
日記;2024年4月
押し入れを整理していたら、古い日記帳が出てきた。
2020年代かあ。♪ 誰かと恋に落ちて また砕けて やがて離れ離れ……
当時、「ジャーナリング」なんてのが流行していて、感じたことを書き出すと心を整える効果があるとか言われていた。
それで、みつきも始めたんだった。
ちょっと恥ずかしいけれど、お見せしちゃいますね。
あの頃のロクデモナイ政情、世相を反映してドロドロした感情を吐きまくっているので、覚悟して読んでね。
思想、でーじ強めだよ、ゆたしく。
エロい記述もあるよ♡
(基本、敬称略)
* * *
4月某日
1日から始まった朝ドラの「虎に翼」がいい。女性初の裁判官、三淵嘉子さんがモデル。
前の朝ドラ「ブギウギ」のモデル、笠置しず子さんと同じ1914年生まれ。
憲法14条「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない
(※門地=家柄、家格)
新聞に掲載された憲法条文をしっかり読み込む主人公、寅子(ともこ、父や友人からはトラコ、トラちゃんと呼ばれている)が、男社会から無視され屈従させられ虐げられてきた女性たちが、どのようにカビまみれの古臭い価値観を粉砕していくか、楽しみだ。
寅子の「はて?」。
疑問に思ったり、それはおかしいと思ったら、どんどん声を上げていく姿勢は見習いたい。
寅子たちが直面する「理不尽」は現代でも続いているのだから。
近くの図書館で読んだ週刊金曜日にこんな記事があった。
「『虎に翼』 原爆裁判(1963年東京地裁判決)をどう取り上げるのか」
三淵裁判官は国を被告とした「原爆裁判」で判事を務めた。
被告の自民党政府は、
「原子爆弾の使用は日本の降伏を早め……人命殺傷を防止する結果をもたらした」
と、米国と同じ理屈で原爆投下を正当化していたという。
これは初めて知った。
NHKは経営が、報道が(とくに政治部が)権力に取り込まれ信用できなくなっているけれど、ドラマやEテレ部門は良心を感じる番組を作り続けている。
「虎に翼」で、この裁判が描かれるところまでいくかどうか。
取り上げるなら、判決で米国を、オッペンハイマーを断罪した、よかったよかった気が晴れた、と表面だけなぞるのではなく、政府側のトンデモ主張をきちんと折り込んで、米国に逆らえない、今に続く従属(平たく言えば、米国のポチ)関係をきっちり描いてくれることと思う。
大学の女子部に入学した寅子らに、軽薄男子学生らが冷やかしのヤジ。
「出た。魔女部! 嫁の貰い手がなくなるぞー」
寅子「これが母の言う地獄か。だとしたら随分幼稚な地獄だな」(第6回)
小気味良かった。
主題歌もいいね。
「さよーならまたいつか!」
作詞・作曲・歌は米津元帥(ママ)。
軽やかでノリが良くて体が思わず動き出す。
ドラマでは歌われない2番の歌詞
「繋がれていた縄を握りしめて
しかと噛みちぎる
貫け狙い定め 蓋(けだ)し虎へ
どこまでもゆけ」
は、寅子や同級生の力強い生き方を暗示しているようで、勇気が出てくる。
私の好きな曲、ビヨンセの「フリーダム」と同様の力強さが伝わってくる。
「私にも自由が必要だから
私は自分で鎖を断ち切る
自分の自由を地獄で腐らせない
私は走り続ける」
なお、「寅に翼」は中国の故事成語。
公式サイトには「中国の法家『韓非子』の言葉で、「鬼に金棒」と同じく「強い上にもさらに強さが加わる」という意味があります。(略)法律という翼を得て力強く羽ばたいていく寅子が、その強大な力にとまどい時には悩みながら、弱き人々のために自らの翼を正しく使えるよう、一歩ずつ成長していく姿をイメージしています。」
ふむふむ。
エイコの影響で中国語の勉強を始めた私、自分でも調べてみた。
新華成語辞典に
「为虎傅翼:比喻助长恶人的整力」
とあった。
「虎に翼:悪党の勢いを助長させる、のたとえ」
「虎に翼を与えてはいけない。都に飛んで人を食べてしまう」
本来は、良い意味では使われない言葉のようです。
4月某日
この日の東京新聞も「劣化する国」をまざまざと見せつけるニュースであふれていた。
