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旅をするなら韓国人の情と豊かな食文化が凝縮されている全羅道(チョルラド)がおすすめ!

 안녕하세요(アンニョンハセヨ) 南うさぎです。

 最近の韓国の食堂では、日本の定食のように一人前ずつ食事を出すところが増えてきていますが、家庭では家族みんなで同じお皿からおかずを取って食べるのが普通です。食卓に並ぶおかずの種類とそれぞれの量も多く、なかなか食べきれるものではありません。

 子どものころ、ご飯を残すのはダメ、お茶碗に米粒一つ残さずきれいに食べなさいと教育されましたが、おかずについてはそんなことは言われません。韓国のおかずは作り置きが多く、食べ残しても保存がきくので、残す=捨てるという、食べ物を粗末にする感覚ではないからだと思います。とくにお客様をもてなすときは“御膳の脚が折れるほど”という言葉があるほどです。それはただおかずの数と量だけではなく、もてなす人の心を表し、これこそがいわゆる韓国人の“情”というものなのです。

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※Naver Movies(https://movie.naver.com/)から。

 1980年5月に起きた光州事件を描いた映画『タクシー運転手』で、光州のタクシー運転手ファン・テスル(ユ・ヘジン)の家に、ソウルに帰れなくなった主人公キム・マンソプ(ソン・ガンホ)と乗客たちが一晩泊まるシーンがあります。夜遅くにいきなり何人も連れて帰り、食事を出してくれと頼むテスルに、奥さんは「おかずがあんまりないのに……」と小さな声でつぶやきます。それでも、夜中に急に作ったとは思えないほどの十分な種類と量のおかずを出してくれるのですが、それを見たテスルは奥さんに「おかずがあんまりないな……」、お客さんたちには「ろくなものはありませんが、たくさんお召し上がり下さい」と言うのです。

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※Naver Movies(https://movie.naver.com/)から。ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)とマンソプが、もてなされるシーン。

 こうしたセリフも、たくさんの料理でお客様をもてなすのが韓国人のマナーと情だからこそ。マンソプたちは急な夜中のこのもてなしに感謝し、美味しく食事をして楽しい一夜を過ごします。

 このシーンで、お客様が喜ぶ理由はもう一つあります。作品の舞台、光州がある「全羅道(チョルラド)」は韓国南西部の地域で、温暖な気候に恵まれているため食文化も豊かで、韓国一の食の都といわれています。韓国では、料理をたくさん作る人を「手が大きい」と言いますが、全羅道の女性は手が大きくて料理上手と評判なのです。全羅道ではどんな食堂に入っても料理は多彩で美味、量も多く韓国の美食家たちにも愛されている地域です。ビビンパ発祥の地として有名な全州も全羅道にあります。惜しみなくもてなされる韓国グルメを味わうなら、全羅道の旅をおすすめします。自由に旅行ができる時がきたら、ぜひ!

 안녕!


▼こちらの記事では全羅道地方の言葉について紹介しています。



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