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ここを読んでいっこも興味がわかなければ、残念ながらぼくはあなたにとって価値がない。
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2020年3月の記事一覧

「迷走戦士・永田カビ」のタイトルだけをつまみに祝杯をあげる!

新作が出るたびにレビューを書いている永田カビさんの新連載が、「webアクション」で始まった。 「迷走戦士・永田カビ」。他にも気になる作家が集まるが、まずはこのタイトルだけで嬉しいって記事を書くぞ!! 連載に先駆けて「永田カビ×福満しげゆき」対談が設けられている。 このふたりは共通点ができた。 「福満しげゆきのほのぼのゲームエッセイマンガ」 「迷走戦士・永田カビ」という、タイトルに作者名があるマンガを描いていることだ! 「鳥山明のヘタッピマンガ研究所」とか、大御所が名前をタ

ポメラニアンすごい不倫の話聞く

長嶋有「俳句は入門できる」 すーーーっごく!良かった。興味がないと決めつけていた分野が、想像を越えた軽やかさで迫って来て。 ストⅡのボーナスステ-ジを描いた句も、ブーメランを投げた後で一句読むブーメラン句会も、あやうく水難事故になりそうな状況の句も、全部。静かでスリリング。こんな趣味が、いつでも始められるのに、やってなかったなんて。 スナップ撮影のように17文字で切り取り、意表をついた単語チョイスや、一文字の微調整でカメラワークを操作して、背景のボケ味を決める。 ボクシン

永田カビ「一人交換日記」

前作を闘病記とするなら、今作は共感を呼びかけるのではなく、現状そのままを描いた日常エッセイ。 作品を家族が理解してくれそうにない。孤独で泣けてしょうがない。呼吸が苦しい。 家族との意思疎通がうまくいかず、鬱というフレーズを簡単に使った父に怒り、部屋でひとり暴れる。 ヒット作を出した直後とは思えないボロボロの精神状態だが、観察力のアンテナはONのまま。部屋で暴れて「いなりずしの酢飯が傷にしみた痛み」、その一瞬を逃がさず描き残す。 前作で異様な迫力を見せた、「過食時にかじった、

内澤旬子「着せる女」の装丁がすごい!

知り合いの男性作家、写真家、編集者を一流の店舗につれて行き、カリスマフィッターとともにスーツを着せるエッセイ。 バラエティ番組でもこういうのある。「CMのあと、ダサかったお父さんが大変身!」みたいなやつ。 見る目のある女性は、服に無頓着な男に普段からイライラを溜めているのでしょうか。自分の良さを殺している、もさっとした姿で見られることに何の抵抗もない人たちに。 男性から見た、言葉遣いが汚い女を見たときのガッカリ感に近いでしょうか? 登場する男性作家たちは、「クレイジージャー

映画「少林寺木人拳」を観ると「シェンムー3」が面白くなる!

「シェンムー」は父を謎の拳法家に殺された主人公、巴月涼の成長物語だ。横須賀から旅立ち、2作目は香港、3は中国を旅する。 ストーリーと関係ないところまで作り込まれた広い街を歩いて、あえてチープなゲーム内ミニゲームを遊んだり、緻密なジオラマを鑑賞するようにプレイする。 街全体が主役の「元祖オープンワールド」と紹介されることも多い。 監督・鈴木裕は、世界初の3D格闘ゲーム「バーチャファイター」を手がけた人でもある。 ポリゴンでできた格闘家たちは一見カクカクに見えるけど、絵を1枚1