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【ゲームレビュー】「ソニックフロンティア」とマリオの最大の違いは、ジャンプ台のバネの強度

「ソニックフロンティア」クリアレビューいきます。

かつてマリオと並ぶ人気があったが、近年日本での存在感が薄れてきた「ソニック」シリーズの復活作。

任天堂のスターたちがつぎつぎと広くなった世界に飛び出していくのに食らいつくようなタイミングで、彼もオープンワールドとは言わないまでも広く大きなゾーンに飛び出した。

これで存在感を示せなければ、多彩なゲームで時代を作ったセガの顔は「龍が如く」だけになってしまう。

それはディズニーのロゴからミッキーが消えてスターウォーズに変わるようなものだ。
サンリオからキティがいなくなることだ。
ソニックには象徴としていてもらわないと、年取ったゲーマーの精神が安定しなくなって倒れる。

速いやつには広い場所

「ソニック」の特徴は足が速いこと。
足が速いことは展開が早いこと。
展開が早いことは「マリオよりクール」と言われるかわりに、難しそうな印象を持たれること。

だけど、広い場所を速く走ると「難しそう」より「気持ちよさそう」が上回る。
第一印象がすごく良くなった。
いつ来るかわからない穴、いつ飛び出すかわからないトゲに脅えず、美しく広い平原を走り回れる!

走るのは早いけど、だから難しいわけではない。
マリオとソニックの印象の違いは、速さよりも、ジャンプ台のバネの強度や、動く床の速さ。
つまりステージ上のギミックの存在感から来ている。

マリオなら動く床やジャンプ台があったら、使い方を観察して、ひとつづつ理解してから進んでいく。
ソニックは目の前に急加速する床やらレールやらジャンプ台やらがあれば、とりあえず跳びついて、理解する前にビョンビョンバインバイン引っ張って来られる。

自分が操作しているんだか、勝手に動いてるのかわからない。
マリオがプレイヤーと二人三脚で歩んで、やられたら自分のミスと納得できるようになってるのに比べて、ソニックはやたらカメラワークに凝ったり、ジャンプ台やバンパーに弾かれて知らないところまで連れていかれたりする。仕掛けにほんろうされながら、
「ようわからんけど行ったれー!」
精神で突き進む。

ソニック自身がボールになったピンボールゲームも発売されたけど、ピンボールはまさに盤上の仕掛けに翻弄されるゲームだから、これ以上の適役はない。ハリネズミだから丸まるし。


広い草原に降り立ち、走り出した瞬間、もう「いける!」と思った。

世界が広いなあ、と感動しながら走っていると、前方に、敵らしき存在!

チュートリアルが表示された。
RとL両方押して「パリィ」をやってみろと解説が出る。
ここで私の顔色は変わった。
パリィ!
パリィはいかん!!

パリィは「待つ」ことだから

ソウルシリーズからの流行りなのか、敵の攻撃をジャストで弾いて隙を作る「パリィ」を最近しょっちゅう求められる! でもパリィは敵の行動を観察し、攻撃を「待つ」ことになるから、そのたびに展開が止まるのだ。ガンガン攻める大味なスタイルのソニックに合わない。

流行だからとパリィを覚えさせて、敵が出るたび待たせるのはいかん!と思ったが、今作のパリィはLRボタン押しっぱなし中ずっと有効。その間に敵が攻撃しようものならすごい勢いでやり返す。
出会い頭にぶつかった相手を蹴りつけて、なんとか抵抗した敵をさらに弾いてフルボッコ。攻めが一本調子にならない。
よしよしよしこれならOK!

どいつもこいつもパリィ…

尾ひれのついた敵、最高


巨大な敵を駆けあがって叩くとか、大ボスとのBGMがハードロック/ヘビーメタルなのも好きだけど、もっといいのが「尾ひれの付いた敵」デザイン。

「しっぽが長い敵」がたまに出てくるんだけど、こっちは逃げていく敵のしっぽに飛び乗り、走って本体までおいついてぶち殴る!最高! 敵よりこっちのほうが速いから勝った。速さが勝因なのがいい。

悪口が言いやすいゲーム

意欲作だから、細かい欠点をあげようとすればなんぼでも言える。

謎の電脳空間に囚われたから、誰かのために何かをするためにアイテムを集めるためにエリアを開放するためにカギを集めるためにどこか行く…みたいな、どこで、誰のために、何をしてるんだか見えてこない

なにより、仲間と間接的に会話するだけで、アクションで協力しないのが残念。

ソニックシリーズは、速さ、頭脳、パワー、それぞれ長所が突き抜けた仲間たちがいて、きっちり補う感じが良いのだ。会話じゃなくてコンビネーションを観たい。それなのに、ややこしい理屈で同じ時空にすら存在しない!

今作は曇り空、雨のシチュエーションが多くて、タイトル画面から曇ってるのが気に入らなかった。
けど、それはクリア後の今ならわかる。
「ソニックにあえて寂しい世界感」を入れることがチャレンジだということに。そんなん望まれていない気もするが、望まれたものだけを出すのは定食屋だけでいい。たまには客の要望を裏切らないと。

古代人にオーシャンビューが人気なのか、海沿いに遺跡をつくりがちで、せっかく広い世界なのにやたら落下死するのも文句を言いたい。
世界が広くなると、「やられたら少し前から」じゃなくて「登りなおし」になる。迷子にもなる。爽快感と引き換えに受け取るストレスは胃に来るが、それでもなんとか楽しさが上回る。

古き日もいいけど新作もね

任天堂のスターたちの活躍を見ると、SEGAがハードを出してアメリカではスーファミと互角だったことがウソみたい。

最近思うのが、メガドライブミニの復刻はいいんだけど、いつからセガって回顧と自虐ネタになると急に雑談に花が咲く「懐メロ」みたいな存在だったかなって。
そんな思いがあったから、完璧ではないけどそれも含めて嬉しかった。

今回はアリだとか、いやダメだとか語るのも含めて面白い体験だったので、ぜひニンテンドースイッチかPS4よりは、PS5かXBOXで、それでなるべくいいモニターで、あとヘッドホンで遊んでもらいたい一品でした。


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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。

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