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『新・三茶のポルターガイスト』感想

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 霊感は全くないけど心霊大好き。そんな私が見逃せるはずもなく『新・三茶のポルターガイスト』を観て来た。配信を待てず珍しく映画館で、しかも上映開始初日に。ちなみに私の映画館嫌いなエピソードはこちら

 不可思議な現象が頻繁に起こる物件としてあまりに有名な三軒茶屋にある『ヨコザワ・アクターズ・スタジオ』を舞台にした、心霊検証ドキュメンタリー映画である。2023年3月に公開された前作『三茶のポルターガイスト』は、前半に劇団員が体験したという心霊体験再現ドラマ、後半はスタジオ内での心霊実験で構成されていたが、再現ドラマ内のCGクオリティに味があったせいかどうか、続編である今作は心霊実験検証に全振りしている。
 
 映像の編集技術も高まった昨今、素人でさえ簡単にフェイク動画を作成することができるようになり、心霊番組を見ながらも「これは本物かな」「これはインチキ臭いな」などとそれぞれが独自の解釈で判断しながらエンタメとして楽しんでいる人が多いと思う。私もそう。昔から何度も目にしてきた使いまわしの動画でなく、ゾッとする本物の新作はないか、常に探している。そんな目の肥えた心霊大好きマニアの間でも『ヨコザワ・アクターズ・スタジオ』は撮影すれば必ずや不可思議な現象がカメラに収められる、非常に撮れ高の多い心霊スポットである。今作ではどんな心霊現象が収められているのだろうとわくわくした。

 スタジオ内で、角さんや横澤代表、アイドルや団員の方がコックリさん、スクエアを行って交霊を試み、多くのスタッフが見守る中でも数々の超常現象が起こる。ホワイトボードは激しく揺れ、壁の時計が動き、照明は落ち、天井が揺れ、鏡から水が噴き出し、白い手がゆらめく光景はこれまでも目にしてきたが、今作では真っ黒い頭が現れ、スクエアの中心に置かれた魔法円も揺れ動いた。

 ところで三茶のスタジオに頻繁に現れる霊は複数居るらしいのだが、コックリさんで「てつ」と名乗ったことがあるらしい。だから物音が起こるたび、「てっちゃん?」「てっちゃんなの?」なんて親しげに呼びかける。霊っていくら呼ばれたからってホイホイ出てきてくれるものなのだろうか。そして「てっちゃん」って呼び名、嬉しがるものなのだろうか。

 私のイメージの中の霊は、まったく話の通じない存在である。この世に未練があるから成仏できずに留まったものの、長く居座りすぎてひとの心を忘れひとでなくなったもの。だから空気を読まずに出てきては怖がらせウサを晴らそうとする。あるいは肉体を失ったからひとを操って何かをさせようとする。そんな迷惑な「ひとでないもの」である。何をしでかすか予想が出来ないから怖い。三茶のスタジオに居座り、ポルターガイスト現象を起こしているのは、同じ霊が出てきているならそれは「地縛霊」に分類される霊たちだろうが、恐怖を感じさせているなら決して有難がる存在ではない。こちらの呼びかけに応じてホイホイ出てくるほどお人よしなら、人間に迷惑をかけずとっくに成仏の道を歩むと思うのだが。

 でも安心してください。映画はこちらの期待以上の心霊現象を見せながら進行していく。しかしヨコザワプロダクションの団員たちで構成された「オカルトセブン」というグループが、横澤氏のプロデュース楽曲を披露する場面でいっきに胡散臭くなったように感じた。パフォーマンス中に紛れ込んだもの、あれは肯定派の私でも、ちょっと・・・

 肯定派の出演者ばかりでは検証として成り立たないのか否定派の立場で呼ばれたであろう学者さんが2名出演している。物理学者の方は映像からさらっと解析して、「まあ、何かでしょうね(苦笑)」で終わらせたのだが、超心理学者の方は助手を伴って実際に現場に足を運び、検証してみせた。白い手が出てくる場面にわずかな隙間を見つけては「ここに人が入れる!こうやって手を出したに違いない!」。オカルトセブンのパフォーマンス時の映像をサーモグラフィを使って解析し、紛れ込んだ霊らしきものに体温の反応があることを示した。教授の徹底して「認めない」突っぱねる姿に少々うんざりしたところで映画は終わるのだが、最後にとっておきの映像で締められる。

 しかし最後のあれも、私には懐疑的に映った。

 上映後、監督や角さん、横澤代表による舞台挨拶が行われ、観客にインチキの有無を挙手で問うた。「全部本物だと思う人」「中にはにせものもあるのではないかと思う人」「全部にせものだと思う人」。「全部本物だと思う人」が7割くらいだったろうか。「中にはにせものもあるのではないかと思う人」が残りの3割で、全部にせもの派はざっと見た感じでは居なかったような気がする。そんな心霊に懐疑的な人がわざわざお金を払って初日にこの映画を見に来ることはないから当たり前か。

 上映中に上手前方の客席で線香の匂いがしたと訴える人が何人も居た。私もまさに上手側だったのだが、まったく気づかなかった。鼻は比較的利くほうなのだが。霊感の有無が関係あるのかな。初の心霊体験ができるチャンスを逃してしまったのかもしれない。残念である。
 
 配信されたら、絶対に再度私は見るだろう。多少胡散臭かろうと、好きだから。

 そして実物の角さん、可愛かったな。


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