映画「30S」感想①
本日公開された、真田くん初プロデュース映画「30S」、やっと見ました!
しかも今日は初日の舞台挨拶付き。真田くんをお目にかかれた後での鑑賞はだいぶ贅沢です。
▼30才記念に映画作っちゃう男
記念のスケールが違いすぎる。パンフレットからは、映画にかける真田くんの熱い思いが伝わってくる。それはそう。映画を制作するのに一番の問題となる資金面、真田くんはコツコツ貯めてきたエンタメ貯金を投じているのだから。並々ならない覚悟を感じる。
真田くんが24才の時に描いたという「20代のうちにやりたいことリスト」の一項目「映画を作る」。たくさんある中でもこれが一番の目標だったかもしれない。そもそも映画制作を視野に進学する大学を選んだわけだから。本映画で監督・脚本を務めたのは真田くんの恩師である佐藤克則先生。真田Pは、城西国際大学メディア学部佐藤ゼミ1期生なのだ。
▼30才による、30才のための映画
真田くんが人生の悩める時に必ず訪れるという佐藤先生の元を訪ね「映画を作りたい」と言ったのは2021年夏。恩師は答える。「いいよー」。
真田くんの熱意はどんどん周りを巻き込んでいく。現在はプロとなって活躍するゼミの同期生たちが集結、「スタッフも、メインキャストも同年代でやりたい!30才による、30才のための映画」制作が実現に向けて動き出した。オーディションには、なんと600人が集まったという。撮影は2022年5月に始まった。そして2022年11月21日、真田くん30才の誕生日、映画「30S(サーティーズ)」制作が発表された。
▼「QUARTER LIFE CRISIS」
30才は「自分が人生の中心に居ないことを理解する、大人の成人式」
希望に溢れ、夢なんて何でも叶うと信じた10代20代を経て、やがて現実と自分の限界を知る30才。漠然とした不安や焦りを抱えるこの時期を「QUARTER LIFE CRISIS」と言うらしい。タイトル「30S」は、「SOS」に見えるようフォントも工夫されているという。
▼映画はファンへのプレゼント
真田くんが「30才までに」という期間限定で決めた大きな夢は滑り込みで叶った。人生は思い通りにいかないが、決して腐らず今を諦めず、今を一生懸命楽しみ、たくさんの仲間を大切に、縁を大切にしていれば必ず夢は叶う。真田くんが身をもって教えてくれた。来年で芸能生活20周年を迎える真田くん。インタビューでも答えてくれている通り、この映画は応援しているファンへのプレゼント。作品で返してくれるのが真田くんである。
▼あらすじ
タケル、御手洗甲、蓮香の3人は同じ1992年10月31日生まれ。3人が20才を迎える日、甲に天文台に連れて来られた2人は、自分たちの誕生日は「ガリレオが嘘つきじゃなくなった記念日」と熱弁される。そして10年後の自分へのメッセージを記念に残し、30才の誕生日に再会する事を約束する。10年後、約束の日を数日後に控え甲から「約束守れなくてごめんな」というメッセージを受け取ったタケルと蓮香は、忘れていた10年前の約束を思い出す。甲が詐欺を働いて失踪したと聞いた妹のカオルは、兄探しに乗り出し、タケルと蓮香とともに約束の日を迎える。
真田くんの役名
真田くんの役名、「御手洗甲」の"御手洗"の主張が強すぎて。これ本人の希望なのかどうかいつかティーチインがあったら聞いてみたい。"御手洗"という苗字への印象とか、一文字の名前に憧れはあるかとか。
みたらいといえば、7ORDERファンにはお馴染み、真田くんのお友達「みたらしさん」を思い起こさずにはいられない。もしかして、役名はここから取りました?彼も今頃、きなこもちさんを失い嘆いておられるだろうか。
「感じるだろう?」
映画は、真田くんの美声で始まる。
ヒェぇぇぇぇー、と一瞬怯むが、18禁の映画ではございません。エロ要素一切ございません。地球が回っていることを「感じるだろう?」って意味のセリフです。あたりまえー
世界を意識?!
