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日記;2024年11月後半

押し入れを整理していたら、古い日記帳が出てきた。
2020年代かあ。♪夜明けのコーヒー ふたりで飲もうと あの人が云った……

当時、「ジャーナリング」なんてのが流行していて、感じたことを書き出すと心を整える効果があるとか言われていた。
それで、みつきも始めたんだった。
ちょっと恥ずかしいけれど、お見せしちゃいますね。
あの頃のロクデモナイ政情、世相を反映してドロドロした感情を吐きまくっているので、覚悟して読んでね。
思想強めだよん、ゆたしく。
エロい記述もちょっぴりあるよ♡
ドラマ、映画、本の感想についてはネタバレを含みますのでご注意ください。

(基本、敬称略)

*          *          *

11月某日
明治大学 ナイス!
「山の上ホテル 明大が取得」(16日付東京新聞)
ホテルの外観は維持。耐震補強などの改修を経てホテルとして再開。
つくっては壊す能のない再開発で景観や緑が破壊され、どこも似たような街並みに改悪されている現状にうんざりしていたので、痛快です。
阪神甲子園球場も外観はそのまま見事なリノベーションを行った。あれこれ理由をつけて緑の破壊を伴う新球場建設を強行するスワローズの神宮球場とは大違いだ。

午前、中央図書館。「群像」2024年6月号借りる。目当ては群像新人文学賞・豊永浩平氏の「月(ちち)の走(は)いや、馬(うんま)の走(は)い」。
作者は沖縄生まれ、21歳の琉球大学生。11月5日には野間文芸新人賞も受賞。
豊永氏は6月4日付沖縄タイムスのインタビューで、作品について、こう語っている。
「1945年から2023年までのいろいろな要素が組み合わさっている。沖縄の歴史や暴力的な苦しさという側面と、それに対抗する住民の揺れ動きというか、沖縄の歴史の揺れ動き方を捉えようとした作品だ。沖縄戦は以前から書きたかったが、今回着手した。大城立裕さんや目取真俊さんは戦中・戦後の人だが自分はそこから離れた世代。現在の位置から、戦争体験や過去の歴史が、今にどう影響を及ぼしているのかということを念頭に置いて書いた」

ついでに除籍本(文庫2冊、新書1冊)をもらってくる。
・「殴られてもブルース」(スティーヴン・ウォマック、ハヤカワ文庫、1995、アメリカ探偵作家クラブ賞受賞)
「ある日、昔の恋人が、夫の外科医が脅迫されていると泣きついてきた……情は厚いが財布は薄い、脱サラ探偵初登場」(裏表紙のあらすじ、略してウ、ウラスジかよ! byタモリ倶楽部)
・「大統領候補の犯罪」(ダグラス・カイカー、新潮文庫、1992)
「水底に沈んでいるフォルクスワーゲン・ビートル、車中にはブラジャーと巻きスカート姿の女、大統領候補と何らかの関わりがあるようなのだ……」(ウラスジより)
これはケネディ大統領の弟、エドワード・ケネディのチャパキディック事件(1969年)がモデルかしら。
・「活動家一丁あがり! 社会にモノ言うはじめの一歩」(湯浅誠、NHK出版新書、2011年3月10日←発行日が東日本大震災の前日)
著者の湯浅氏は2008年、リーマン・ショック大不況の折の「年越し派遣村」の村長として有名。東大卒、貧困問題に詳しく、フードバンクやこども食堂などにも取り組んでいる。
反原発デモにも野田やめろデモにも行ったし、辺野古新基地建設に反対していた時の名護市にふるさと納税したし(その後、容認派に市長が変わったので今はしていない)、反安保法・反秘密法・安倍やめろデモにも行ったし、チェンジ・オーグやグリーンピース、アムネスティの署名にも積極的に取り組んでいるし、みつきは一丁上がっているってことでいいかしら。

11月某日
宮崎駿さんに感謝。
「アジアのノーベル賞といわれるマグサイサイ賞の授賞式が16日、マニラで開かれた。受賞したアニメ映画監督の宮崎駿氏(83)は式典を欠席。代わりに寄せたメッセージで、太平洋戦争時にフィリピンで日本による多数の市民殺害を『日本人は忘れてはいけない』『日本人は戦時中、ひどいことを散々した。民間人をたくさん殺した』と訴えた」(16日共同通信)
日本軍の加害を知らない人には知るキッカケになった。知ろうともしない、あまつさえ「そんなことはなかった」などと歴史を修正・捏造する輩には耳痛だったことでしょう。

