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日記;2025年1月前半

押し入れを整理していたら、古い日記帳が出てきた。
2020年代かあ。
♪今は冬 そばにあなたはいない 石畳 白く粉雪が舞い踊る♪

当時、「ジャーナリング」なんてのが流行していて、感じたことを書き出すと心を整える効果があるとか言われていた。
それで、みつきも始めたんだった。
ちょっと恥ずかしいけれど、お見せしちゃいますね。
あの頃のロクデモナイ政情、世相を反映してドロドロした感情を吐きまくっているので、覚悟して読んでね。
思想強めだよん、ゆたしく。
エロい記述もちょっぴりあるよ♡
本、映画、ドラマの感想についてはネタバレを含みますのでご注意ください。
(基本、敬称略)

*          *          *

1月某日
いーそーぐゎちでーびる(あけましておめでとう)
あー、楽しかった。大晦日のマリコ先輩の家でやった年忘れ女子会。マリコさん、エイコと3人で紅白歌合戦を見ながらワイワイ飲み食い。一緒に「ウルトラソウル!」と叫んだ。「虎に翼」紅白版スピンオフドラマ、米津元帥(ママ)の「さよーならまたいつか」にウルっときた。泡盛のお湯割りですっかり出来上がってクダ巻いていたエイコも見入っていた。
「この世はあまりにも穏やかとも平和ともほど遠くて、海の向こうでは戦争をしているし、苦しい思いをしているご婦人方は山ほどいる」
寅子のセリフに、パレスチナやミャンマー、ウクライナ、戦乱の絶えないアフリカ、差別やいじめ、貧困、長時間労働、セクハラ、パワハラ、モラハラ、家庭内暴力、育児放棄、性加害のはびこるありとあらゆる現場に想いを馳せた。
2番の歌詞  ♪生まれた日からわたしでいたんだ 知らなかっただろ♪ はハートに響いた。
私は昔からずーっと私で、私であることを許さない世の中を私は憎んでいたんだよ。だからこれからは声を上げて、愚にもつかない世の中を変えていくんだよ、そーだそーだ、と3人で言い合って盛り上がったのでした。
寅子「もどかしくても、大きな一歩前進がなくても、声を上げていくしかないってこと?」
香淑「はい、そうです」
眠りにつくとき、二人のやりとりが頭の中で繰り返し流れたのでした。

午前10時近くに目覚めて。お昼に3人でお雑煮をつくって食べて解散。午後4時過ぎに家に到着。シャワーを浴びてコタツで新聞を読む。
(マンションって、あんまり冷え込まないからコタツはよっぽど寒くならないとスイッチは入れない。暖房だって、ふだん室温は20度c前後で推移してくれているので、まだ使ってないよ。電気代助かるさ)
31日付沖縄タイムス社会面のベタ記事が目に飛び込んできた。
「知念功さん死去 ひめゆり火炎瓶事件」
「2022年6月13日、敗血症で那覇市内の病院で死去していたことが30日までに分かった。72歳。」
知念さんは、1975年の「ひめゆりの塔事件」で礼拝所不敬罪などに問われ実刑判決を受けた。
記事によると、「勾留中の77年、日本赤軍がダッカ日航機ハイジャック事件で知念さんらの釈放を要求。知念さんは赤軍との組織的・思想的な関係はなく、『沖縄解放の闘いは、沖縄を拠点に沖縄人の連帯によって実現する』と拒否した」
ひめゆりの塔事件とは。
「1975年(昭和50)7月、ひめゆりの塔を参拝中の皇太子夫妻にたいし、過激派学生が火炎びんなどを投げつけた事件。献花台前で説明を受けていた夫妻めがけ、壕のなかに隠れていた東京都出身のA(27歳)と那覇市出身のB(27歳)が火炎びんと爆竹を投げ、献花台の近くで炎上した。幸い夫妻にけがはなかった。これより先、夫妻がひめゆりの塔に向かう途中、糸満市の白銀病院前を通過したさい、病気を装って入院していた沖縄市出身のC(26歳)と熊本県出身のD(22歳)が、3階ベランダからクレゾール石けん液の入ったガラスびん、コーラびん、スパナなどを投げつけた。4人ともその場で逮捕され、AとBは礼拝所不敬罪と「火炎びんの使用等の処罰に関する法律」違反で懲役2年6カ月、CとDは公務執行妨害で懲役1年6カ月の実刑判決を受けた」(「沖縄大百科事典」より)

知念氏は週刊朝日(2016年2月5日号「皇太子に火炎瓶を投げた男のその後の人生」)のインタビューに応じている。
「高校時代にベトナム反戦運動にかかわり、大学進学で上京、中核派に加わった。しかし、本土の視点から沖縄の『奪還』を訴える運動方針に違和感を覚え、内ゲバの横行にも幻滅して、沖縄出身者20〜30人で示し合わせて脱退した。そして、さらに同郷人に呼びかけて、沖縄人だけのセクトを立ち上げた」
出所後は看板屋や古書店などで働いたが、そのたびに公安刑事が現れ、「いたたまれず離職する。その繰り返しだった」
更生を邪魔する公安。
これって映画「暗黒街のふたり」(1973、アラン・ドロン、ジョゼ・ジョバンニ監督・脚本)と同じだ。
出所したアラン・ドロンは印刷会社で働くが、執拗な刑事の付きまといに我慢しきれず怒り爆発、刑事を殺してしまい、断頭台に消える。本当の悪人はどっちだ、と考えさせられる映画だった。
ユゴーの「レ・ミゼラブル」(1862年)もそうだ。パンを盗んで牢入りしたジャン・ヴァルジャンを出所後もしつこくつけ回し更生の邪魔をする警官ジャベール……

ノンフィクション作家・矢部宏治氏「天皇メッセージ」の「慰霊の旅・沖縄」にこうある。
「一方、壕のなかに1週間ひそみ、皇太子ご夫妻に火炎ビンをなげつけた知念功と、もうひとりの小林貢(共産同・戦旗派)ですが、彼らも皇太子を傷つけるようなテロ行為が目的ではなく、昭和天皇や日本政府の戦争責任を問うことが目的だったと著書に書いています。事実、火炎ビンも明仁皇太子と美智子妃に当たらないよう、少し離れた柵の内側に投げつけています」
一方、皇太子は、
『「石ぐらい投げられてもいい。そうしたことに恐れず、県民のなかに入っていきたい』
沖縄訪問直前、周囲にそう語っていた」
というから、当時の沖縄県民の天皇、日本軍に対する意識(天皇の名の下に戦われた沖縄戦での多大な犠牲、日本軍による住民虐殺、陰惨な記憶からくる忌避感情)を理解していた。
戦争責任を問う気持ちと沖縄への謝罪の気持ちがあの一瞬に交錯したんだ。