メールなのかショートメールなのかわからないが、メッセージが画面に表示される。その画面の下半分はなぜか英訳で表示される。すでに世界上映を意識しているのだろうか。頼もしい〜
私は、真田くんの熱意に応え、ファン贔屓でない正直な感想を述べたいと思います。
※以下、ネタバレ含みます
▼感想
正直に言っちゃっていいかな。
長い
映画、ちょっと長い。長いよ。
何度も見返したくなる気持ちにさせるには、ほどよい長さであることも肝心。私にとってベストは100分かな。「30S」、135分もある。TikTokが流行り、YouTubeもShortで見る人が多く、現代人の集中力が持続しないことが問題になっている昨今、2時間越えはキツい。途中ダレる。見る前にちょっとした覚悟がいる長さだ。
映画が長くなっている原因は、蓮香の依存性の描写が長すぎることが原因な気がする。正直あそこまで尺を使わなくて良いのではないかと思った。心地よいシーンではないから、ただただ不快な気持ちになる。主演がタケルのわりにはレンカタイムがあまりに長すぎる。
もろの出番、少なすぎ問題
アラサー中心のキャストには同じ7ORDERから次に30才を迎える諸星くんが出演しているが、蓮香の同僚としての出演シーンはあまりに短い。「岸本翔陽」なんてかっこいい役名まであるのもパンフレットを見て初めて知った。今後アルコール断ちした蓮香とのアナザーストーリーを期待していい?
オムニバス映画
"オムニバス映画"といわれていたけど、あまりオムニバス感はなかったかな。時系列が微妙に前後する時系列マジックはあるのだが、目立たないかもしれない。
"約束ってのは必ず守られるんだよ その思いが強ければ強いほど"
グッズのクリアファイルにも載っているこの言葉は、確かにキーだった。
10年後の自分へのそれぞれのメッセージである。
だが果たしてこれは、「約束」なんだろうか。「10年後にここで再会しよう!」は「約束」だ。しかし、3人が10年後の自分に向けたメッセージは、「夢」や「目標」なのではないだろうか。だからやりたかった事がやれていない、つまり「夢や目標が叶わなかったこと」は、決して「約束を破る」ことではないと思う。そして「約束を破る」ことは、決して「嘘をついた」と同意義ではないと思うのに、映画内ではそう扱われていることが気になった。
真田くんの「30才までにやりたいことのリスト」も、その中で実現しないものがあったからといって、「嘘つき」にはならない。努力しても実らない場合も多々あるのだから。
「ガリレオが嘘つきじゃなくなった日」って語呂が悪くないかな
そもそもの問題だけど。「嘘つき」ってマイナスのイメージが強い。だから、映画の予告映像もちょっと残念。「兄は嘘つきでしたか?」「お兄さんは、詐欺師でした。」「嘘」をキーワードとしてしまっているからしょうがないのかな。
ここは直に「ガリレオの地動説が認められた日」で良かったんじゃないかと思う。「嘘つき」でさらに「じゃなくなった」という否定形までは入ると、キーとなる言葉に適してない気がして。
「太陽」と「月」と「地球」の関係性
甲が3人を「太陽:タケル」「月:甲」「地球:蓮香」に例えて、誰が欠けても成り立たない関係と言ったという。ただ、一度見た印象では甲が太陽みたいであった。
甲:月
バンドではドラムを担当。すぐに居なくなり、皆を振り回す。カオルが甲のインスタ風 SNSをチェックする場面で、フォロー289人、フォロワー7,845人という一般人としてまあまあの人気ぶりが確認できる。投稿数は1,031。投稿内容を見ても、おしゃれなお店にブランドの時計、車、となかなか良い暮らしぶりも窺えるが、見栄っ張りな性格も垣間見える。そして口にした事は必ず本当にする有言実行の男。
タケル:太陽
バンドの中では派手な印象のギター担当のわりには20才の時点で「変に几帳面」な人柄が買われ、3人組の10年後に向けたポラロイド写真のメッセージを預かる役に選ばれる。バンドマンとして生きる夢は諦めたが、中古車販売会社の社長令嬢と婚約していて社長の信頼も厚い。
蓮香:地球
甲と付き合っていたことでバンドのメンバーとも懇意にしていた。主体性がなく、甲に振られた3年前からアルコール依存症になる。
そして、カオル
甲と同じ教会の施設で育っただけで、甲とは血が繋がっていない自称妹である。友達にやたら横柄に振る舞う不思議な存在。
考察
起こった事が全て現実と考えると矛盾が生じる。想像で補うしかないのだが。
甲、タケルと蓮香にメッセージを送った直後に死んでる??!