日本軍はフィリピンで強姦もしている。
一例を。当時の米紙(1945年11月1日付シカゴ・デイリー・トリビューン)が山下泰文裁判での証言を伝えている。
見出しは「Atrocity trial reveals mass rape in Manila」(虐殺裁判でマニラでの集団レイプ明らかに)
「昨年2月、日本軍が女性と少女100人を集団で強姦」
「女性400人をホテルに連れ出し兵士と将校が強姦。被害者の中には12歳、14歳の少女も」
「何人かの女性は近くのアパートに連れて行かれ、繰り返し強姦された」
「ほぼ同じころ、日本軍はスペイン、ロシア、中国、フィリピンの女性30人をマニラ市内のホテルに連れて行き、暴行。監禁中、女性たちは食事も水もほとんど与えられず」
「日本の男たちは……任務が終わった後は士官に邪魔されず好きなようにできる、と日本人大尉」
日本人が知らなければいけない、忘れてはいけない、繰り返してはいけない歴史です。

追記:23日付東京新聞。
「日本軍に集団レイプされた被害者13人が日本政府に『苦しみの代償』を払うようを訴えた」
大半が当時9歳から14歳の少女。まさに鬼畜の所業。
過去の話じゃないのだ。
歴史修正捏造な連中がいくら騒いでも、過去は消せないし、過去はこうして現在につながっているのだ。

11月某日
17日、兵庫県知事選投開票。信じられない結果だ。
公益通報者を自殺に追いやったパワハラ斎藤元彦知事が再選だと。
この知事、ネット空間でいつの間にか「かわいそうな人」に転じていて、「パワハラ・おねだり」はメディアの捏造になっていて、県職員・議会は知事をいじめる悪者にされていて……。それをあおるN国党の立花某なんて煽動屋の言うことを今さら真に受けるリテラシー無しが続出し、反社カルトだの、極右集団だの裏金安倍派の自民党(会派)国会議員らが暗躍し、知事を応援するフラーなならず者連中が斎藤を批判する市民に暴力をふるい逮捕者続出。実に異様なバカ丸出しな選挙戦だった。斎藤に一票を投じた兵庫の有権者、大丈夫か?

斎藤当選後、同陣営に雇われたパブ屋の社長が「note」に、当選させるために取った戦略を自慢するコラムを掲載し、大騒ぎになっている。
①マスメディアの偏向報道に疑問を持っている人らに、斎藤を好きになってもらう「種まき」フェーズ②選挙に興味がなかった人・何が真実か分かっていない人に、斎藤への見方を変えてもらう「育成」フェーズ③アンチな人・誤解している人に、斎藤支持を進める「収穫」フェーズ
により、斎藤のイメージを覆していった、んだと。
だまされた有権者がバカでした。♪そんなパプ屋にだまされて……ってな結果になっちゃったね、はは。

このパブ屋に斎藤陣営からカネが渡っていたら公選法違反、渡っていなくても政治資金規制法違反の疑いが強いという。どう転んでもバツ、警察、検察はさっさと捜査しろ。

週刊文春11月28日号によると、斎藤支持者によるSNS部隊ってのがあって「X」や「YouTube」「インスタグラム」「TikTok」で情報、動画を拡散していたって。
「(SNSでの)石丸部隊(みつき注:あの都知事選のぬるぬめ男)が、国民民主党の玉木部隊(同:与党になりたくてよだれダラダラの不倫党首)になり、それが斎藤部隊になった」
これ、特定の勢力が陰でこそこそ動いているってことだよね。こういう連中がパブ屋の指揮下でうごめき、斎藤を応援する煽動屋(実は裏で繋がっていたとされる)が当選する気もないのに立候補してデマをがなり散らして民意を誘導していった。

ポッと出のパプ屋によるPR戦略に易々と乗せられる、コントロールされちゃう有権者ってのも相当危険だよね。これじゃ関東大震災のデマを信じて朝鮮・中国・沖縄人を虐殺した心性とまったく変わらない。怖い怖い。これを電通など大手パブ屋にやられたら、憲法改悪、徴兵制なんてあっという間に実現し、日本人を「お国のために命を捨てよう」なんて集団催眠にかけるなんてこともちょろいもんだ。

