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韓国人の私の『六本木クラス』の楽しみかた

 안녕하세요(アンニョンハセヨ)南うさぎです。
 週1更新の当コラムですが、気になるトピックがあったので今回臨時にアップします!

 韓国ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』の日本リメイク版である『六本木クラス』がいよいよ2022年7月7日からテレビ朝日系列で始まりました(『六本木クラス』は『梨泰院クラス』同様、Netflixでも見られます)。

https://www.tv-asahi.co.jp/roppongi_class

『梨泰院クラス』はここでもたくさん取り上げた作品なので、比較してみた感想をお届けしたいと思います。なお『梨泰院クラス』のコラムを集めたマガジンはこちらです。

『梨泰院クラス』を見てからかなり時間が経っているので、『六本木クラス』を見始めたところで一度止めて、あらためて『梨泰院クラス』を見てみると、こんなオープニングだったのかと自分の記憶力のなさに落胆してしまいました。

『梨泰院クラス』の1話で、主人公・セロイに片思いをしていた女の子がチョコレートをプレゼントして断わられたことも、セロイが警察学校の体力試験を受けたことも完全に忘れていたのです。

 今見てみると、1話にはセロイの人柄を表すシーンが多くて何だか新鮮に感じました。お父さんの信念や社員としての立場、セロイの性格や変人ぶりなど人物の背景がよく描かれていて、『六本木クラス』と比較しながら見ると両作品がさらに楽しくなりました。韓国版との登場人物の比較はもちろん、国の事情や文化に合わせて変わっているところもとても興味深いです。

https://tv.jtbc.co.kr/itaewonclass

 また、OST(オリジナルサウンドトラック)の日本語バージョンもとても良く、改めてこの作品の音楽の良さも感じました。セロイの気持ちや状況にぴったりくるOSTを聞いていると、ドラマの中にいつの間にか吸い込まれてしまいます。

https://www.netflix.com

『六本木クラス』では主人公・新(あらた)が転校する前のシーンは省略されていますが、『梨泰院クラス』の1話にはセロイという人物の特徴がよく描かれていて、主人公への感情移入の度合いが強かったと思います。
 1話でセロイが引っ越す街は、実際には韓国に存在しない仮想都市なので距離感も分かりにくいですが、高校3年になっての転校は受験生に負担がかかるはずなので、転校をするしかない状況の設定なのだと思います。

 実際の韓国の転校事情ですが、一般高校は学校群(ソウルには25区あり、学校群は11個)別、学校別、学年別、男女別の欠員数範囲内で学生の通学条件(距離、通学手段など)を考慮して居住地の学校群内の学校の中から割り当てられます。
 高校の欠員状況はソウル教育庁のホームページなどでも確認できます。欠員がないと、なかなか希望する学校への転校は難しいそうです。転校の時期は3学年の1学期までは可能です。

 また、韓国では高校は無償教育になっています。私立でも自由型私立高校(成績の優秀な学生が行く)の場合は国の支援がないため授業料を払いますが、それ以外の私立は公立とあまり学費の差はないようです。進学する一般高校はランダムで決まるので、韓国では私立と公立との差よりは地域別の差が大きようです。
 なので学校に多額の寄付をするような長家の会長の息子と、養護施設出身のスアが同じ学校の学生であることも不思議ではないのです。
 ドラマでは長家会長の学校への圧力が大きく描かれていますが、15年前の設定といえども、それはドラマの演出で現実味が欠けていると思います。

https://www.netflix.com

 数え年で年齢を計算する韓国では、新年になると歳を取ることになるため、『梨泰院クラス』では新年のカウントダウンをして年が変わるとすぐにお酒を飲みに行くシーンもあります。満19歳になる年の1月1日になると法的に未成年ではなくなるので、高校3年の年末年始は受験も終わって成人にもなる最高にテンションが上がるタイミングでもあります。

 主人公がお父さんにお酒のマナーを教わるシーンは『六本木クラス』では場所が自宅に変わっていました。しかも新は未成年なので形だけということで、実際にお酒は飲んでいません。韓国でも未成年の飲酒は禁じられていますが、設定が15年前ということもあって今より認識が甘いところもあったのかなと思います。
 あるいは新年を迎えて法的に成人を迎えている設定かもしれません。

https://www.netflix.com

 ちなみにイソがお店に提示して見せたのは住民登録証というマイナンバーカードのような身分証明書です。そこには住民登録番号が記載されていますが、その番号は出生申告とともに決められ、登録証は満17歳になると発給されます。

 また、主人公の復讐計画も15年から20年になっているのは両国の法律の違いで変えた部分かなと思います。長家の名物料理、豚肉のコチュジャン炒めはから揚げに変わっていましたね。これから「二代目みやべ」にはどのような料理が登場するのかとても楽しみです。

 余談ですが、日本では企業の会長は名誉職に近いそうですが、韓国では会社によって会長が経営の前面に出ていることも多く、実際に名誉職になった場合は名誉会長と呼んでいるようです。
 それ以外も、いじめの時の牛乳はトマトジュースに、韓国の焼酎は日本酒に、ハロウィーンは夏祭りになど違いを探しながら両作品を見るととても楽しいと思います。

『六本木クラス』のストーリーが進んでいって、また気になるところがありましたら、こちらに書きたいと思います。

※次回更新は2022年7月29日(金)の予定です。

 안녕!

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