【読書日記】のっぺらぼうのYouTuber的精神。ラフカディオ・ハーン「怪談・奇談」終わり。
雪で凍える車内で、たまたまラフカディオ・ハーンの怪談・奇談が手元にあるので続きから読み始めた。寒いなかで雪女の伝承などを読むことで、これはもう4DX体験やん、得したやん、と思うことで寒さを迎え撃ってやろうとしたのだ。
フロントガラスを覆った☃。ワイパーでさっと両脇にどけると、ちょうど開いた本の形に外が見える。
ラフカディオハーンが日本中で集めた怪談・奇談のかずかず。死んだ人が形を変えて戻ってきたり寒さや貧しさで苦しんでいる人に災難や幸福がやってくる話を集めたり、アレンジしたりしているらしい。
おもしろいのが、雪女が出てくるのにその逆はいないこと。暑い日だなと思っていたら火炎男がいた、みたいなのはないのである。
暑さで苦しむ話がない。
昔の日本は涼しかったのか、
それとも寒さで苦しい時の方が想像力が膨らむのか?
寒い時って大抵しーんとしていて、背後に誰かいそうだ。逆に気温40度の状況だと、幽霊じゃなくて動物とか虫とか労働とか、そういう現実的なものに危機感を覚えそうな気がする。
四国の話があるから暑い地域もあるはずだけど熱を使うおばけがいないのは、死後の国は気温が低くてギャップで出づらいのかな。
あと、前回も書いたけどいちばんふざけてるのは「のっぺらぼう」で、他の幽霊たちは自分の土地を荒らされたとか、死ぬ間際に生涯再婚しないと約束したはずの旦那が再婚したからなぜか女のほうを呪うとかやってるのに、のっぺらぼうだけは偶然そこにいた人をドッキリにかけたいだけで活動している。
ただ顔がないのを見せて驚かせたいだけ。
驚いた人が近所に助けてもらおうとしたら、もう一人も
「それはこういう顔ですか?」
と、ふつうの顔だったのに、さらっと顔をなでると目鼻がなくなっているのである。(口裂け女にパターンが引き継がれているのが面白い)ターゲットのリアクションを求めている。こいつだけ悪質なユーチューバー。