今回、「ネットで真実を知った」なんて方々が兵庫県でたくさん湧いていたけれど、周回遅れ、それも10周遅れくらいリテラシーが崩壊しているよね。ま、都知事選の石丸だの衆院選の玉木だのをみれば、兵庫に限らずなんだけどさ。
なんで今さら真に受けちゃうんだろう。ネットがデマ・フェイク・ヘイトであふれているという常識が通じない人がいまだにいるんだ。メディアが裏をとって報じるニュースを信じずに、どこの馬の骨とも分からぬ赤の他人が根拠不明・エビデンスなしでバラまく情報の方を「真実」だと思い込んじゃう人がたくさんいる現実。
しかも、馬の骨の方は閲覧数、再生数が増えれば転がり込んでくるカネ稼ぎが目的だってのに、嬉々として閲覧しちゃう。まるで挊(せんずり)に夢中なサル状態。みつき、信じらんな〜い。

斎藤が再選されたけれど、百条委員会の調査はこれからも続くし、問題は何も消えていない。メディアは引き続き追及すべし。

毎日新聞が9日付コラム「土記」で書いていた。
「民主的な選挙で表れた民意を、常に神聖な英知のように夢想するのもこっけいである。民主主義の歴史は、浅はかさ、愚かさ、過ちの洗礼に事欠かない」
ヒトラーしかり、トランプしかり、安倍晋三しかり、今回の斎藤しかり。

いろんな人が今回の兵庫県知事選についてコメントしている。まとめて記録し今後の戒めとしたい。
・「公益通報保護法を無視しても、地元金融機関への補助金を背任しても、そして2人の職員を自死に追い込み、県議会全員一致で辞任を決議された斎藤元彦が兵庫県知事に再選された。トランプだけでない。日本にもフェイクファシズムがやってきた」(経済学者・金子勝氏)
・「パワハラは『マスコミが流したデマ』で、パワハラで死者まで出した反社会的人物が『実はいい人』。それを見抜いた自分は『マスコミに騙されない・真実に目覚めた人』。ほんとうにいまの日本人が好きなストーリーじゃない?」(作家・佐々木中氏)
・「トランプの場合も今回の斎藤知事の場合もそうだけれど『これだけ多数の民意を掬い上げることができなかった既存の政治運動の問題だ』という論法が幅を利かせていますけれど、僕はそうは思いません。逆でしょ?  『これだけ多数の民意をやすやすと掬い上げてしまうような政治運動は危険だ』でしょ。僕の経験が教えるのは『あっという間に形成される多数派』ほど無内容でかつ危険なものはないということです」(神戸女学院大学名誉教授・内田樹氏)
・「私が今、1番危惧しているのは今回のような、何もエビデンスがないストーリーを突然作りYouTubeなどで発信するという選挙のやり方。これを大きな力が『成功体験』として今後どんどんやるのでは。。という事です」(俳優・毬谷友子)
・「あらためて、『物語(ストーリー)』って恐ろしいな。インパクトの強いストーリーを流布させることにさえ成功すれば、根拠なんかなくても人々はたやすく押し流される。そのことをわかっていて道具に使う人が上に立つのはなおさら恐ろしいな」(作家・村山由佳)
・「斎藤氏の疑惑の本質は、内部告発者の犯人探しをし、処分に踏み切ったことだった。公益通報者保護法に違反している疑いが強いことが疑惑の核心だったのだ。ところがマスコミ報道は、県庁内部からリークされるパワハラ疑惑やおねだり疑惑に集中し、本筋の公益通報者保護の問題は二の次だった。このような報道姿勢も問われることになろう」(サメジマ・タイムス)
・「真実が虚偽に敗れた、誠実が不実に敗れた、寛容が傲慢に敗れた、賢明が蒙昧に敗れた、正気が狂気に敗れた兵庫県知事選。この深刻な民主主義の危機は、メディアと教育の責任だ」(教育評論家・前川喜平)
・「一番問題だったのは、公益通報した職員を保護しなかったこと、一方的に犯人捜しみたいなことをして、結果的に死に追いやってしまったという事実があるわけです、これについて『自分は間違ってなかった』と選挙後も言われてますので、それですと、同じ様なことがあったらまた同じ結果になるんですか? って話になるので、職員はものが言えなくなっちゃいますよね、そこを本当に謙虚であれば、自分は公益通報を保護できなかったのは間違っていたというところからスタートしないと県職員との信頼関係は結べない」(元鳥取県知事・片山善博)

