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ここを読んでいっこも興味がわかなければ、残念ながらぼくはあなたにとって価値がない。
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2020年8月の記事一覧

病気の犬と最後の日々をすごすゲーム「renal summer」との一週間

静けさの中に、インディーズゲームのとがった作家性がある。 病気の犬の腎臓になるゲーム「renal summer」レビューです。 ゲームは実時間とリンクしていて、昼間に起動すれば、老人は牛や馬と仕事をしている。夜だとコーヒーを飲み、夢を見る。足元にはいつも犬がいる。 死ぬ間際にいっしょにいるということは、元気だったころもずっとそうだったことを意味している。 プレイヤーは画面下のブロック状の血液をタップして、不純物を取り除いてやろう。 忘れずにこれをやることで、犬の寿命をす

【読書記録】春日太一「時代劇入門」 時代劇は過激なジャンル。水戸黄門のような作品が異端だった

農民が「直訴」って書いた紙を竹の割れ目にはさんで、お上に出すかんじで、 「やることないし映画とか飽きた」と言ってる人には、この本を竹竿の割れ目に挟んで出そう。 黒澤明って?清水次郎長って?西南戦争って?勝新太郎って?忠臣蔵って?というレベルの僕でも読める、知識ほぼゼロからの時代劇カタログ。 名前だけでも覚えとけば損のない、役者名と作品と監督名を地引網でかっさらうようにガーッと並べて、最低限の関連事項をバーッと教えてくれる。 歴史の勉強ではない。 ひとりのアイドルやスポー

読書記録「フランケンシュタイン」

自分の作品が急に醜く見えることを「フランケンシュタイン現象」と呼びたい。 夢が詰まった自作マンガや小説を、発表したとたん直視できなくなったことはありますか?動画や写真を回収したくなったことは? 私はあるぞ。 フランケンシュタインの作者メアリー・シェリーは、父が無神論者、母はフェミニズム運動の創始者とも呼ばれる女性。 無神論者の娘が10代で書き始めた、人間をつくる小説。 書かれた200年前は、たいへん不吉な書だったろう。魔術で死者を蘇らせるとかはあっても、「電気ショック」で