【ゲームレビュー】夜明けの大福とダイイングライト2
忙しくなると人間は文化的でなくなる。
スナック菓子と大福とコーラを買い込み、休日丸ごとゾンビぶっ殺しオープンワールド「ダイイングライト2」にぶちこんだ。クリアした。
荒廃した街を飛び回るヤンチャな前作にくらべ、2は規模が大きすぎて間に合わなかったのか発売直後は会話メッセージが表示されないバグによく出くわした。
「・・・・が・・・・で・・・・・だ! お前はどうする!?」
と、重要ぽいことを問題を読めない状態で聞かれて、夜明けの大福を握りつぶしそうになりましたが、私は元気です。
ゾンビは夜に活発になり、建物から出てくる。この性質によって、時間帯によって攻略しやすい場所が変わり、メリハリが生まれる。
軽快でバカな前作よりすぐには楽しめない。重たい。その理由が、街の構造の複雑さと、
「ウイルスとワクチンで国が崩壊した話であること」。
もう、これはどうしようもない。
街の看板を見るとわかりやすい。ゲームだから現実は関係ないよと注意書きしながら、どう見ても現実がゲーム世界に影響を及ぼしている。
身分証明になるアイテムもマスクの比喩に見えるし、そのつもりで描写してない軍隊と市民の構図も、規制派と規制緩和派みたいに見えてくる。
作り手がそのつもりでなくても、プレイヤーの気持ちがゲームを現実に寄せてしまう。
ゾンビ映画はもともと現実を映し出すものだったそうだけど、もっと直接的にゾンビが現実を思わせるものになってしまった。
だけど、こんな世界でも俺たちは楽しいことを見つけ出してやるぞ。そんな意志が見えてくる。
死の街を駆け回り、朽ちた発電所や地下鉄を双眼鏡で観察して、パラシュートで取りつき、入れそうな場所がないか観察して、施設に忍び込み、再稼働。街に血液が通う。
施設は「市民」「軍隊」のようなふたつのグループのうち、どちらに与えるかを選べる。
この悩ましさも楽しい。どちらに与えても、崩壊した街に少しづつ生存者の姿が見えだす。
ゲームには、現実みたいな街を破壊したり、スポーツみたいに殺し合いする暴力的な楽しさもあるけど、
こちらは最初から崩壊した世界で、それでもなんとか前向きに生きている人がいることが楽しさにつながっている。
サブタイトルは、ステイヒューマン。釘バット持って暴れ回った前作とやることは似ているけど(近接武器のゲームなのでエイムの煩わしさがないのがいい)ゾンビを死滅させるのは、生者の家を取り戻すため。快感を破壊ではなく復興で得るゲームに進化した。
「stay human」だ。