斎藤に投票しちゃった人たちってコレか、と思ったのがコレ。

・「『マスコミは信じられないけれど、SNSは信じられる』というのは、受動と能動の違いが大きいと思う。マスコミからは一方的に情報を受け取るが、SNSは自分が『探しに』行き、『能動的』につかみ取る。真実かフェイクかより、与えられたか選択したかが重要と感じる。なおかつ、マスコミは様々な情報を伝えるので、求める情報以外は、受け取る側にはノイズとなる。けれどSNSでは、システム的に受け取りたい情報だけを受け取れるようになる。ノイズはない。だから、快適で信じられる。マスコミはノイズを撒き散らす。だから、不快で信じられない」(劇作家・鴻上尚史)

「探しに」行って「能動的に」つかみ取ったのが、デマ・フェイクニュース。で、斎藤に投票。笑い話にもなりません。
しかも煽動屋のデマ動画の再生回数が1500万。彼はカネも相当儲けたことでしょう。で、こんな陳腐なデマを真に受ける、ネトウヨ老人レベルな若い層が千日、万日遅れでわらわら湧いて、底の抜けた幼稚・無知性集団がはっきりと姿を現したのが今回の兵庫県知事選挙といえないか?

英国のオックスフォード英語辞典が選んだ「2024年の言葉」は「Brain Rot」(腐り脳)。
SNS上の上質とは言えない動画などの見過ぎで知性が低下することを指す言葉という。
腐り脳な腐りナイチャーゾンビがウヨウヨ徘徊する日本なんて心底嫌だ。

「新聞やメディアが選挙期間中だからということで、報道を控えている間に、SNSでは好き放題。無責任な議論やフェイクが拡散された。東京都知事選挙の時から見えはじめ、今度の選挙で明白になってきたの〜」
21日付東京新聞「本音のコラム」でご隠居が嘆いていた。
メディアは報道機関として、ならず者の言いたい放題にファクトチェックをかけ、デマを正していく義務がある。それを怠るから、こんなめちゃくちゃが大手を振ることになる。
メディアは公職選挙法や放送法が定める「公正」や「政治的中立さ」に縛られすぎだろう。
安倍晋三や萩生田光一、高市早苗あたりがメディアへの介入を強めた頃から選挙報道がつまらなくなったよね。
候補者の趣味だの座有の銘だのどーでもいいことは書くけれど、候補者の正体、例えばバックグラウンド、ポンニチ会議や神道連盟の一員なのか、カルトとの関わりはどうか、とくに「無所属」なんて、反社カルト・ヘイト・ファシスト・ミソジニーなどロクデモナイ連中が隠れ蓑にしている可能性が高いんだから、しっかり書いてほしい。実際のところ地方レベルではこの手のトンデモ議員がウジャウジャ誕生しているんだから。
みつきの住む町の地方議会選挙なんか統一教会から支援を受けていると候補者本人が公言しているにもかかわらず、新聞は1行もそのことに触れなかった。こいつはめでたく落選したからよかったけれど、当選したら住民はとんでもない被害を被る可能性があったんだぞ。メディアは責任を自覚してきちんと報じんかい。

みつきは、専修大教授・山田健太氏の意見に全面的に賛同する。
「(報道機関は)選挙期間中にこそ、候補者に関する過去の政治活動・思想信条、政治資金の集め方や使途、支持母体等の検証を徹底して行い、言うべきことを言うという基本動作をすることが大切だ。質問ゼロ回答や討論会欠席の候補者にあわせて報道を自制するのではなく、不誠実な政治姿勢を有権者に伝えることこそ、法が求める質的公正な報道にほかならない」(24日付東京新聞「時代を読む」)

「一億総白痴化」してからは遅いんだよ。
ここで一首。
「日本人 ♪もうどうにも止まらない テレビで白痴化 ネットで下劣化」

ここで食い止めないと、この国は再び世界に災厄をまき散らす、ならず者国家に成り下がるよ。

でも、でも、でも、こんな日本だけれども、まだまだ捨てたものではないと思わせる人もたくさんいるよ。
「被団協クラファン 初日で達成」(17日付東京新聞)
ノーベル平和賞授賞式へ出席する代表団37人の旅費が不足、クラウドファンディングで支援を呼びかけたところ、1日で目標額1000万円を突破した。
被団協は高齢化や財政難に悩まされている。政府との交渉や国連などでの証言など実質「手弁当」で活動しているとのこと。渡航費以上の寄付が集まった場合は今後の活動費用に充てるそうです。