同事件を題材にした文学作品には、桐山襲氏の「聖なる夜 聖なる穴」(1986)がある。狂死した謝花昇の怨念、日本軍に陵辱された慰安婦の怨念、機動隊に顔を壊された活動家の怨念が融合して、壕の暗闇から陽の当たる場所に飛び出していく、火だるまになって……
それにしても3年前かあ。
合掌。

同じ社会面の別のページにはこんな訃報も。
「ウルトラセブン音楽担当 冬木透さん、89歳」
音大で作曲を学ぶ。56年ラジオ東京(現TBS)入社。ウルトラセブン(1967)、帰ってきたウルトラマン(1971)、朝ドラ「鳩子の海」(1974)などの音楽を手がけた。
みつきはウルトラシリーズの脚本を担当した沖縄出身の金城哲夫さん、上原正三さんの大ファンであるからして、当然、冬木さんの音楽も大好きなのである。NHKが再放送(2022年)したウルトセブンは全部DVDプレーヤーに録画してある。セブンのオープニング曲は胸が高鳴ります。
冬木さんの著書「ウルト音楽術」(集英社、2022)によると、ウルトラセブンの特徴は、
「従来の作品の世界観をさらに拡げ、ストーリー、映像、そのヒューマニズムが地球を超えて宇宙にまで到達しているところです。また、ウルトラセブンであるダン隊員と地球人であるアンヌ隊員は相思相愛なのですが、その想いが永遠の別離を超えて遥か大きな次元での実りへと昇華していく点がみごとです」
冬木氏に音楽を打診したのは円谷一監督。
「監督は、『テレビのこんな小さなフレームでは、宇宙の無限の拡がりは、絵として表現するのはむずかしい。そのフレームからもっと拡げて表現できるのは唯一音楽だけだ。そこをぜひともお願いしたい』と」
音楽で宇宙人や怪獣をどう表現するか。
「宇宙人や怪獣も感情を持っていて喜怒哀楽については人間と変わらないのではないか」
こうしてできあがったのがあの荘厳で勇壮な音楽だったのですね。
合掌。
なお、金城氏と上原氏についてはドラマ「ふたりのウルトラマン」(2022年)が素晴らしい。金城を満島真之介、上原を佐久本宝、ともに沖縄の俳優が熱演。このドラマも保存しています。

戦後80年。沖縄タイムスの年間テーマは、「鉄の暴風 吹かせない」
「住民を巻き込んで20万人超の犠牲者を出した沖縄戦の教訓から、戦争を二度と繰り返さないとの価値観を読者と共有します。(中略)さまざまな視点から沖縄戦を見つめ直します」
今年も沖縄タイムス(電子版購読中)、琉球新報(旧ツイッター、LINEフォロー中)の報道に期待します。

1月某日
箱根駅伝は、トトカルチョ的にはまったくおもしろくなかった。本命大学(青学・駒沢・国学院)が上位独占。
今回の箱根にはウチナーンチュ選手が6人エントリーされたって、沖縄タイムスが書いていたので、そこに注目して見ていた。走ったのは4人。
3位の国学院大は2人。6区・嘉陽(北山高出身)は区間16位、9区・上原(同)は区間6位。日大・大仲(北山高出身)が4区で区間17位、専修大・具志堅(コザ高出身)は7区で区間13位。
みんな、よくやった。
しかし、優勝監督、また、のこのこテレビに出てきて「自民党裏金議員を恩赦しろ」なんて世迷い言をドヤ顔で語ったりしないだろうな、駅伝だけやっとけよ。

3日付東京新聞社会面の記事。正月から人を不愉快にさせるなよ、自衛隊!
「沖縄戦司令官の辞世の句 陸自、HPで再掲」だと。
陸上自衛隊第15旅団(那覇市)がホームページをリニューアル、批判を浴びて削除していた牛島満の句を1日に復活させた。
12月の日記で書いた通り「ほとぼりが冷めたらシレっと再掲」しやがった。
3日付が休刊だった沖縄タイムスは4日付で「戦後節目に皇国賛美の句 体験者ら怒る」と報道。
「自衛隊は住民を死に追いやった牛島司令官を褒めるのか」「県民の抗議には耳を貸さないと開き直る挑戦的な対応だ」「戦後80年の年明けに、沖縄戦の苦しみは顧みない。住民の犠牲はためらわないと宣言しているようなもので、到底許されない」
異議なし!
辺野古では完成が見込めない新基地建設を、もう県民への嫌がらせだけが目的で進めているし、自衛隊はなぜそうまでしてウチナーンチュの神経を逆なでするのか。批判を無視して開き直るのか。挑発して楽しんでいるのか?
県民のことなんてなーんにも考えてないのである。「県民を守る」なんて口だけで、いざとなったら沖縄戦と同様、県民を戦場に放り込み、自軍の盾にした挙句、虐殺するに違いない。
そもそも牛島満は南京大虐殺の下手人の一人で、その残虐性をそのまま沖縄に持ち込んで、血にまみれたその手で県民を地獄に追いやった張本人だ。そんな輩の辞世の句をHPに再掲載する性根が危険極まりない。もう自衛隊イコール悪夢そのもの旧日本軍だ。

東京新聞の「本音のコラム」に深くうなずく。
「家制度や家父長主義が消え去ったかというと実体を失った分だけ精神世界にへばりつき、社会構造そのものが『家』化した家父長制=おっさん主義が実は続いています▼家だ、家庭だとうるさいのがご存じ旧統一教会や神道政治連盟などの宗教系組織。これらが日本最大の政治組織『日本会議』と協調して自民党議員らも多数参加する」
この壺売り・集団結婚カルトの政治汚染が明らかになったのが信者家族による安倍晋三殺害だ。安倍とその一派を使って「こども庁」に「家庭」をぶち込んで「こども家庭庁」にしたのもこのカルトだし、何十年も前からある事ない事デマを撒き散らし、ネトウヨ増殖の下地をつくったのもこのカルトの勝共連合、世界日報だ。いまだに犯人が捕まらない赤報隊事件(朝日新聞阪神支局銃撃殺人事件など)とも関わりがあるとされるのもこのカルトだ。
今年はこのカルトに対して裁判所から解散命令が出ると期待される。こんな邪教犯罪集団をいつまでも野放しにしておくのは狂気の沙汰だ。
信教の自由? 解散させられたって宗教上の行為は禁止されない。教団が宗教法人格を失い、税法上の特権が受けられなくなるだけだ。金儲けで宗教やっているのでないなら、法人格なんて関係ないでしょ。社会の片隅でひっそり信仰を深めてればいいんでないのかい。旧オウム真理教信者はそうしているよ。