・自治体の半分近くが人事院勧告を無視。非正規の給料だけ上げず。
・静岡県の川勝知事が入庁式の訓示で「職業差別」発言し自慰、じゃない辞意。
・クルド人排除デモに抗議する市民に埼玉県警職員が「ダニ!」
差別が蔓延していてうんざりする。
まさに非正規差別。「同一労働同一賃金」なんて絵空事だ。
静岡県知事は「差別意識はなかった」と弁解しているが、これってレイシストの定番言い訳だから。
「差別と認識せず」とも立派な差別です。これは世界の常識。
知事のリニア新幹線反対は評価していたのにねえ。
「ダニ発言」。記事は県警職員が、となっているが、写真を見るとネクタイ姿。いわゆる私服(公安)でしょう。
戦前の特高警察意識丸出しポリ公はいまだ健在なのだ。
4月某日
ドジャース・大谷選手の口座から24億円を勝手に引き出し違法賭博に使っていた元通訳が起訴されたって、テレビも新聞も大騒ぎしている。
私は興味ないな。
額が大きすぎてピンとこないし、別世界の人の話だしねえ。
大谷選手の収入は、なにしろ10年契約1015億円ですからね。
24億円かすめ取られたって、痛くも痒くもないんではないか。
年収500万円の人が二万年以上働く必要がある収入だって。日給なら2781万円。
はは、汗水垂らして働くのがバカバカしくなるから、これ以上計算するのはやめよう。
大富豪の懐具合いを我々庶民が心配する必要なんてないもんね。以上。
4月某日
フランス在住のフリージャーナリスト、浅野素女(もとめ)さんが東京新聞朝刊の連載コラム「芝犬フランス歩記」で書いていた。『性生活の縮小 あらがえぬ波』。
「性関係の切れ目が縁の切れ目」「カップルでいるなら性関係があって当然」「性生活の充実が幸福の条件」というフランスで、セックス離れが進んでいるんですって。
これは「世界的な傾向」とも。無理してパートナーに付き合うのをやめる女性が増えた、ドラマや映画、ゲームの方がセックスより楽しいと考える男性が多くなった、のが理由とか。
とくに男性はSNSに時間を費やすためにセックスを「はしょる」傾向が強いんだとか。
(まあ、私の少ない経験からすると、はしょらずともあっという間に終わる男の方が圧倒的に多かったけどね)
ま、私なんかやらなければやらないで何ともないタイプだし、パートナーにさせてあげるのが面倒くさいってパリジェンヌが考えるのは理解できる。
浅野さんは「パソコンやスマートフォンの青い光はリビドーを殺すのかどうか…その道の研究者に調べてもらいたい」と締めている。
たぶん性的欲望の減衰、セックス回避は人類滅亡に向けた「進化」なんじゃないか。日本の少子化も同じでしょう。
草食男子が現れたのは2000年代半ば以降だから、大和民族は世界に先駆けて消えていく可能性が大きいね。
と、通勤電車の中で愚考したのでありました。
4月某日
「市民運動が盛んで、政府や権力に厳しい視線を持つ点でも沖縄と台湾は似ています。基地問題で声をあげる人たちを『反日』とさげすむ人が日本の一部にいますが、意に沿わない台湾人を『独立分子』とみなす中国と重なります」
台湾出身、東洋経済新報の記者が朝日新聞(4月19日付)で語っていた。
その通り。
嫌中の自民、カルト、ネトウヨ、レイシスト、ミソジニー連中は、ふだん親台派を気取っているけれど、自公政府にもの申したり、LGBTQや民族、障害者などマイノリティーの問題に言及したりすると途端に「反日! 日本から出ていけ!」と、かつての首相みたいに口とんがらせて叫び出す。蓮舫さんや芥川賞作家・李琴峰さんへの悪意あるバッシングを見てみろ。
彼奴等(きゃつら)は、沖縄に対しても同じ対応さ。
ふだんは海、自然、料理、優しい人柄などなど、「沖縄」を旅行者として満喫(食い散らかし)して「沖縄大好き。沖縄病になりました」なんてニコニコ語っているくせに、基地問題で声を上げるととたんに罵声を浴びせてくる。
「土人!」と吐き捨てたナイチャーの腐れお巡りなんてその典型でしょ。
「そうやって沖縄に基地の負担を押し付けながら、本土は経済成長を推し進め、快適な暮らしをする。たまに沖縄に行って、海が綺麗だね、ステーキやタコスが美味しいね、と基地問題を忘却して、ただ消費する。これが帝国的生活様式だ」