11月某日
仕事帰りに家電店。iPadを5、6年ぶりに買い替え。いま使っているのは第5世代(2017年発売)。文字入力がもっさりしてきたのがストレス、容量が32ギガしかないのがストレスになってきたので。
第10世代64ギガ(2022年発売)版を5万8800円で購入。
「旧」と「新」をテーブルに並べてデータ移行。スムーズに行えた。
ただ、ネット最初期から使っていた「ホットメール」はパスワードを忘れてしまい、再設定できず使えなくなった。ホットメールは引き続き「旧」で確認するしかない。ということでiPad2台持ちとなりました。

11月某日
「谷川俊太郎さん死去、92歳」(20日付各紙)
谷川さんといえばコレとコレ。
まず、タイトルが強烈、詩も強烈。彼の名前はこれで忘れられなくなった。
『なんでもおまんこ』
「なんでもおまんこなんだよ
あっちに見えてるうぶ毛の生えた丘だってそうだよ
やれたらやりてえんだよ
(中略)
そこに咲いてるその花とだってやりてえよ
形があれに似てるなんてそんなせこい話じゃねえよ
花ん中へ入っていきたくってしょうがねえよ
あれだけ入れるんじゃねえよお
ちっこくなってからだごとぐりぐり入っていくんだよお
(以下略)」
「全国書店ネットワーク」のサイトで谷川さん本人が全文朗読している。

『死んだ男が残したものは』
「この国の音楽史を彩る反戦歌の名曲」(20日付東京新聞社説)だ。
「死んだ男の残したものは
ひとりの妻とひとりの子ども
他には何も残さなかった
墓石ひとつ残さなかった
死んだ女の残したものは
しおれた花とひとりの子ども
他には何も残さなかった
着もの一枚残さなかった
死んだ子どもの残したものは
ねじれた脚と乾いた涙
他には何も残さなかった
思い出ひとつ残さなかった
死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった
(以下略)」

谷川さんの平和論。
「平和ってのが当然であるのに、戦争と平和っていうふうに反対語のようにとらえるのは、ちょっとおかしいんじゃないかと。我々の日常生活ってのは、まず平和が先であって、そこに戦争が侵入してくる」「地道に毎日の生活をちゃんと続けていくってことが平和だということだろうと思いますね。基本的にそういう人間の普通の生活を信じて、それを守るということしか戦争反対の道はないという気がするんです。それが、たった一人であってもね」(2020年「戦後75年インタビュー」東京新聞)

谷川さんが沖縄タイムスに寄せた『朝の新聞』という詩がある。これも好き。
「あなたは聞く
近いつぶやき
遠い叫び
苦痛のうめき
喜びの歌
(中略)
湯気を立てている
味噌汁の香り
淹れたての
コーヒーの香り
天地をむすぶ
朝の大気の香りに
いつの間にか
朝刊のインクの匂いが
なじんでいて
(中略)
世界があなたに
おはようと呼びかける」
(2009年3月1日付掲載)
合掌。

追記:「谷川さんはどういう魔法を使って、インスピレーションを枯らさずに書き続けてきたのだろう。(中略)どこに行ってどんなに忙しくても、必ず新しい本を買って旅先で読み、詩を書くのだ。絶え間ない読書による蓄積が谷川さんの内心を潤してきたのだと思う」(12月3日付東京新聞「谷川俊太郎さんを悼む」 田原=詩人)

11月某日
21日。東京新聞アプリ、サンプル紙面が2024年10月12日付(1面トップは「被団協にノーベル平和賞」)に固定されちゃった。
これまでは1カ月前の新聞を読むことができたんだけれど。振り返り、思い出し、記事保存に最適だったのに残念。

夜、録画していた映画「魚影の群れ」(1983、相米慎二監督)鑑賞。
十朱幸代さん、お嬢さん、良い娘イメージをガラリと変えて、はすっぱな人妻役。しかも漁師の夫・緒形拳、娘の夏目雅子を捨てて家出している。
彼女は「男はつらいよ 寅次郎子守唄」(1974)で、明るく穏やかなマドンナ看護師を演じていて(顔中髭だらけの純朴青年・音楽好き労働者・上條恒彦と結婚して寅は失恋という恒例のパターン)、そのギャップが大きすぎる。
そんな彼女が、北海道のとある街で緒形拳とばったり遭遇、漁船の中で欲情をぶつけ合う。撮影当時39歳、女盛りのおっぱいがきれい。たっぷんとしたボリュームがうらやましい。
映画評論家・北川れい子さんは「十朱のバストの迫力にはマイったわ。日本女性のバストは仰向けになるとぺチャンとなるのが多いけど、彼女のはポッチャリと『自立』している。いま脱いでいる女優の中で、オ〇パイに関する限り第一級品。乳首も大きく、男性による手入れがよくいき届いているって感じです」(ウィキペディアより)と絶賛していた。
ふむ。「自立」は分かるとして、「手入れ」ってなんじゃらほい。