1月某日
ああ、年末年始10連休もきょうで終わりかあ。
5日付東京新聞社会面。
「被災者を中傷 心ないSNS」
能登半島地震や能登豪雨の被災者に対して誹謗中傷が相次いでいるという。
「芸能人気取り」「被災者のくせに調子に乗るな」「金だけ集めている」……
「心ない人はいっぱいおって、だいぶ疲れた」
何が楽しくて心ないツイートをするのかね、美しい国とやらに住むアレ系の日本人は。
「過激な言葉でたたけば閲覧数が上がり、彼らの収益になる可能性がある。SNS企業が運営姿勢を改善すべきだ」(被災者)
「中傷する側の心理には『公正世界仮説』という現象が影響していると考えられる。(中略)『悪いことが起きたのはその人に原因がある』と無意識に考える人間の傾向のことで、この仮説に基づき、被災者らに対して偏見が向けられたのでは。(中略)加害は簡単だが、被害者が反撃するのは容易ではなく、SNS運営企業には、厳格な取り締まりが求められる」(ネットメディア論に詳しい国際大・山口真一准教授)
この公正世界仮説について、作家の中村文則氏はその著作「逃亡者」(2019年、東京新聞連載小説)でこう指摘している。
「公正世界仮説の危険は(中略)弱者批判に転じることだ。世界は公正で安全だと思いたい。だから何かの被害者が発生すると、君にも落ち度があったのでは? と人は問うようになる」
「公正世界仮説は社会の問題を個人に還元する。(中略)世界や社会を改善しようと思う人間が減るのだ」
「震災で(中略)あれから(中略)何が起きても、大丈夫と思いたくなった感じがあります。何か社会で被害者が出ても、制度云々(うんぬん)じゃなくて、その被害者に落ち度があるんじゃないかって思うようにもなって。そっちの方が楽なんです」
こんな心理状態で平民が平民を叩いて、誰が喜んでいると思う? 為政者だよ。

追記;
クズに引きずられて劣化するSNS。デマ・ヘイトも「表現の自由」なんだと。
「メタ(旧フェイスブック)がファクトチェックをやめる」(9日付東京新聞)と。
オワコンのフェイスブックとしては、クズでゲスな連中に使ってもらって生き延びようというわけ。なんとも浅はかで浅ましく、醜くて穢(けが)らわしい。なにがITの寵児だ、資本屋なんてしょせんこんな連中ばっかりだ。
マスクだのザッカーバーグだのベゾスなど、トランプ、レイシスト、極右に迎合する資本屋が「表現の自由」「言論の自由」を語るなんてちゃんちゃらおかしい。やめてくれ。
もうユーチューブもXもレイシスト、ネトウヨ、カルト、金稼ぎ連中の肥溜めだ。
かつては公衆便所の落書きでとどまっていた差別・誹謗中傷・罵詈雑言が、SNSなんてもののせいで公衆の目に触れることになってしまった。しかも裏を取りファクトチェックを経た情報が掲載される新聞よりも、どこの馬の骨かわからぬインプレ稼ぎのさもしい連中だの下衆な政治屋・芸人・コメンテーターが垂れ流すデマを信じちゃう知性の劣化ぶり。
この国の、世界の未来は限りなく暗いと思わせる新年でござりまするよ。
こんな風刺を書いてみたよ。
フェイスブック、ファクトチェック廃止:
「米国は世界で最も表現の自由を保護する国だ」(ザッカーバーグ)
「米国は世界で最もデマとヘイトを保護する国だ」(まとも人たち)
どこかに投稿しようかしら。

「沖ツラ」いいね。
空えぐみさん原作のアニメ「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる
内地から転校してきた男子高校生が、ウチナーグチ全開の女子を好きになってしまう異文化ラブコメ。
内地では東京MX、BS11での深夜放送だが、沖縄では民放3局(沖縄テレビ、琉球放送、琉球朝日放送)が日・水・木と日替わりで放送。沖縄タイムスによると「3局が同一アニメを放送するのは初めて」(2024年12月27日付)
東京MXで録画したのを見た。もう主役の喜屋武さんがしゃべるウチナーグチが懐かしくて。シャワーのようにウチナーチを浴びたのはいつ以来だろう。どんどん気持ちがほぐれていったさ。
いろいろな「沖縄あるある」も取り上げられていて、ウンウンとうなずきながら見た。
これはもう大ヒットして、「ゴールデンカムイ」がアイヌ理解に役立ったように、沖縄への理解が深まる展開になるといいな。

お休み中に見た映画は7本(順不同)
・「虹をつかむ男」(1996、西田敏行、吉岡秀隆、田中裕子)
・「めがね」(2007、小林聡美、もたいまさこ、市川実日子、薬師丸ひろ子)
・「ふたりエッチ」(2011、森下悠里、横山美雪)
・がんばっていきまっしょい(1998、田中麗奈、真野きりな、清水真実、葵若菜、久積絵夢)
・「カメラを止めるな!」(2017、濱津隆之、しゅはまはるみ、真魚、上田慎一郎監督)
・「総長の首」(1979、菅原文太、ジョニー大倉、三浦浩一、安藤昇、鶴田浩二、梅宮辰夫)
・「カルメン故郷に帰る」(1951、高峰秀子、小林トシ子、井川邦子、笠智衆)

「虹を〜」は、渥美清さんが亡くなり、最新作が出来なくなり、代わりに作られたのだとか。西田さんは地方の映画館主。「ニュー・シネマ・パラダイス」「野菊の如き君なりき」「かくも長き不在」「雨に唄えば」「禁じられた遊び」「東京物語」「男はつらいよ」(第1作)などが登場し、何本もの映画を見た気分にさせてくれる。
出演者は「男はつらいよ」ゆかりの方々。田中裕子さんは「花も嵐も寅次郎」(1982)でマドンナだったし、西田さんも「寅次郎の縁談」(1993、松坂慶子)で「釣りバカ」ハマちゃんの格好で「くるまや」の店先を歩いていました。田中邦衛さんも「奮闘編」(1971、榊原ルミ)、「寅次郎紅の花」(1995、シリーズ最終作)に。田中さんは映写技師役で「パラダイス」とかぶる。
(映写技師といえば先月見た「ファイト・クラブ」(1999)でブラッド・ピットが映写技師のバイトをしていた。ピットがゲスい奴で、子ども向け映画のフィルムにポルノ映画のファックシーンを一コマ入れ込んで悦にいっていた)
吉岡さんが倍賞千恵子さん・前田吟さんの子ども役という設定もそのまま。おいちゃん(下條正巳さん)、おばちゃん(三崎千恵子さん)、源ちゃん(佐藤蛾次郎さん)もちょい役で出ていた。御前様(笠智衆さん)も「東京物語」の上映シーンで登場。ラストには「男はつらいよ」の歌が流れる。渥美さん追悼映画でもありました。
「めがね」。与論島ロケ。小林聡美さんが南国のビーチでたそがれる癒し映画。役者たちの距離感もいい。互いに深入りせず、だんだんと近親感を抱いていく関係が心地良し。薬師丸ひろ子さんがちょい役で出ていた。
民宿経営の光石研いわく「梅はその日の難逃れ」。メモメモ。
「ふたり〜」。森下さんがビデオ屋で借りてくるホラー映画の領収書の日付が2011年。この映画、東日本大震災・福島原発爆発のころにつくっていたんだと思い至る。
「いきまっしょい!」。ブルマー体操着! 時代は1977年、高校漕艇部。こんなピチピチ体操着、同級生男子は鼻血ブー! だったんじゃないかしら。うちらの世代はハーフパンツでほんと良かった。
「カメ止め」は、映画制作現場の熱気がストレートに伝わってくる。護身術「ぽんっ!」は覚えておこう。
「総長〜」、悪の武闘派・梅宮が生き延びてしまい、カタルシス不足。上海帰りのアナキスト文太さんはカッコ良かった。
「カルメン〜」は日本映画初のカラー作品。万一を考え、白黒版も撮ったとか。デコちゃんの太ももがまぶしかった。

