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『東京普請日和』読書の手がかりに。建築とアートと発売日前後のおぼえがき

おぼえがき1~16

2020年02月06日(木)
湊ナオ著『東京普請日和』(日本経済新聞出版社)2020年2月21日刊行…?!
書影、イラストレーションは、いとうあつき @atuki2126 さん、ブックデザインはアルビレオ @albireoinc さん。
瑞々しいカバーをありがとうございます!!

しょうじき、日本経済新聞出版社さんが付けてくれたコピー、『まったく新しいお仕事小説!』ってのに震えている…日経が薦める…お仕事小説…?(心がプレッシャーで吐血するぜ…)

いやでも、既に書いたものにプレッシャーってのは変だよな、より良き次の作品へのプレッシャーならともかく…(さらに吐血)

1.
さて『東京』。
東京と対をなすものとして、主人公田口郁人の故郷「給水塔のあるまち」が出てきます。
これはモデルが明確にあり、筆者の故郷、愛知県春日井市の水道みち沿いに昔建っていた給水塔です。今はない。壊されたから。

2.
東京に対するアンビバレンスな気持ち。

3.
主人公の田口郁人は西新宿本社の組織系建築設計事務所勤務…ということで「モデルは日※※計ではないか?」と訊かれましたが、こちらには特定のモデルはありません。

4.
意匠設計課の大迫さん。「ずいぶんと街の風景を一変させるような、アイコン的な建築でデビューしているのだ。そして、ぼくはそのデビュー作のとんがり方が嫌いではなかった」。

構造屋の郁としてはきっとこんなのだと火がつく。藤本壮介さんのフランス・モンペリエの集合住宅。

5.
その大迫さんとインターン君との三者の会話で、デジタルツインだの日本の都市のエリアマネジメントはどうだべなどと話してるけど、一から街を造れるなら話は早いよなあ……踏まえるべき歴史の希薄な、ほぼまっしろな土地に一からとはね。

6.
(´-`).。oO(兄の英明の出世作のインスタレーションは、2015年頃に書いてた第2校の頃から今の形であり、あいトリに影響されて創作したものではないのだけれど、そうとる人もいるかもな…)

7.
(´-`).。oO(その頃原稿用紙100枚ぐらいで「オールに出そっかな」とか言っていたら根本昌夫先生に「まだ完成してないのに出すな。これはもっと長い小説」とめっちゃ怒られたんだった)

8.
英明が「東京はまだ普請中か」と言ったとき彼の脳裏をよぎったのは森鴎外の『普請中』。「日本はまだそんなに進んでいないからなあ。日本はまだ普請中だ」。1910年の作品。
おい、百年経ってもまだ普請中なのかよ、という

2020年02月01日(土)
洋泉社さんの本と言えば、建築三酔人『東京現代建築ほめ殺し』が名著of名著だと思う。とは言っても手元にあるのは新潮文庫版だったりするけど…
と本棚を見たら、洋泉社MC新書というのを何冊か発見した。

9.
東京普請日和に書いた風景。モード学園コクーンタワー/丹下都市建築設計。
西新宿で働いていたとき、スキマ時間にこの地下の本屋さん、ブックファーストさんに寄るのが楽しかったなあ。

10.
もともと往復書簡や対談、鼎談を読むのが大好き。室生犀星の書簡の話はちょっと出してるけど、堀辰雄と立原道造のやりとりなんか、かなり萌えるのです

11.
室生犀星の、確か『杏っ子』だったと思うけど、関東大震災後に故郷に帰る主人公に芥川が「何か預かるものはないか」と尋ねて、堀君を、というくだりなんて好きすぎる

12.
東京普請日和に書いた風景。新宿の目/宮下芳子。
節電のために光ってない時期もけっこう長かった。

13.
東京普請日和の風景。東京都庁/丹下健三。あまりいい写真じゃないけど横顔。
地下道を歩いてきて、三角のビル、あの新宿住友ビルの広場(現在改装中)の端から見上げる、ななめ横顔の都庁がキリッとしてて良いのです

14.
若いころは満員電車でよく気分悪くなって、こんな世の中じゃポイズンって思ってたから小説の中にもそれがにじんでるけど、なかなか変わらないね。でも今年はいろんな意味で変革の年になるのかもしれない。

15.
郁くん丸亀製麺ばっかり食べてんな! と言われましたが、それは私の胃袋が東京時代かなりお世話になったからです(おもに中野のセントラルパークのところの店で)

16.
陶芸家で一時かなり注目して発言などを追っていたのは鯉江良二さん。陶芸家で現代アートの人英明の造型にちょっとだけ影響しているかも。

発売当時に反応してくれたやさしいひとたちのこと

感想たくさんいただいたのですが、載せる許可とっていないので、自分がツイートした分だけ載せます。読んでいただいて、本当にうれしかったです!!

2020年02月23日(日)
2020年2月21日付の毎日新聞の特集ワイド欄、根本昌夫先生特集! 生徒の末席に私、湊ナオの『東京普請日和』加えて下さってました。さっき「入れといてあげたよー」って。こ、光栄にござりまする!