それなら、詐欺師のアジトかなんかで三山という仲間の女が電話して、カオルが話した相手ってなんなんだって事になるが、もしかしてカオル、甲と会話したフリしてた?!?!あれ、妄想?!
「俺は嘘ついたことないよ」という公言通り、甲は一度言った事は必ず守る男。命懸けでも必ず果たす。いやでもいくら約束に忠実だからって「月に立っている」を現実にするために死ぬまでするかな。そもそも「約束」じゃないし「10年後に再会する」だけなら、普通に守れたはず。
とにかく「嘘つきじゃなくなる」にこだわっていたが、ガリレオは夢が叶わなくて嘘つき呼ばわりされたわけじゃない。確たる証拠を積み重ねて出した結論が認められず、不遇の晩年を過ごし、死後350年経ってようやくその説が正しいことが認められた。そんな偉大な功績を、10年後の「目標」と重ねるのはどうなんだろうと思った。
それに「三人の関係は誰が欠けても成り立たない」と言っていたくせに自分がこの世から居なくなるのはおかしくない?甲のこだわりは嘘はつかないってことであるはずなのに。
焚火のシーン
夢の中、甲と出会うタケル。甲は俺は約束を守って月に居ると話す。「月はいいぞ。嘘も本当もない。絶望も不安もないが、そのかわり夢も希望もない。」まではいい。その後、「このままだとお前嘘つきになるぞ。お前も月に来るか?月で一緒にライブしよう」甲がタケルにギターを手渡す。は?なんで10年後の目標を死んでまで達成しなきゃならないのだ。それが甲の価値観なら押し付けはいけない。タケルはそのギターを火の中へ投じる。ふぁ?そして一番訳わかめな甲のセリフが「お前がそっちに残るなら、俺がお前の嘘を許すよ」あのぅ、別に許してもらわなくても、、
タケルの婚約者の妊娠
その結果を伝えるシーンは一切ないのに、なぜかタケルは妊娠を知っていて、ラストで寝ている夕美のお腹をいきなりさわるのは正直怖かった。一転ホラー始まるかと思った。タケル、いつ気付いたの?そしてニッコリ笑って言うセリフが「俺たちの歌。」怖いよ。
バンドマンとしては挫折したけど、人生めちゃくちゃ上手いこといってるのがタケルなのだ。勤務先の中古車販売会社社長の美人お嬢と逆玉婚。このまま30才になっていいのかな。いやいいよ。あのままバンド続けてたボーカルの人も決して幸せそうじゃなかったし。タケルはいいよ。そこに何の葛藤があるのかイミガワカラナイ。
蓮香「やりたいこと見つけた」
これからやりたいことってやっぱり上司の高来さんと幸せになることだよね。蓮香のアルコール依存は、御手洗を忘れられないことが原因。お酒に手を付けたのももしかしたら、御手洗のマネをしたのが始まりだったかもしれない。お酒を飲んでいる時はつらい現実に向き合わなくて済み、平常心でいられる。ただ、派遣なのにあの仕事ぶりでは普通はクビだろう。
20才の頃から「やりたい事なんて特にない。10年後には見つかってるだろうからそれをやる!」蓮香という人間の魅力的な部分がストーリーの中に一つも見出せなかったのが残念だった。だから、高来さんがなぜそんなに蓮香を気にかけてあげるのかもよくわからなかった。
自らセクハラの犯人と偽ってまで蓮香を守ってくれる高来は、本当は独身設定より、蓮香と同年代の不良娘を薬で亡くした過去があったりして依存の怖さを知ってるからこそ蓮香を娘のように慮っている設定であってほしかった。独身だと下心ありありオジサンに見えちゃって。いや普通にいい人なんだけど。あの役ショーキでもよくない?と思った。
「30才の誕生日」
誕生日当日集合してるのに、誰もおめでとうを言わない。わざわざ兄探しに集まってくれた友人達に対し、自称妹を名乗るくらいなのにカオルからのお祝いの言葉は一切なし。まあ兄失踪という非常事態に、祝福の言葉は期待できないか。
依存
蓮香や甲が主役級のわりにあまり良い人物には描かれていないが、世の中必ずしも素晴らしい人ばかりではないから逆にリアリティがあったかもしれない。蓮香のアルコール依存の症状はかなり進行した段階だったが、御手洗への依存度でもあった。そして甲は、家族のような関係に憧れを抱いていた。PCのサインコードを誕生日にしたり、同じ誕生日の3人を太陽と月と地球に例えたり、仲間への思い入れの強さが感じられる。ひとは弱いからこそ誰かと繋がっていたい、誰かを信じたいと思う。カオルや高来も、相手を思いやることで実は自分の存在意義を満たしているともいえる。登場人物で唯一依存していないのが、タケルかもしれない。
甲は、「佐々木、イン、マイマイン」の佐々木なのか?