元祖プレイボーイ、俳優の火野正平さんが14日に亡くなっていた。75歳。
わたしにとっては自転車で全国を走り回っていた正平さんです。
「天国に『とうちゃこ』と火野正平さん」
週刊誌で読んだのだけれど、プレイボーイだったのね。「11股交際」だって。
週刊女性12月10日号の「モテモテ人生75年」という記事に一覧表が載っていた。
一般女性Aと22歳で結婚した直後から、極妻・新藤恵美さん、ツインテ小鹿みきさん、「アテンションプリーズ」紀比呂子さん、ボインちゃんホーン・ユキさん、「私は泣いています」りりィさん、三島由紀夫浪漫劇場の望月真理子さん、「あなたにあげる」西川峰子さん、一般女性Bさん、グラドル染谷まさ美さん……とくに1970年代は取っ替え引っ替えスキャンダルが報じられている。
合掌。

11月某日
幼なじみかつ悪友のナツコと二泊三日の箱根旅行。
衆院選、米大統領選と一大イベントが立て続けで働き詰めだった新聞記者のナツコ、まとまった休みが取れたというので、骨休めにお付き合いした次第。
宿泊は小田原のヒルトンホテル。小田原駅を起点に、周遊券(2日間有効、5000円)を買って移動しまくった。
初日はバス(箱根駅伝の山登りコースを箱根湯本駅から)、海賊船で芦ノ湖を渡り、ロープウェイで大涌谷(真っ黒いゆでたまごを食べた、水蒸気もうもうで風景は幻想的だったけれど寒かった)、登山鉄道で強羅(急坂をふーふー登って公園でひと休み)。
二日目は彫刻の森美術館(周遊券割引200円ありで1800円)をゆっくりまわった。ナツコったら人目も気にせず裸像を後ろから前から接写しまくっていた。なんでもSNSに「後ろからどうぞ」って題名で有名な建築物や彫刻などを裏から撮った写真を投稿しているんだって。やっぱり変わった人だ。
みつきはピカソ館(館内撮影禁止)の小ちゃい絵「座る女」(1972年4月4日制作、グワッシュ、紙:Seated Woman、gouache on paper、30・8×22センチ)が目に焼きついちゃった。ピカソといえばデフォルメしすぎの絵で有名だけれど、おっぱい、女性器のそれが衝撃的すぎて。ずーっと見ていたかったけれど、じーっと凝視していたかったけれど、絵が絵だからそういうわけにもいかず、後でネットで調べればいっか、と名残惜しみつつその場を離れた。
その晩、ホテルで検索したんだけれど、いくら調べても、日本語、英語で検索しても、その絵が出てこない。不思議。ピカソの絵のネット公開について、なんらかの決まり事でもあるのかしら。
あと、ピカソの絵、男性器のデフォルメっぷりもすごかった。目が点になった。
3日目、根府川駅から東京へ。根府川駅の改札を通ってすぐのところに「関東大震災殉難碑」があるのを発見。黙礼しながら虐殺があったのかしらと考えた。車中で調べてみたら、なんと地震で発生した土石流により停車中の列車も含め駅舎・ホームもろとも海に押し流されて多くの犠牲者を出したんだそう。合掌。

11月某日
さいたま地裁、グッジョブ!
「クルド人へのヘイトデモ禁止の仮処分」(22日付東京新聞)
「埼玉県でクルド人へのヘイトスピーチ(憎悪表現)を投げかけるデモが相次いでいる問題で、さいたま地裁は21日、企画者のうち神奈川県の男性に対し、川口市の在日クルド人団体『日本クルド文化協会』の事務所近くでデモを行わないよう命じる仮処分を決めた」
弁護士は「クルド人へのヘイトスピーチは許されないと示した」と評価、クルド人団体は「大きな一歩であり、未来への希望をつなぐもの」と喜んだ。

