【覚書】私は都合のいい言葉だけを頼りに生きていく
娘は夏休み前まで中学受験を目指す塾に通っていた。
始めはお兄ちゃんと同じ中学に行きたい!と言っていたのだが、
どぅおおおおおおにも、こぅおおおおおおにも
手が届きそうにないな、と親子共々なんとなく察して、
なんとなく進路希望が変更しつつあったので、
夏休みから、高校受験用の塾にシフトすることにした。
別に高校受験用の塾にシフトする必要性はないのだが、
塾に全く通わなくなると
ズーーーーーーーーーーーーっとテレビを見て過ごしそうだな、と
いう危惧が私の中にあり、
ゆるーく高校受験用の塾に通わせることにした。
始めは、1年ほど共に学んだお友達と離れることが
「寂しい」と口にしていた娘。
でも、中学受験を目指す彼、彼女たちは夏休み中
まる半日ほど塾に行っていることを知ると、
「よかった〜〜〜〜」と胸を撫で下ろすなんともゲンキンな娘でもある。
娘が本気で目指すなら、どんなに点数が思わしくなかろうと、
頑張ってね!!!とも言えるが、
娘自身、そんなに行きたそうでもなくなっている様子を察しての
今回の決断。
周りには、よくできるお子さんに、志の高く、
お金も時間もかけることのできるご両親もいて、
はて、この決断で良いのだろうか…と思うこともある。
環境って大事、とは言うけれど、
親もたとえばどの環境に自身を置いてるかで
見えるもの、見えないものたくさんある。
私には何が見えていて、何が見えていないのだろう。
それは実はわかっているようで、わかっていなくて、
周りを見始めれば、その価値観って限りない。
一人二人と見る人聞く人を変えたら、その数だけの意見や価値観が広がる。
私にはこれしかなかった、と田舎育ちの私は、その価値観を
恨んだけれど、今、親になってみて、
その価値観の取捨選択のあまりにも多さに辟易するばかり。
育ってきた環境で考える?住んでいる町で考える?
それとも住んでいる国で考える?どこまで広げればいい?
上を見ればキリがないし、横を見てもキリがない。
でも、私にできることって悲しいかな、限られている。
夏休み中は、夏期講習期間でお昼間1時間ほどの塾へ
行くのみ。
夏休みが終わって通常授業が始まった9月。
以前は、週に2度ほどお弁当を持って塾へ行き
10時頃に帰宅していた娘。
でも、今はご飯前に帰ってくるし、1時間ほどで
終わる。
すると、お風呂に一緒に入っている時に娘がポロリ。
「みんなでご飯食べられて嬉しい〜お弁当って寂しかったんだよね〜」
お弁当も美味しいし、保温弁当だから温かい。
でも、家族とちょっと違うメニューだったりすると、実はすごく寂しかったそうだ。
息子も中学受験用の塾へ通い、コロナ禍と被り、塾でのお弁当を
すごく嫌がった時期があった。
隣同士喋ることも許されず、ギスギスした状況だったのか、
それとも単純に塾が嫌だったのか…。
毎日、塾までお弁当を届け、その時間だけ塾から出てきて私と車内で
ご飯を食べる、ということを繰り返した。
彼は、妹のように「みんなでご飯食べたい」なんて可愛く言うタイプでも
なかったので、どう思っていたのか、それがどのように必要なのか
表現することはなかったが、
とりあえず、最後まで塾に通うことを我慢し続けた。
娘が塾を嫌がったわけではなく、私からの相談で
シフトすることを決めた。
息子も嫌がった時期に「やめてもいい」と言ったが、
「やめたくない」と言った。
彼の学力への期待、という部分ももちろんあったので、暗に親の「辞めてほしくない」気持ちを察していたのかもしれない。が、
結果、今、お兄ちゃんは楽しそうにしているので、果たして娘の塾をシフトさせて
正解だったのだろうか、という迷いが常にある。
夫や塾の先生は、「いつでも思い立った時に変えればいい」と
言ってくれるが、
やっぱり中学受験をしたいと思った時に
この期間を後悔するのではないかという思いがずっと
頭を支配する。
けれど、
娘のこの言葉を聞いて、
私は「ああ、娘にはこれでよかったのだ」と思い込むことにした。
たとえば、我が家にもっとお金があって、
娘の学力をもっと効果的に引き上げてくれる家庭教師を
しっかりとつける、なんて道もあったのかもしれない。
でも、とりあえず、うちにはそこまでの経済的余力はないので、
集団の中で切磋琢磨しよう!という心持ちがないならば、
ゆったりした時間で何かを得ている、と信じるのもまた一つ、と
自分に言い聞かせる。
彼女が、「みんなでご飯を食べられて幸せ〜」と言ってくれた言葉を
頼りに、自分に都合よく解釈しようではないか。
多分、ずっと答えなんて出ない。
今、息子が中学受験したことがよかったかどうかの答えも
まだ出ていない。
望ましい大学に行ったとして、まだ答えは出ない。
娘にも出ない。中学受験をやっぱりしたい、と言い出すかもしれないし、
土壇場でてんやわんやしているかもしれないし、
それがうまくいこうが行くまいが、
答えなんて出ない。
一つ一つ、その瞬間その瞬間の都合のいい言葉を頼りに、
それでいいんだ、と進んでいくしか、
私にはできない。
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