多い、というのは納得だ。
「雪解け」したい人は誰だろう?などと、あまり楽しくないことを考える。
3月に東京で雪が積もるのってやっぱ珍しいのかなと思って調べてみたら、2020年の3月29日以来、約4年ぶりらしかった。
3月29日!?
桜咲いてるやん!
当時は東京に住んでたはずなのになんの記憶も無いけど、スゴい日があったもんだ。
さらに気になって、気象庁のデータをダウンロードしてきて、もっと長期間の積雪記録を調べてみた。
記録の残ってる1872年からの153年間で3月に東京で雪が積もった記録があるのは、今年を含めて21年らしい(3月中に2回以上降った場合もまとめて1回としている)。
だいたい・・・8年に1回か。
珍しいのか?
いや、あんまり珍しくもないか?
微妙過ぎる。
ちょっと時間かけた割には大して面白くもない結果になったような気もするけど、とりあえず3月にも雪は積もるもんなんだな、と思った。
でも、次に3月に雪が積もる時には、今日のことなんて忘れていて、「3月に積もる訳・・・」と思ってそうだ。
「天災は忘れた頃にやってくる」って寺田寅彦の格言、やっぱスゴいわ。
寺田寅彦ってスゴいわ。
夜になり、すっかり雪も溶けてから、西荻窪(と言って良いのか?)の遊工房アートスペースで摺師の板津悟さんがやっているリトグラフの工房にお邪魔した。
作家の加川日向子さんが日中から制作をしているので、制作現場の見学をしつつ、ビールでも飲もうという話で、楽しみにしていた。
板津さんとは、一昨年の夏に国際芸術センター青森での展示『景観観察研究会「八甲田大学校」』でご一緒して以来のお付き合いになる。
板津さんとはお会いするのは1年ちょっとぶりで、加川さんとはちょくちょく会う。
まだ新しい工房には3台のプレス機があって、スゴい迫力だった。
特に、120年ほど前のフランスのプレス機は、当時の姿を留めながらまだ現役で、感激してしまった。
巨大な歯車とかレバーとか、いかにも産業革命以降のヨーロッパの工業製品っぽい感じが、この歴史好き理系男子の心をこれでもかとくすぐる。
そしてそのプレス機を操作する板津さんの姿がまた絵になった。
カッコイイっす。
ゆるりとビールを飲んだ。
良い時間だった。
板津さんはアメリカを中心とした海外の工房での経験が豊富なので、海外の工房の話や、日本の工房の問題と展望の話がとても面白く、勉強になる。
リトグラフの工房、日本でももっと盛り上がっていくと良いなぁ。
とりあえず、自分でできることとして、リトグラフに合いそうな作家には板津さんの工房のことをちょっと紹介してみようと思った。
1年ちょっと前に僕が描いて板津さんに刷ってもらった作品を、ようやく受け取って帰った。
その場で出して見ようかと思ったけど、なんかちょっと恥ずかしくて、チラ見してしまってしまった。
帰ってからこっそり見ると、美しくて感激した。
感謝を伝える意味でも、その場で出せば良かったなと後悔した。
初めてリトグラフをやらせてもらって、板津さんに刷ってもらうなんて、なんて贅沢な作品なんだろう。
描いたのは30分程だったけども、一生の宝物になる作品になった。
額装して飾りたいと思う。
今日雪が積もったことなんて忘れてしまうと思ったけども、でもやっぱり忘れない気がした。
いつか、今日のことを3人で話したら、「あの日雪が積もったね」と思い出すことだろう。
良き日だった。