「めがね」のセリフ「旅は……永遠には続かないものですよ」
休みも永遠に続かない、っと。明日から仕事かあ(ため息)

1月某日
仕事始め。何事もなく過ぎる。
高校バレー全国大会女子。わが首里高校、「完敗、高さに屈す」(6日付沖縄タイムス)、初戦突破ならず。横浜隼人に0−2(25−14、25−16)。
横浜隼人は2回戦で長岡商に敗れ、長岡商は3回戦で金蘭会(大阪、高校総体覇者)に敗れ、金蘭会は準々決勝で安来(島根)を破り、準決勝で下北沢成徳(東京)に敗れ、下北沢成徳は決勝で共栄学園(東京)に敗れた。共栄学園は19大会ぶり3度目の全国制覇。
その道のりの遠いこと。お疲れ様でした。
(なお、男子準優勝の東福岡には沖縄の選手がいた。13日付沖縄タイムスによると、「県出身4人 準Vに貢献」)

1月某日
7日付東京新聞1面の記事下広告に目を疑った。ネトウヨ出版社のグルド差別本の広告が載っている。ヘイトを飯のネタにする、さもしい安倍マンセーなウヨ(自称)ジャーナリストがあらん限りのヘイトとデマをぶち込んだクズ本だ。
この作者、時事通信の出身。かつては沖縄ヘイトに熱心で、沖縄タイムス記者に誹謗中傷を繰り返し、裁判で負けて全面謝罪している。今度はクルドヘイトでひと儲けを目論でいる輩だ。
(しかし、元時事通信に極右・ネトウヨ・レイシストが多いのはなんでだろ?)
なんで東京新聞にこんな広告が? と首をひねっていたら、同新聞の労組が会社を追及してくれていた。
「本日の『東京新聞』『中日新聞』朝刊1面の書籍広告に関し、組合は社の姿勢を質した。新聞広告は、社の報道姿勢と異なるものも当然ありうるが、差別ヘイトを助長することはあってはならない。読者の疑念にこたえる対処を求めた。中日新聞社は『読者のお叱りをしっかり受け止めて対応します」と答えた』(7日付ツイート)
日本新聞協会のホームページに「新聞広告倫理綱領」が載っている。
今回のネトウヨ・ヘイト本広告は、
1.新聞広告は、真実を伝えるものでなければならない
1.新聞広告は、紙面の品位を損なうものであってはならない
に照らしても、当然掲載不可だ。
さらに、「社会秩序を乱す」「醜悪で不快感を与える」「犯罪を誘発する」などなどの基準にも抵触するだろう。
こんなヘイト・ネトウヨ本に東京新聞が居場所を提供してはいけない。
こんな広告はヘイト・ネトウヨ・カルト御用達・権力御用の産経新聞、ネトウヨ雑誌がお似合いだ。
クズにはクズにふさわしい場所があるのだ。ウヨ界隈に押し込んで、陽のあたる場所に出してはいけないのだ。
後日の東京新聞の見解に注目。

1月某日
フランスのファシスト・ルペンが亡くなった。96歳。
8日付仏紙ユマニテのフロントページには、
「la haine était son métier」(憎しみが彼の職業だった)
残念ながら日本にもウヨウヨいるんだな、この手の類似品が。人生を閉じた際に同じことを書かれそうなレイシストでカルトで極右な政治屋・作家・芸人・(自称)ジャーナリストなどがな。
パリの広場には大勢の人が集まり、極右がこの世から去ったことを祝っているとか。
「We must beat back the right」(極右を粉砕しよう)
8日付英国週刊紙「Socialist Worker」のフロントページの見出しがグッドタイミングすぎる。

トランプの大統領当選が米議会で承認されて、トランプは「歴史的な瞬間だ」とご満悦だってさ。
現金なもんだ。自分が落選した時は支持者を煽(あお)りに煽って議会を襲撃させて警備の警官を何人も殺しているってのにな。しかも襲撃殺人犯人どもを恩赦するってんだからひどいもんだ。
バイデン大統領は「5日のワシントン・ポストへの寄稿で、4年前の襲撃事件を『忘れてはならない』と指摘し、民主主義が試練にさらされた日として記憶すべきだと訴えた」(8日付東京新聞)
バイデン大統領は「あの日の歴史を書き換え、消し去ろうとする執拗な試みが続けられている。過去を忘れた国は必ず同じ過ちを繰り返す」と警告した。
トランプには到底できない発言で、この一点だけでも、トランプより数十倍マシな大統領だということがわかる。
日本にもたくさんいるよね、この国が過去に犯した残虐行為(アイヌ・朝鮮・台湾・琉球侵略、植民地支配、侵略戦争、奪い犯し殺す、関東大震災虐殺、思想弾圧・拷問、強制連行・強制労働・従軍慰安婦、南京大虐殺、沖縄住民虐殺……)を無かったことにしたい連中がさ。

