映画30S 「御手洗」とは

「楽しい記憶と結びついている人」


 
明るく振舞っていたけど、本当は苦労していた人。純粋で、明るい未来を信じていた人。勇気を出して打ち明けた話も、あまりに可哀想な内容に「嘘」と言われてしまう。いい加減に見えて、ずっと真剣に話していたんだろうな。タケルと蓮香の20才の頃の楽しい記憶は、「御手洗」と共に結びついている。

 「御手洗」とは、日々の生活の中で忘れてしまっていた「大切でかけがえない時間」のことなのかもしれない。映画「30S」を見終わった後、皆それぞれの「御手洗」を思い起こすだろう。そして、自分の人生も決して悪くないと「御手洗」に背中を押してもらうのだ。真田くん自身の実体験から生まれたストーリーと思う。

 きっと私にとっては、社会に出る直前の今が「御手洗」となるのだろう。旅行を楽しみ友達と遊びたまにバイトをして実家でぬくぬくと過ごしている。8年後は今より楽しく生活していると信じている。
 30才になった時、改めてこの映画を見たい。どんな人間になっているかな。たぶん何も変わっていない。思うように成長を遂げていない、不器用な生き方を「御手洗」を懐かしみながら肯定したい。年を重ねるのが楽しみになってきた。

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