2020年02月24日(月)
lifeクルーの皆さま&黒幕様に捕捉していただいている…リスナー冥利に尽きる&恐縮です!! まじか…ぶるぶる…

2020年02月24日(月)
(´-`).。oO(たまに「女性作家棚で見た」などと報告を頂くのですが、もちろんぽっと出の新人なので新刊棚に入る隙間なんてないだろうけど、はたして俺は女性作家? 女流作家? なのだろうかという実存的な不安が…)

2020年02月24日(月)
(´-`).。oO(いや、私の自己認識もいちおう女性だけど、この小説を女性作家とかのくくりに入れたとき、自分としてはすんません、って気がする)

日経小説大賞授賞式・座談会、一般公開中止前後のこと

2020年02月26日(水)
日本経済新聞出版社様のサイトに、著者コメント掲載していただいていました! 昔から普請のときはトラブるって俗説はあるよね。東京はまだ普請中です。そんな話を。
「でもさ、東京ずるくない?」って、もしかしてみんな思ってたりするのかな…

2020年02月26日(水)
明日2/27の第11回日経小説大賞授賞式・座談会は一般公開は中止になってしまいました! 
直前で、本当にごめんなさい。
対談等は誌面になるとの事なので、追ってご紹介できればと思います。

2020年02月27日(木)
ライブ開始直前で中止になったperfumeさんや、無観客でオープン戦を戦う野球選手に比べれば、俺たちの悲しみなんて…

2020年02月27日(木)
嵐の船出も俺たちにはふさわしい…

2020年02月28日(金)
日経小説大賞授賞式、その後の対談含め、宝物のような時間をありがとうございました。
高樹のぶ子先生、辻原登先生、裏話含め、あの濃ゆい熱いお話を俺たちだけで独り占めして良いのか? 良いのだ、しょうがないのだ! という。

2020年02月29日(土)
やっぱり今の東京は、震災後のあの空気感を思い出さずにはいられなくてめいるけど。あの、書こう、と思った夜に似てるんだ。
でも、だからこそ。

2020年03月01日(日)
2/27の日経小説大賞授賞式・座談会。一般公開が中止になってしまいclosedで行われたのだけれど、シェアしたい内容が多すぎて死にそう…小説好きにはたまらないあの空間…

「湊さんはすぐツイッターに書くからなあ」って。書いてないよ? ソンタクしてるよこれでも…。

2020年03月02日(月)
書いたものをいったん上げて消すという、メンヘラチックなふるまいをしてしまった…反省…

2020年03月04日(水)
(´-`).。oO(こぼれ話したいけど、紙面に対談出てから…オトナだし…考えてから発言しないと…)

おぼえがき17~20

17.
東京普請日和の風景。『LOVE』/ロバート・インディアナ。

18.
自分が東日本大震災のあとあんまり動揺したもんだから、関東大震災のあと知識人と呼ばれる人たちがどうしてたかをちょこちょこ調べたりしていた。なかでも、室生犀星にはシンパシー感じたなあ。関東大震災からあと数年で百年。

19.
丹下健三の『東京計画1960』とか、岡本太郎の『アンチで作るオバケ都市』とか、まちづくりに関しての面白い(とっぴな?)提言がどんどん聞きたいなあ。今世紀になって、個人が思い描くグランドデザインってあんまり聞こえてこなくなった気がする

2020年03月05日(木)
(´-`).。oO(もうそろそろエゴサはやめろとダンナが言う…私は驚いて画面を見る…てのひらの間にあるのは…切っても切れない…むかしなじみのきれいなツイッターだ…あどけない夜の話である…)

2020年03月08日(日)
辻原登先生に『父・断章』の中の『母・断章』が好きなこと、サインをもらう本を『花はさくら木』と迷ったことをややウザ目に語ったところ「湊さんは『卍どもえ』を読むといいんだよ(にこにこ)」とおっしゃったので早速読んでいる→

そして「はっ、これは谷崎の『卍』を当然読み返しておくべきターン…!!」と思い、またもや本棚の古層を発掘してみたのだが、『卍』、ありそうで手元にないね…!! 

そういえば谷崎も震災後に関西に移住したんだっけか……

小説教室のこと・ちらっと

2020年03月09日(月)
公募ガイド最新号2020年4月号『受賞のコトバ』に掲載していただきました! 手に入ったのは平和かな、修羅かな、書くっていいよね、そんなことなどを。

そうそう、根本昌夫先生の小説教室についてああ書いてはみたけど、普通の人にはそこまで野蛮な編集者ではないはず…です! ただ、時に生徒ではなく作品ファーストなのだと記しておく。

20.
給水塔と水道みち。都市が成り立つためには水をどう制御するのかという問題が避けられない。右の写真、野方配水塔は故郷にあった給水塔にフォルムが近い感じで好きです。

そして疫病で書店も閉まり営業できずの日々など

2020年03月17日(火)
新聞やNews見るのも動悸ぎみの本日、2/27の日経小説大賞座談会掲載!
構造設計や組織系建築事務所や陶芸や現代アートの事は話せていない、トーク下手な湊をお楽しみ下さい…

2020年03月22日(日)
「普請負けって言うぐらいだし、そりゃ東京もいろいろあるさ」とは思ってたんだけど、こんな大規模になるとは。
全世界規模の社会システムの再構築が必要…? これでは友人が冗談交じりに口にしてたグレートコンジャンクションの年とやらがリアルみを帯びてしまうではないか

2020年03月26日(木)
(´-`).。oO(後天的モノカキなので、普段の自分を知っている人に文章を読まれたり感想を言われると恥ずかしくて、いちいち、ぱたり…となってたけど、そんなことじゃ甘い、と、自分を戒めている春の日)

2020年04月09日(木)
今もう「ポストコ□ナ」とか言ってる人のギラギラ感、嫌いじゃない

2020年04月17日(金)
そしてまさかの夫も来週から完全テレワークと言っていた気がするけど夢に決まってる…なんて恐ろしい夢なんだろう


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