1月某日
10日付東京新聞「発言」欄、21歳の大学生からの投書。
「政府は、学生がバイトを増やせるようにするのではなく、学費などを心配することなく自由に学べるようにするべきだ」
彼女が主張する通りで、〇〇円の壁をいじくって手取りをいくばくか増やせば済む問題ではないはず。学生を借金漬けにする奨学金のローン化や、高騰する学費、社畜育成機関化した教育現場など、こちらの方の改善を優先すべきだと思う。
彼女は、太田愛氏の「未明の砦」(角川書店、2023年、2860円)を読んで、学び考えたという。
「献金で大企業と政府が癒着することで、世の中がいかに一部のお金持ちに都合良く作られているか、よく分かった」とし、
「搾取されている労働者が、外へ見方を広げ、労働闘争の事例や労働法の成立背景を学び、声を上げるきっかけや勇気を得る。読んで、自分が社会人になる前に学んでおくべきことはまだ多くあると感じた」
確かに義務教育でこそ、働く者の権利をしっかり教える必要がある。労働三権(団結権・団体交渉権・ストライキ権)もよく知らぬまま社会に放り出されたら資本屋の食い物にされるだけだ。
「未明の砦」は2023年9月23日付東京新聞が書評欄で取り上げている。
「自分は今、『人間』として扱われているのだろうか? 疑問を抱き、働く環境を変えようとした若者たちが、『共謀罪』の標的になってしまう物語である」
「戦後の労働法制の変遷をたどり、自分の『座標』を知った4人は、静かな怒りを胸に行動を起こす」
「〈今も昔も、なぜこの国ではこれほどに人の命が軽いのか〉。多くの問いをはらんで、世の中のありようを浮き彫りにしている」
未読。地元図書館のサイトで検索してみたら、中央を含め蔵書4図書館すべて「貸出中」でした。いいぞ、わが自治体の市民!

間もなく阪神大震災から30年。同じ日の沖縄タイムスに見過ごせない記事が。
「災害時の性被害発信 神戸の支援団体、女性の声代弁 避難所の防止策提起」
「ある女性は避難所でレイプされ、運営責任者の男性に訴えると『加害者も被災者なんだから大目に見てやれ』と取り合ってもらえなかった」
「世話になった近所の男性から仮設住宅で性交渉を強要されたという女性は『警察に行かなかったのか』との問いに『ここでしか生きていけない時に、誰に訴えればいいんですか』と涙を流した」
「『性被害なんてなかった』『デマを流している』と激しいバッシングや誹謗中傷を浴びた」
東日本大震災でも、避難所での性行為の強要やわいせつ行為、のぞきなどが発生したという。
「平常時からのジェンダー格差が、災害という非常事態下で色濃く出てしまう」
「日本では性暴力に対する認識が低いとし『暴力が起きる可能性があることを広く伝え、災害時のガイドラインに防止策を組み込むことが必要』(中略)避難所の運営に女性が携わる、女性専用スペースを設ける、など」はすぐにでもできることだ。
さて石川県はどうなっている? 対策はさすがに取られているでしょうね、馳知事。
日本全国どこでも大地震に見舞われる。水害もある。原発事故による放射能災害もある。他人事ではないのだ。

1月某日
12日日曜日。録画した映画でも見ようとテレビのスイッチを入れたら、TBS「世界遺産」をやっていた。俳優の鈴木亮平氏がトルコのイスタンブールを案内している。地下宮殿(地下貯水池)、モスク「ハギア・ソフィア」……。
ああ、懐かしい。と言っても、行ったことはないんだけれど。映画「007 ロシアより愛をこめて」(1963、旧題「危機一発」)が大好きで何回も見ているからなんです。
地下貯水池。ボートでソ連大使館の下まで移動して、仕掛けておいた潜望鏡型隠しカメラで会議室をのぞくボンド。ソ連の女性工作員タチアナが入って来る。その美脚がなまめかしい。
(シナリオから原文を。
a smart-looking pair of female legs enter—Tania)
モスク。タチアナと落ち合うボンド。
初めてこの映画を見たのは小学校高学年のころかしら。テレビで。タチアナを演じた金髪ダニエラ・ビアンキ(1942〜、当時21歳)に目を奪われた。世界にはこんなにきれいな人がいるんだ、と。彼女の白いブラウスから透ける白いブラジャーがなぜか気恥ずかしかった。
テレビで放送されるたびに見た。映画館で見たのは学生時代。東京の名画座で。DVDも買った。イアン・フレミングの原作本も買った。
ビアンキがジャームズ・ボンド(ショーン・コネリー、1930〜2020、当時33歳)をベッドで誘惑するシーンは何回見てもドキドキする。
ボンドの部屋に忍び込み、裸でベッドに潜り込むタチアナ。全裸を白いシーツでくるみ、顔だけ出してボンドの帰りを待つ。ボンドが部屋に入って来る。
ここからの二人の会話がスマートというか、大人なのよねえ。
ボンド「まれに見る美人だ」
タチアナ「サンキュー。でも、口が大きすぎると思わない?」
真っ赤なリップのアップ。
ボンド「ちょうどいい。わたしにはね。(私は)期待通りの男かな?」
「わかるわ……朝には」
唇を重ねる二人……
(シナリオから。
Bond:You’re one of the most beautiful girls I’ve ever seen.
Tania:Thank you, but I think my mouth is too big.
Bond:No, It’s right size…for me, that is.
He leans forward and they kiss.
Bond:Well, I hope you’re not, uh…disappointed.
Tania:I will tell you in the morning.
Bond embraces her and they kiss.)
ため息が出た。
大きくなったら私も絶対真似しようって思ったさ。
で、濃厚なベッドシーンは盗撮されていて、そのテープがラストシーンに登場。
ベニスの運河。ゴンドラで肩を寄せ合う二人。ボンド、スーツの胸ポケットからフィルムを取り出して何が映っているのかを確認する。
ボンド「熱演だ」
タチアナ「なんなの、それ?」
ボンド「再演しようか」
抱き合う二人。
フィルムを持ったボンドの手のアップ。
フィルムを運河に投げ捨て、バイバイと手をひらひらさせて「ジ・エンド」
(シナリオから。
Bond:(Looking at it) What a performance!
Tania:What is it?
Bond:I’ll show you.)
うーん、大人すぎる。この映画を見すぎたせいで、長い間、日本の、とくにトレンディードラマが幼稚にしか思えなくなってしまったのでした。
(シナリオはuniversalexports.net で全文読めます)
マット・モンローがメロウな声で歌う主題歌にもうっとり。