約束に忠実な甲だけは10年後の約束を忘れていなかった。甲にとって20才の頃が人生で一番輝いていた時だったのかもしれない。タケルも蓮香もメッセージをきっかけに10年前に立てた目標を思い出し、今の自分と真っ直ぐに向き合い、受け入れ、前に進む覚悟ができた。確かに、甲は佐々木だったと思う。
でも結局のところ甲は「詐欺でお金を騙し取って自殺した最低男」なのか。でもそんなに悪い男には見えないんだけど。
そしてカオルは、何で甲が月に行ったとわかったのか。「私って誰なんですかね」いやあなたが知らないならこっちはもっとワカラナイ。甲の霊と交信中なのか、終始不思議ちゃんであった。
甲に言われたと言ってこの日に集合かけたのはカオルだし、蓮香が今なお御手洗への気持ちを残したままで前に進めていない事を悟り、解放してあげたのはカオルだ。天文台に入れるのに自分は外で待っていると言ってやたらタケルと蓮香の2人きりにさせたがってたし、カオル、甲の分身と思えば納得だ。
ラスト
いろいろな案があったとパンフレットで見たが。
タケルの嫁からの、タケルに向けてだけのセリフだったのは寂しい。上司からレンカへ、カオルから甲へ、それぞれ三人三様の「30才のお誕生日、おめでとう」で締めて欲しかったかもしれない。
最後は神々しい讃美歌とともに幻想的に終わっちゃうけど、エンディングももっとポップに終わって欲しかったかな。
コロナ禍「人との繋がり」が生んだ希望の映画
監督は、脚本通りというより「目の前で起きる出来事を受け入れながら、大事な何かを繋ぎ合わせて、自然に生み出された映画。コロナ禍でもがきながら生活してきた3年間を耐えられたのは、いつかきっと新しい時代がくるという希望があったから。その体験がこの映画に宿っているはず」とおっしゃっている。
真田くんの熱に引き寄せられ力を貸してくれた恩師、ゼミ仲間、またこれまでの活動で培ってきた人脈を総動員して生まれた映画は、真田Pの熱い人柄なくしては完成に至らなかっただろう。
▼舞台挨拶
30才って、若者との境界線で、なんかすごく大人の節目のような気がする。だけど、30になられた3人が、大丈夫ですよ、と口を揃えて言ってくれた。「そんなに構える事ないです」と。不思議とそんな心構えができる。このまま信じた道を自分の思うままに進んでいいと自信が持てる。主要キャストが全員リアル30Sで、リアルに「QUARTER LIFE CRISIS」を経験しているからこそ沁みる言葉であった。
私が30才になった時に見ると、また違う感想を抱くのかな。
まだまだ考察は止まらないけど、作り手の方々がはっきりとした正解のないままこちらに任せきりなのはどうかとも思う。
あと4回は見る予定で、感想はその都度更新されるかもしれません。
▼Next Stage
「私たちを映画館に連れて行って!」
2022年1月、私がこう叫んだ半年も前からすでに映画制作は始まっていた。内山監督との対談時にはプロジェクトはかなり進行した段階だったのだ。
秘密主義な真田くんの次なる挑戦は何だろうか。
私たちに今度はどんな夢の続きを見せてくれるのだろう。
本作の映画公開がまだ始まったばかりでなんだけど、もう目は次の作品に向かっているかもしれない。真田P、次は監督に挑戦するだろうか。脚本書いちゃったりするだろうか。
「真田くん、私たちを映画館に連れて行って!再び!」