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平安時代の貴族のお月見とロマンチックな和歌

平安時代の貴族のお月見

平安時代の貴族の間では、お酒を飲みながら月を眺め
船の上で和歌を詠んだり、楽器を奏でたりする宴が催されていたようです。

古今和歌集に、池の水面や盃のお酒に月を映して愛でた
優雅な様子が歌われていたり
月の神秘性を日本人独自の感性と美意識が織りなす
素敵な宴だったんだろうなぁ・・・と想像します

月を愛でるロマンチックな和歌が沢山!

『白露を 玉になしたる 九月(ながつき)の 有明の月夜(つくよ) 見れど飽かぬかも』

万葉集第10巻 (作者不明)
(月の光が白露を美しい真珠の様に輝かせている。この美しい月、いくら見ても見飽きないことです。とうとう夜明けになってしまった。(※)有明の月だねぇ)
(※)有明の月=夜明けになっても空に残っている月

『あしひきの 山より出づる 月待つと 人には言ひて 妹待つ我を』

万葉集第12巻(作者不明)
(「山から出てくる月を待っています」と人には言って あの娘を待っている私です)

『十五日(もちのひ)に 出でにし月の 高々(たかたか)に 君をいませて 何をか思はむ』

万葉集第12巻(作者不明)
(十五日に出てきた月のように、いまかいまかとお待ちしたあなた様をお迎えし、何も思い煩うことなどございません)

『望の日にさし出づる月の高高に君を坐(いま)せて何を思はむ』

万葉集(作者不明)
(空高く上る十五夜の月を待ち望むように待ちこがれていたあなたに、こうしておいで頂いて、ほかに何をおもうことがありましょうか。満足しています。)

『恋しさは 同じ心にあらずとも 今宵の月を 君見ざらめや』

拾遺和歌集(源信明)
(恋しく思う気持ちは同じではないかもしれませんが 今夜の月をあなたも見ているでしょうか)

古来から月は詠む人の純粋な気持ちのコミュニケーションツール

月をみて人はなにを思うのだろう・・・と考えさせられる和歌ですが
ここまで純粋に誰かを思い焦がれる気持ちや
月の光のように曇りのない澄んだ人のこころをあらわす歌が多いことも特徴です

おまけ:「月が綺麗ですね」夏目漱石の名言

明治時代の文豪である夏目漱石が英語教師をしていたときのエピソードで
英語の「I love you」の訳(あなたを愛しています)を
「日本人はそんな直球に愛を伝えることはしない。『月が綺麗ですね』とでも訳しておきなさい」と教えたという有名な逸話がありますね

人の心の動きを月にのせて詠む感性が
改めて日本人の純粋で繊細な心が素敵だなぁと思う今日この頃です


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