1月某日
トランプの暴言が止まらない。大統領就任を控えハイになっているのか?
パナマ運河が欲しい、グリーンランドが欲しい、カナダはアメリカの州になれ、メキシコ湾はアメリカ湾に改名だ(そういえば、去年暮れにはアラスカ州にある、先住民の言葉を冠したデナリ山をマッキンレー山に戻せ、と言っていた)……。
言うことを聞かなければ輸入品に高関税をかける、軍事力行使も視野に入れるぞ、と恫喝までしている。
「よその国に対し『領土を売れ』『俺の国の領土になれ』とか、よくもそんな図々しいことが言えるものだ。アメリカ・ファーストもここまでくると妄想か狂気に近くなる」(12日付東京新聞「本音のコラム」)
「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」
まるでジャイアンだな。保育士をしている母が言っていた。
「2歳前後の幼児って、大変よ。自分がオモチャで遊んでいても、横にいる子が別のオモチャで楽しそうに遊んでいると、それを欲しがる。自分のオモチャに興味を失って、他人のオモチャで遊びたくなる。で、オモチャの引っ張り合いが始まって、お互い大泣きする」
成長に従って譲り合うなど社会性を身につけてくるのだけれど、そのまま大人になって大統領になってしまったのがトランプということか。やれやれ。
なんてことを思いながら、新聞を読んでいたら、13日付東京新聞「カント生誕300年 21世紀の平和論とともに」(上)に概略こうあった。
「『私のもの』と『あなたのもの』が法に基づいて区別されず、力こそがものをいう」状態がいまも続いている。カントの目指した「『私のもの』と『あなたのもの』の区別が確定し、互いに尊重し合う平和的な関係」にはほど遠い現状にある。
「全部、俺のもの」というオツム2歳レベルの権力者はトランプだけではない。プーチン、ネタニヤフ、ミャンマー国軍の暴君(名前、思い出したくもない)……。トランプが大統領でいる4年間のうちにとんでもないことが起きそうで怖いよ。
米国の政治学者・外交専門家もサジを投げている。
「トランプは自分で何をするかさえわかったいないために、他人がその行動を予測するのは非常に難しい」(スティーブ・コトキン「ドナルド・トランプと米国の未来」、12日付東京新聞「時代を読む 内田樹」より)
内田氏は「これは『マッドマン・セオリー』として知られるものである」とし、「統治者が狂っている」と思わせることで状況をコントロールする「先手」を打つんだとか。
トランプと、極右・レイシスト・性暴力加害者でウジャウジャの取り巻きどもにセオリーなんてあると思えないので、やはりロクデモナイことが起こるに違いないと、ますます確信を強めた3連休でした。

さ、気分を変えようと、新聞をペラペラめくっていたら、特報面にこんな記事があったよ。
「ぼかしは芸術性損ねる 米写真家ドキュメンタリー巡り対立 配給元が映倫提訴」
過去に「わいせつ性なし」と最高裁が判断した写真が映っている米映画「メイプルソープ:その写真を見る」(2016)について、
・映画倫理機構(映倫)は男性器、肛門にぼかしを入れればR18+に指定するとしたが、
・配給元のアップリンク社が無修正での公開を求め反発、
・映倫は映画館などでの観覧には不適切とする「区分適用外」と決めた。
・アップ社は「芸術でのぼかしは作り手の人格や作品のクオリティーへの暴力だ」と、昨年11月、映倫に損害賠償を求めて提訴。
米写真家はロバート・メイプルソープ氏(1946−1989)。「花やヌード、セルフポートレートなどのモノクロ写真が有名」(ウィキペディア)
早速、彼の公式サイトをのぞいて写真を見たけれど、「性行為を主題とし男性器、肛門などを誇示・強調するもので(中略)過激な描写・表現」(映倫)なんてことは全然なくて、欲情を著しく刺激されることなんてなかったよ。何に刺激されるかは人それぞれだとは思うけれど、みつきにとっては芸術写真でした。
これは、日本の誇るエロ芸術の極致、わいせつ文化の最高峰、春画にも言えることだ。国宝級のむき身の巨根と女陰の絵を見て卑猥と感じる人がいるのかしら。
春画はすでに無修正での市場流通が当たり前だ。私の蔵書にも春画ール氏の「春画にハマりまして。」(2021、CCCメディアハウス)、「春画の穴 あなたの知らない『奥の奥』」(2023、新潮社)、「春画で読むエロティック日本」(2024、祥伝社新書)があるが、収録されている春画は当然、無修正だ。無修正春画が登場した「春画と日本人」(2019)や「春画先生」(R15、2023)しかり。
この前行った箱根の彫刻の森美術館で展示されている裸像やピカソの描いたデフォルメされた男性器や女性器に向かって「わいせつだ!」と声を荒げる人なんているんですか?
宮沢りえさんや樋口可南子さんのヘア写真集だって問題なく市場に流通しているじゃないですか。
そうそう、学生時代に古本屋で見つけた伴田良輔氏の「独身者の科学 愛の傾向と対策」(1988、河出文庫)も無修正の写真、絵が満載だった。「アロエの葉に割れ目をつくり一晩に六回もそれを行った古代エチオピアの青年を、あなたは笑えますか? 森のキノコ狩りの最中に頬を赤らめたシチリアの少女を笑えますか?」というウラスジを読んで買ったんだった。
大島渚監督の「愛のコリーダ」(1976)の無修正版を見たことがあるけれど、これは素晴らしい映画だった。軍国主義で息が詰まりそうな時代に愛人の男性器を切り取って逃走した阿部定の物語。藤竜也さん(当時35歳)の、松田瑛子さん(当時24歳)の性器も全然いやらしくなく、むしろ美しかったし、殿山泰司さん(当時61歳)のおちんちんはむしろかわいかった。
みつきは一時期、動画配信サービスのGYAO(2023年1月31日でサービス終了)とかで日活ロマンポルノを見まくっていたけれど、ロマンポルノはどれもすごーっくいやらしかったわよ。
「エロスは甘い香り」(1973、桃井かおり)、「時には娼婦のように」(1978、鹿沼えり)、「覗かれた情事」(1972、白川和子)、「金曜日の寝室」(1978、香山麗子)、「OL日記 牝猫の情事」(1972、中川梨絵)、「天使のはらわた 名美」(1979、鹿沼えり)、「天使のはらわた 赤い眩暈」(1988、桂木麻也子)、「八月の濡れた砂」(1971、テレサ野田)、「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」(1981、寺島まゆみ)、「初夜の海」(1984、小田かおる)、「トルコ行進曲 夢の城」(1984、朝比奈順子)、「女教師」(1977、永島瑛子)、「四畳半襖の裏張り」(1973、宮下順子)、「女教師 少年狩り」(1975、ひろみ摩耶)、「女体育教師 飛んで開いて」(1981、朝比奈順子)、「宇能鴻一郎の女体育教師」(1979、鹿沼えり)、「団鬼六 美教師地獄責め」(1985、真咲乱)、「団鬼六 美女縄地獄」(1983、高倉美貴)、「女教師のめざめ」(1981、朝比奈順子)、「白い指の戯れ」(1972、伊佐山ひろ子)……
びっくりしたのはR18ではなかったこと。なんとR15で視聴可能だったこと。街に張り出されたエッチな18禁のピンク映画のポスター。見ないように下を向き小走りに通り過ぎた中高生時代を思い出す。それが、今は高校生でも見られるんです。
大人になってじっくり鑑賞すると、ロマンポルノってエッチだけれども、社会の矛盾をえぐり出したり、どこにでもいる普通の人の、つまり私たちの生き様を描いていて質の高い作品も多いのよね。いまや大物となっている監督の作品も多いし、「え、あの俳優が」って人もたくさん出演している。
(ウィキペディアに「日活ロマンポルノ出演者一覧」が載ってるわ)
ロマンポルノ誕生45年を記念して出版された「日活1971−1988 撮影所が育んだ才能たち」(ワイズ出版、2017)は、みつきの永久保存本です。監督、撮影所スタッフ、俳優のエッセイ、グラビア、全作品紹介など内容充実。
(この素晴らしい本を出したワイズ出版は14日に業務停止してしまった。残念)
とにかくピンク映画でさえR15までゆるくなっている時代に、芸術写真のペニス、アヌスが問題になるなんて絶対おかしい。なぜ、メイプルソープの映画にぼかしを入れないと公開できないのか、私にはさっぱりわからない。
大好きな映画「バリー・リンドン」(1975、スタンリー・キューブリック監督)は絵画のようなシーンの連続でうっとりしてしまう。これぞアートな作品なのだが、レディ・リンドンの入浴シーンにぼかしが入る。映倫が入れさせたたった1カ所のぼかしによって映画の芸術性がぶち壊され、見る者を現実に引き戻してしまう。ぼかしが理性の下に隠していた性的感情を呼び覚ましてしまう。これじゃ逆効果だろ。
映倫の方々のわいせつ感って、相当変態チックにねじくれているとしか思えませんわ。まさか映倫には、性教育における「隠せ、教えるな、寝た子を起こすな」論者(いわゆる極右・カルトな連中)が潜り込んでいるんじゃないでしょうね。