翌23日付東京新聞は1面トップで、グーグルマップ上の「さいたま地裁」の名称が「さいたまクルド民族裁判所」に書き換えられていた、と報道。
仮処分に反発するレイシストの仕業だろう。日々憎悪をたぎらせてヘイトにいそしむ「醜い日本人」の皆様、毎日が楽しいですか? こういう手合いに限って日ごろ「美しい国」だの「日本すごい」などとのたまわっている。ヘイトにまみれた己れの姿をよーく見てみろ、美しいか? そんな輩が群れる国がすごいのか? そんな彼らはヘイトデモの際に錦の御旗よろしく必ず「日の丸」を振り回している。口汚いヘイトを撒き散らすその身で、よく日の丸を持てるな。日の丸を自ら穢(けが)していることに気づいてすらいないんですかね。

ジャーナリストの鈴木耕氏も書いている。
「仲良くするって、良いことだし楽しいことです。だって、気持ちがいいじゃないですか。でもね、どうしても仲良くすることを拒む人たちも、残念ながらこの国には存在する……ヘイトの対象は、ヘイターたちにとっては誰でもいいみたいだ。自らの胸の中に溜まった鬱憤を、憎悪という形で吐き出すことができれば、相手は誰であろうが構わないということなのか……憎悪は美しくないのである」(「マガジン9」連載「言葉の海へ」、27日付)
激しく同意する。

追記:24日、いくつかのヘイト団体がデモを強行しようとしたが、多くの市民に阻止された。市民の皆さん、ありがとう。

東京新聞によると、「クルド人が多く住む蕨市や川口市は差別禁止条例の制定に消極的」らしいが、早急に川崎市レベルの罰則付き条例(氏名公表、刑事告発など)を作るべきだ。これは全国の自治体も同様だ。差別は放置すると蔓延する。
クルド人へのヘイトだって、川崎市で活動できなくなったレイシスト連中が、次の標的を求めて流れ込んできているのだ。彼らの活動場所をなくすのが一番だ。
そうすると、言論・表現の自由との関わりを問題視する意見が出てくるが、そもそも「差別、ヘイトスピーチを自由にがなりたてる自由」などないことは国際常識だ。
「表現の自由とりわけ政治言論の自由の基本は、権力者への批判の自由であって、とりわけ弱い者や虐げられている者の声が社会に届くことが大切だ。にもかかわらず、声の大きな者による弱い者いじめや自己顕示、さらには収益目的が横行し、言論の自由とは似て非なる結果となっている。自由の振り回し方を知っている人が勝ってしまう実態は、論破や炎上商法とも共通している残念な状況だ」(2024年7月7日、東京新聞「時代を読む」 )
こんな「残念な状況」は本来、自治体任せではなく国が先頭に立って改善すべきなのだが、政権の構成員にカルトだの極右だのレイシストが潜り込んでいる現状じゃあね。自民党議員は「世界をリードする日本なる」なんて息巻いているが、人権後進国のままじゃ無理だね。

上方落語の桂雀々さんが20日、亡くなった。64歳。若すぎる。
みつきは落語とほとんど縁がない。昔、「笑点」をよく見ていた程度。
だから、雀々さんを知ったのは、NHKのドラマ「贋作 男はつらいよ」(山田洋次脚本、全4回、2020年1月5日〜26日放送)の車寅次郎役。
舞台は葛飾柴又ではなく東大阪・石切神社参道の甘味処「くるまや」。さくらを常盤貴子、博を北山雅康(映画「男はつらいよ」三平役)、タコ社長を曾我廼家寛太郎、御前様を笹野高史が演じていた。
各話の原作は映画。1・2話は「柴又慕情」(1972)。マドンナは吉永小百合さんが演じた歌子ちゃんを松下奈緒さんが。
3・4話は「寅次郎夕焼け小焼け」(1976)。芸者ぼたん大地喜和子さんを田畑智子さんが。
雀々さんの大阪弁の寅さん、まったく違和感なく、ゲラゲラ笑って、しんみりして、じんわりハートが温かくなる。雀々さん、お疲れさまでした。合掌。

さっき縁がないと書いたけれど、落語本は読んだことがある。
「禁演落語」(小島貞二、ちくま文庫、2002)。図書館で借りた。
「酒飲み、どろぼう、男と女(中略)昭和十六年十月、戦時下にふさわしくないとして落語界が自主的に浅草の「はなし塚」に埋めた落語五十三篇を収録。また戦後の昭和二十二年五月、GHQ(連合国総司令部)の命令によって新たに『禁じられた』落語二十篇についての詳細な解説を付す。文庫オリジナル。初めての禁演落語集」(Bookデータベースより)
ダメと言われるとやりたくなる、見るなと言われると見たくなるものでして、「禁演」の二文字に惹かれて手にしたのだったわ。

