【ゲームレビュー】クトゥルフ釣りゲーDREDGEの二人称テキストが良い!
疲れると海上に目玉やら悪霊やらの幻覚が出てくる。
気のせいかカメラの揺れも船酔いのようにゆったり大きい。
果ては赤い目のカラスが漁船にたかり、ガンガン魚を奪われて海の藻屑へと叩き落される。
ホラー要素のある釣りゲー「DREDGE」
XBOX版をクリアした!
ホラー要素といっても、巨大サメが襲ってくるとかではない。
暗い海に放り出されたら何が潜んでいるかわからない、帰れなくなるかもしれない。そんな人の根っこに潜む恐怖にビクビクしつつ、釣りや沈没船の財宝を探すゲームだ。敵は「迷子」そして、まだいけるという自らの気のゆるみだ。
船出して魚を釣って、寄港して金に換える。
それだけなんだけど、このゲームをやると、人の感覚がどれほど頼りにできないわかる。
目印になるものはほとんどないし、呪われた海域には、時間経過で幻覚とか幻聴とかうわんうわん飛んでくる。
岩場でくるっとカメラを旋回させると、心もとないライトはすぐに意味をなさなくなる。急に視界に現れる岩に激突!船が損傷!エンジン破損!
このルートで帰れるはずなのに、地形変わってない?ずるしてない?とゲームのルールを疑い始める自分がいたが、ふと遠くに視点をずらすと…
ぼんやりと灯台の光!
スタート地点にある灯台だけがはっきり視認できる。
ゲームで灯台が描かれてるだけじゃなくて、灯台が本当に灯台の役割をしているの、珍しくないですか。
無事に寄港できれば魚屋やコレクターと取引することができる。
このゲームのテキストは二人称だ。
「あなたの船は破壊された」
「あなたは小屋に入った」
と、プレイヤーの行動を「あなたは…」と語りかけられるように進行するのが二人称。
小説では二人称なんて、手紙の部分ぐらいでしか見かけないけど、このゲームでの使われ方は「異常な空間に入り込んでしまった感」と相性がいい。
クトゥルフって異常な世界だから、向こうから見られている感じの文体が合ってる。ゲームのルールはシンプルでも、細かい味付けにセンスを感じる秀作だ。