(ところでロマンポルノは「10分に1回、セックスシーンがあればどんなストーリーでもかまわない」というポリシーで自由に制作されていた。
みつきのこの日記も、それにならって、言いたい放題のあい間に必ずエッチな記述をはさむようにしていますのよ)

東京新聞1面トップには、新年から始まった大型連載「スキマバイトの隙間」。
隙間時間に手軽に働けると広がっているが、偽装請負、日雇い派遣などの違法横行、労災など責任所在の曖昧さ……その闇は相当深そうだ。
この日の記事は、土足の床で仮眠させられた高校生の告発。
「労働者が雑に扱われる世界は『(賭博黙示録)カイジ』とか漫画で知っていましたが…。本当にあるんですね」
彼は中学の時、社会科の先生から労働法の知識をみっちり仕込まれたことから、スキマバイトの労働形態に疑問を持った。仮眠時間も勤務時間として扱うように申し入れ、初めは拒否されたが、交渉の末、認めさせた。
「ルールを知っているのと知らないとじゃ、生きていく上で大きく変わってくる」
無知だとしゃぶり尽くされるだけだ。だが、大人でさえ「労働者の権利」を知らず、奴隷のように黙々と働く現状にはうすら寒さを覚える。こんな労働環境を放っておいたら、いつまで経っても「再生の道」になんて乗れないよ。
別の日の記事「スタンバイバイト」(6日付)も相当怖いよ。
ワンルームで待機させられ、どこかの現場で当日のスタッフ欠員が生じたとき、代わりに働くのだという。待機時間は2時間半で、呼び出しがなくても3000円もらえるという。
ただ、呼び出されるまで何の仕事ををさせられるかはわからない。
これは、そのうち呼び出された場所が裏ビデオの撮影現場だったとか、風俗店だったとか、闇バイトだったなんて被害が出ないとも限らないぞ。くわばらくわばら。スキマバイト、こんなのには近づかないに限る。

1月某日
14日付東京新聞。ウクライナ戦争に送り込まれた北朝鮮の兵士が自決を強要されているという。
「北朝鮮兵が所持していたメモに『生け捕りになる前に自爆、自決するよう当局が強要する内容があった』としたほか、(中略)兵士の1人は、ウクライナ軍に拘束されそうになると、『金正恩将軍』と叫びながら、手りゅう弾を取り出して自爆を図ったが、射殺された」
まるで日本軍だな。「生きて虜囚の辱(はずかしめ)を受けず」(東條英機のクソ戦陣訓)、「最後まで敢闘し悠久の大義に生くべし」(牛島満のクソ命令)……住民、兵士に「天皇陛下万歳!」と叫んで自決させる、爆弾持たせて戦車に突っ込ませる、投降しようとする住民、兵士を後ろから銃撃して殺す。権力者連中は人を人と思わずイングヮ(犬ころ)ぐらいにしか思っていない。
こんなロクデナシ日本軍を称揚する自衛隊だから、きっと同じことを繰り返す。
特報面「決意 沖縄に正義を 本土で発信 連帯を」にあった沖縄出身の弁護士・端慶山茂さん(81)の言葉を胸に刻んでおきたい。彼は民間戦争被害者への国家賠償に取り組んでいる。
「戦争を許さないためにも、国に過去への反省を含め謝罪をさせなければならない。現在、将来へ続いている問題だ、国に過ちを認めさせないと、いつかまた間違える」

以下は沖縄タイムスより。
「全国大学ラグビー 帝京、2度目の4連覇」
帝京大には沖縄出身のフッカー當真(沖縄東中−流経柏)がいる。おめでとう。
「全国高校サッカー 前橋育英 2度目の日本一」
前橋育英に1人、敗れた流経柏にも1人、沖縄出身がいた。
昔は甲子園出場を求めて本土からやって来る野球留学生がたくさんいたけれど、いまは沖縄から逸材が全国に散っているんだね。

14日付英国大衆紙「ザ・サン」の1面にこんな見出しがあったので、読んでみた。
「Like Nicole in movie, I’ve never had an Orgasm(with my husband)」
映画「ベイビーガール」(日本では3月公開) で、ニコール・キッドマンはオーガズムを経験したことのないキャリア女性を演じているらしい。サンは同じような一般女性を取材、達したことがないことを、夫を傷つけないように細心の注意を払って伝える様子を記事にしている。
オーガズムかあ。単純系の男性と違って女性は複雑系だからなあ。みつきの場合、真っ黒になってブラックホールというかダークサイドにワープする感じになったことがあるけれど。これが、あのオーガズム? って思っても確信が持てないところがある。まだまだ深い快感があるように思える。女の快感の果ての果てってどんな感じかしら。底なし沼みたに底がないような気がするわ。
マリコ部長も「閉経期が過ぎても快感はどんどん増すよ」なんて言っていたし。
ホットドッグプレス「女子のオーガズム解体新書」(2024年12月26日号)によると、
・セックスでイク(オーガズムを感じる)頻度)は48%が「毎回イク」
そんなに多いのか、とびっくり。
・イク時の状況は「体がピクピク」「アソコがピクピク」「体が激しく動いて止まらなくなる」「電気が走るように体が熱くなる」「足先がピリピリする」「頭が真っ白になる」「息が上がり過呼吸みたいになる」……
バリエーションが多彩。女子の数だけ生き方、いやイキ方があるってことね。

