バイきんぐ小峠が、錦鯉まさのりに恩田陸を読ませた一言

遅咲きブレイク芸人「錦鯉」の長谷川まさのりがラジオで披露したエピソードです。

長谷川まさのりは、50目前で売れたスーパー遅咲き芸人。人生で絵のない本は5冊ぐらいしか読んだことがない。
消費税がないころ、200円持って少年ジャンプとベビースターラーメンを買ったらちょうどになるから、両方買って楽しむのが「本」関連のしあわせな思い出だった。

読書習慣ゼロのまさのりは、売れないころのバイきんぐ小峠英二に「夜のピクニック」を勧められた。
修学旅行のかわりに「歩行祭」というイベントがある学校で、生徒たちが延々と歩きながら、これまで、これからを考えていく小説だ。

小峠やアルコ&ピース平子らがこの小説に感化されたのと、芸人なら普段から面白そうなことをしていないといけない、ということなのか、仲間を集めて自分たちもひたすら歩く「おじさん歩行祭」をしたかったのだ。

読書をしない長谷川まさのりに、小峠が「夜のピクニック」をすすめたときのやり取りは、まとめるとこんな感じだった。

「読みます。その本を貸してください」
「だめだ。借りた本は読まない。買え」

借りた本は読まない。

先輩や友人から借りた本や映画が面倒になることはある。面倒くさくなって自分の血肉にならずに積まれていくパターン。でも「借りた本は読まない」って断言するの初めて聞いた!
クラスメイトに「このまんが面白いよ!自分の金で買え」って言う人いますか?

最近まで食パンにマヨつけて食べるだけの生活をしていた長谷川まさのり。初めて自分で文字だけの本を買って読書をしたそうです。

そのあと
「どうだ、登場人物と歩きたくなったか」
と聞かれて、
「はい。冷蔵庫まで歩いてジュースとったり」
「そういうことじゃねえ!」

この落語みたいなやり取りのあと、ひたすら歩いて、足が痛くて翌日の漫才ライブではセンターマイクまでたどり着くのにめっちゃ時間がかかったとか。

小峠は、youtubeでジム通いが長続きしない人の悩みにも答えている。
続けるためには「通っていることを言うな」と。

トレーニングウェアを買って、友達に「最近ジム通い始めたんだ」と話した時点で、やってる気になって終わってしまう。
目的は自分を変えること。通ってる楽しさを話すのが目的じゃない。
「体つきが変わったのを他人に気づかれて、何かやってるんですか? と聞かれたときに初めて言え」

小峠は、人はあきらめるもの、自然にやめてしまうものだと知っていて、先回りして言い訳を封じている。まっすぐさがかっこ良く見えることもあれば、大人になって読んだ本にまっすぐ影響受けて歩行祭やるって、熱いというかカワイイというか。ストイックさが突き抜けていて面白い人だなあと思う。

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。