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らーめん南はどのようにして金澤流麺らーめん南になったのか?

facebookとInstagramにて

『3年後には復活する。5年後にはミシュランガイドに再び掲載されて完全復活を満天下の元に証明する』

と宣言しました

その際には今までの金澤流麺らーめん南の流れを踏襲しながらも、さらにもう一歩先へ進んだラーメン屋として復活したいと考えています

金澤流麺らーめん南のコンセプトはいくつかありました

①体に優しい味作り(化学調味料や人口甘味料などは使用せず、動物性油脂を控えた出汁を重視した味わい)を目指す

②自然環境に寄り添える店作りと味作り(フードロスへの取り組みとして、野菜の端材と無農薬野菜のみを使ったヴィーガン仕様のらーめんや、スープの仕込みに使った牛アキレス腱を再利用したパイタンスープetc)

③地域経済の循環を促す仕組みづくり(県内の生産者を積極的に使用して生産者の存在を店でもアピール。県内の無農薬農家さんの野菜の販売etc)

④自分のクリエイションを発揮することと、石川県でしか生まれ得ないらーめん作りの両立

これらのコンセプトはそのまま踏襲した上で、さらにメッセージ性の強いらーめんと店を作りたいなと考えています

その前にそもそも2021年9月25日に閉店した金澤流麺らーめん南はどうしてあの様な味とスタイルになったのか?

を振り返りたいと思います

スタートは2003年、豚骨専門店として

横浜の某有名家系ラーメン店で修行した僕は2003年の8月に当時住んでいた神奈川県藤沢市辻堂にて27歳で初めての店を構えます

「家系出身だけど、さらにそこから進化させていきたいな…」

そんな想いがあったので自らは『家系』とは名乗りませんでした

様々なる試行錯誤を重ねていましたが、それでも当時を振り返ると…

そこには僕の中にも

「らーめんとはジャンクでB級なもの。らーめんなんてガツンと美味ければあとはなんでもいい。健康とか俺に求めるな」

という意識が確かにありました

「らーめんとはそういうものだ」

とも思っていました

はっきり言って、金澤流麺らーめん南とは真逆の店でした

僕自身が濃厚で濃い目の味付けが大好きでしたし、当時ももちろん情熱を持って取り組んでいました

決してその当時の自分の仕事を否定したりはしません

あの頃のらーめん南の味にも誇りを持っています

しかし過ぎた過去の青春です

二度とあの当時のような濃厚豚骨らーめんを作ろうとは思いません

①体に優しい味作りを目指そうと思ったきっかけ

辻堂時代のらーめん南は自他共に認める大繁盛店となりました

終日満席で、特に夜のサラリーマンの方々の帰宅時間から電車の終電までの時間帯は行列の待ち時間もさることながら、店の熱気も相当なものでした

僕はそんな店の状況も誇らしく感じていました

しかしそんなある日、長年当時のらーめん南を支えてくださった常連様にこんなことを言われました

「マスター、俺さ、嫁さんにスープは全部飲むなって言われてんだよね。でも今日くらいいいよね。だって俺、家族のために残業頑張ったし!」

もちろんこれは僕への褒め言葉でもあります

「そこまでしても飲み干したいスープなんだ」

そのような意味で仰ってくださったことは承知の上です

それでも僕も

「どうぞ!飲み干してください!」

と言い切れない自分がいることに気付きます

何より作っているのは僕自身です

その飲み干さんとするスープにどれだけの塩分があり、どれだけの油分があり、どれだけの化学調味料が含まれているのかを僕が一番知っていたからです

はっきり言って、当時のらーめん南のらーめんは、一杯で成人男性が一日に取るべき量の塩分と油分は軽く超えていました

カロリー計算はしたことはありませんが、相当高かったと思います

僕と常連様はカウンターを挟んで同じ

罪悪感

をスープと共に飲み込んでいたのです

その時に僕は思います

「らーめんという毎日でも食べられる廉価な食事が、毎日食べると体に負担がかかるというのは矛盾してないか?毎日食べられる価格だからこそ、毎日食べても体に負担がなくて当然にならなくてはいけないのではないか?」

これが当時の自分のらーめんに対して疑問を持ち始めたキッカケでした

恐らく33才くらいだったと思います

今から12年も前になるのですね

昨日のことのように思い出します

辻堂を去るのが39才ですから、僕はモヤモヤを抱えたままその後も何年も同じらーめんを作り続けます

もちろんすぐに味や作り方を変えられない状況や事情もありましたが、このことがきっかけで僕の中で

「本当はどんならーめんを作りたいのか?」

という想いを熟成させていくきっかけになったことは確かです

次回は②自然環境に寄り添える店作りと味作りを考え始めるきっかけについて書いてみたいと思います

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