「遅ればせながら新春初笑いの一席を」と米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスCEOのゴンカルベス氏。
「米鉄鋼大手CEO 日本を猛批判」(14日、テレビ朝日)
「中国は悪だ。邪悪で恐ろしい。しかし、日本の方がひどい。断然ひどい」
「日本は邪悪だ。日本が製鉄を含め、中国にたくさんのことを教えた」
「(中国の鉄鋼メーカー)宝鋼集団は日本製鉄によってつくられた」
「日本よ、気をつけろ。あんたたちは自分が何者か理解していない。1945年から何も学んでいない。我々がいかに優れていて、いかに慈悲深く、いかに寛大で寛容か学んでいない」
「日本の総理がアメリカの大統領に、安全保障上の懸念で買収を阻止したことの説明を求めた」
「この総理には、7日後に大統領に就任するトランプ氏に同じ要求をしてほしいね。面白い一日になりそうだ」
日本製鉄の声明:
「ゴンカルベス氏は、偏った固定概念に固執し続けていると認識しております」
「指圧の心は母心〜」の浪越徳次郎じゃないけれど、「ワッハッハー」だね。
日本製鉄のUSスチール買収が失敗しようがどうなろうが、まったく興味はないが、これには大笑いした。
ゴンちゃんのあの口ぶり、口汚さって、日本のアホウヨ・カルト・レイシストを彷彿させる。そんな日本の彼らは、大好きな日本をけなす彼の罵詈雑言に「ならず者め、クズ野郎め」と憤慨したことだろう。日鉄の冷静な声明に溜飲を下げたことだろう。
そう、日本のあんたらはその「偏った固定概念に固執したならず者、クズ野郎」と普通の日本人から思われているんだよ、気がついたかな?
で、そんなゴンちゃんを見て目を覚まし真っ当な人に転向する人が出てくれれば、彼の悪罵も無駄ではなかったことになるよ。めでたしめでたしだ。それでも変わらない人は? 本当のクズ野郎さ。
しかし、日本のその手の香ばしい方々って、なぜかトランプ好きが多いよね。米国押し付け憲法改憲が悲願の櫻井よしこ婆さんなんて以前、トランプが大相撲見学したとき、握手を求めてわーきゃー大はしゃぎしていたのは記憶に新しい。でも、今回の一件で、アメリカのご同類は日本のことが大嫌いだということが判明。重ねてめでたしめでたし。

1月某日
「新型コロナウイルス感染者が国内で初確認されてから15日で5年となった」(15日付東京新聞)
後輩のエイコが以前、「若き乙女に忍従を強いて、歳だけムダに重ねさせた憎っくきコロナ。ざけんなよ」って叫んでいたけれど、5年かあ(遠い目)
「感染7000万人、死者13万人」
志村けんさんら著名人もたくさん亡くなった。わたしの会社の人も何人か犠牲になった。
「オミクロン株による感染が急拡大した2022年をピークに死者数は減っているが、インフルエンザより圧倒的に多い」
20〜23年、24年1〜8月の死者数はコロナ約13万2000人、インフル約3600人(人口動態調査)なんだとか。
現在、インフルが過去最大級の感染者数で猛威をふるっているけれど、コロナの脅威も減じていないってことよね。
23年5月に感染症法上の位置付けが5類に変更されて全数報告をやめてから感染実態が把握されにくくなっているけれど、人口動態調査によると24年1〜8月だけでコロナ死者数は2万6302人。やっぱり怖い。
みつきはこの間、熱を出したのは1回。抗原検査キットでは陰性だったんだけれど、実際のところどうだったんだか。でも、これ以外はほぼ風邪もひかなかった。コロナ以前は毎冬1回はひどい風邪をひいていたから、やはりマスク・手洗い・うがい対策の効果は高い。今後も対策は必須だ。
しかし、この後に及んでマスクをつけない人って、なに考えているんだろ。謎だわ。で、ノーマスクの人に限って咳エチケットがなってないってのも謎だわ。ま、そういう人から感染していくんだろな、って考えるのが合理的っていうか、公正世界仮説?
みつきは、道の向こうからノーマスクが来たら歩道の端へ移動するし、狭い道だったら手近な路地に逃げる(でもそうするとその路地にもノーマスがいるってことがままあって、なんでやねん、ってなる)、どちらもできない時は呼吸を止めてすれ違う。コロナ禍からの外出の習慣ですわ。
この間、新型コロナに関するノルポルタージュ、文芸作品がたくさん出版された。みつきも何冊か買った。不安な気持ちを、非日常が日常になってしまった記憶にとどめておくために。
・「武漢日記 封鎖下60日の魂の記録」(方方、2020年、河出書房新社)
封鎖された1100万都市・武漢に住む女性作家による日記。「身近な人が次々と死んでいく悲惨な状況、食料品やマスクの不足、医療現場の疲弊と焦燥……」
・「デイ・トゥ・デイ」 上下(2021年、講談社)
「100人超の著名漫画家が集いコロナ禍の日常を描いた」
2020年4月1日から7月9日までの記録。
・100日で収束しない日本のコロナ禍(ぼうごなつこ、扶桑社、2021年)
「日本の新型コロナ苦境は誰のせい!? 場当たり凌ぎで反科学的対策で日本中を苦しめる呆れた面々」
・「パンデミックを超えて」(別冊100分de名著、NHK、2022年)
「歴史的な災厄が突き付けた『問い』とは?」
22年1月3日の放送をまとめた記録。斉藤幸平氏はジジェク「パンデミック」「パンデミック2」を、小川公代氏はウルフの「ダロウェイ夫人」を、栗原康氏は「大杉栄評論集」を、高橋源一郎氏はサラマーゴの「白い闇」を論じた。
・令和勤労婦人詩集(鰊パイ互助会、2020年)
文芸サークルによるアンソロジー。
「日々の残業、飲み会、舞い込む案件でばたばたしていた我々の生活に、新型コロナウイルスがやってきた」
コロナ禍で働き続ける23名の女性の本音が、詩、短歌、俳句にあふれ出ている。
「飲みにも映画館にも行けず 憎むべき敵コロナウイルス 上司に代わりコロナウイルス」
「世の中がすっかり変わってしまったように感じられて、そのひどさに涙がこぼれてしまう」
コロナ禍で必死に生きる女性の心情を記録した貴重な一冊。23人の中にはその後、商業出版を果たした方もいる。

私も一首。
「Coronaって亀頭冠のことと知るウィキペディア」
まああ、お下品。
(了)


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