「人新世の資本論」著者、斎藤幸平・東大准教授が雑誌に書いていたのを読んだことがある。
まったくその通りよ。
沖縄を見る目が完全に宗主国気取りなんだ。沖縄を植民地だと思っている。
だから、みつきもそんな輩らを、ならず者、専制主義者とみなしているさ。
もう亡くなってしまったけれど、翁長雄治・沖縄県知事の「イデオロギーよりアイデンティティー」。
聞いた時は感激したよ。ウチナーンチュとしての血が沸きたったさ。
沖縄が強いられている問題を、左右ではなくアイデンティティーで考える。そうすることで、いろいろワジワジー、モヤモヤが晴れたよ。
国連自由権規約委員会は、日本政府報告書に対する審査総括所見の中で、
「琉球/沖縄の人びとを国内法で先住の人民と明確に認め、彼らの継承文化や伝統的生活様式を保護、保存及び促進する特別な措置を講じ、彼らの土地についての権利を認めるべきである」
と指摘している。
沖縄のコモン(公共財)を、カネ儲けしか考えない強欲な政治屋、企業屋の好き放題にさせない。
沖縄の土地、海、資源をどう扱うかは、ウチナーンチュが決める。
「自己決定権」を日本に対して突きつける。
気の遠くなる時間がかかる。
みつきがおばあちゃんになっても実現しないかもしれないけれど、始めなければ実現もない。
「思想強め」のみつきは、その時から「アイデンティティー派」になったのだ。
遠い未来の「琉球共和国」を、美しすぎる胸に秘めながら。
4月某日
衆院補欠選挙投票日。立憲民主党が全勝。
・選挙買収で逮捕された自民議員の東京15区
・反社カルト、セクハラ、裏金真っ黒けでも議員を辞めず病没した自民議員の島根1区
・裏金ため込み起訴された自民議員の長崎3区
投票締め切りの8時が過ぎると、即、立憲系候補全員の当選確実が出た。
これは自民党への退場勧告ですね。一時的な「お灸」なんてものじゃない。有権者は愛想をつかしている。
裏金自民は、もうけっこう。自公政権、もうけっこう。
立憲叩きだけのボンクラ選挙戦で全敗した日本維新の会は、一地方のカッペ政党がお似合いでしょう。
学歴詐称疑惑再燃の小池百合子都知事に乗っかった国民民主党、連合も大惨敗。
有権者が維新と同様、自民党と同じ穴のムジナと判断した結果でしょう。
連合は反共・親自民の芳野会長を放逐すべきだ。労働者を守るべき労働組合が自民党とつるんでどうする。
芳野はしょせん労使協調御用組合の寄せ集め、同盟出身。もともと顔が経営側、権力側に向いている。
東京15区に突然候補を立てた日本保守党なんてたいそうな名のネトウヨ党は、小池・国民の候補を上回る票(9候補中4位)を得た。
これは候補者を立てられなかった自民の支持層が流れただけ。しかもその最底辺層(差別主義者、歴史改ざん極右、反社カルト、ネトウヨ、ミソジニー)がね。
選挙運動最終日、連中はこの候補の周りで日の丸を振り回して騒いでいたが、その光景の醜悪さといったら。
こんな輩が日の丸を冒涜(ぼうとく)し日本をおとしめているのよ。
二句できた。
「日の丸を掲げりゃ俺も愛国者」
「愛国者日の丸御旗にヘイト吐き」
そんなことより、同じ東京15区の無所属候補の2位(れいわ新選組の山本太郎氏が応援)に注目した。
立憲・社・共・れ・無党派の反自民の凄まじさが可視化されたのです。
この東京の結果と合わせ、自民の金城湯池だった島根でのダブルスコアでの惨敗、長崎での維新の不人気。自民・維新・小池・連合系、レイシスト極右カルト諸派への嫌悪感が際立った選挙だった、と総括しておきましょう。
一連の選挙結果を問われた自民党の岸田首相が島根のことを鳥取と言い間違えたことも付記しておく。
4月某日
「GWだ外遊だ与党のうちに金使っちゃえ 後は野となれ山となれ」か。
「岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12億円超!円安放置し『血税ごっつぁん』外遊三昧のア然」(4月30日付日刊ゲンダイ)
呆れて何も言えません。