「中国、邦人短期ビザ免除 30日再開」(23日付東京新聞)
「免除期間は25年末まで。ビザ免除は新型コロナウイルスの流行に伴い中国側が停止した20年3月以来となる。停止前は15日以内だった滞在可能期間は、30日以内に延長する」
そうか。Duolingoで中国語の勉強をしている身としては一度行ってみたいと思ってたんだ。
まずは眉間にシワ子なんてカゲグチされているみつきとしては「顰(ひそみ)に倣う」絶世の美女、西施ゆかりの杭州・西湖とか観光してみたい。

11月某日
23日、大相撲九州場所千秋楽。
推しの、
美ノ海(前4、沖縄)4勝11敗
王鵬(前1)6勝9敗
阿炎(前)11勝4敗 殊勲賞

美ノ海は完全に上位の壁にぶち当たった感。王鵬も上位陣との対決で2勝しかできず、下位との取り組みでも取りこぼしがあった。優勝した琴桜を破った一番が良かったくらい。早くひと皮剥けた立派な勇姿を見せてね。阿炎は前場所の不調から回復。大関を目指してほしい。
唯一の横綱・照ノ富士は今場所も休場。
九州場所は、美ノ海が前6以下、王鵬が前3、阿炎が小結。(東京新聞予想)
十両3枚目で8勝7敗の嘉陽(沖縄)はギリ幕内昇進できるかどうか。

11月某日
24日付東京新聞1面トップ「空襲の爪痕 寺は伝える B29東京初爆撃から80年」
武蔵野市の中島飛行機武蔵製作所への空襲を生き延びた寺の住職(88)が地元の子どもたちに体験を語り続けている。

この空襲、木内昇さんが東京新聞(2021〜22年)で連載していた小説「かたばみ」(単行本はKADOKA)にも出てきたなあ。
「血縁のないひとつの『家族』を中心に、戦中から昭和30年ごろを強く生きた人々の姿を描く物語」(東京新聞)
主人公の教員・悌子と生徒が工場見学に訪れ、空襲に遭う。生徒が犠牲になる。
「きっと皆どこかで、戦争で命を落とすのは兵隊さんだけだと思い込んでいたのだ」(83回)
連載時のイラストは「〇〇ヨレヨレ日記」シリーズなどで有名な、沖縄出身の伊波二郎さん、ほのぼのユーモラスな絵を毎日見るのも楽しみだった。

手帳にメモしておいたフレーズをいくつか。
・こんな暗(くれ)ぇ世の中、早く終わんねぇかな。…昭和十九年六月二十五日(42回)
・「おかしいな、と自分で感じたものからは、いくらだって逃げてもいいんです……人生を存分に楽しむ権利があるのです。なにも、大人が決めたことに、黙って従う謂われはありません」(60回)
・「なぜ最後まで戦わんのか」「最後って、なんなんですかね……まさか日本人が全滅するまでやれってことじゃないですよね」(125回)
・挫折は……もしかすると「お前はそっちじゃないよ」という天からの差配かもしれない……挫折はきっと正しい扉を開くための尊いきっかけなんでしょうね。(163回)」
・彼女は、「私、ああやって上にだけ媚びて、下には横柄な連中が、ウジ虫くらい大嫌いですの」と、上品な口調で辛辣なことをささやいた。(213回)
・「こんなことを繰り返さないためにも、隠しちゃいけねぇんだ。ここで蓋をしてなかったことにすりゃ、忘れた頃に繰り返すんだよ」
(269回)

11月某日
25日付東京新聞社説「米次期政権人事 中東の緊張を煽るのか」を読んで、やっぱりね、と嘆息した。
トランプが「中東政策に関わる人事を巡り、親イスラエル右派や対イラン強硬派の人物を指名」しまくっているんだと。
・駐イスラエル大使にヨルダン川西岸でのイスラエルの入植(みつき注:武力によるパレスチナ住民追い出し)を支持するハッカビー
・国連大使に「反ユダヤ主義で腐敗している国家」への資金拠出停止を求めるステファニク
・国家安全保障担当大統領補佐官に「イスラエルはイランの核施設を攻撃すべきだ」と主張するウォルソ
大統領選挙でイスラエルを支援する民主党政権を嫌って、ハリス副大統領に投票しなかった人たちは、今ごろほぞを噛んでいるのではないか。元々トランプは民主党政権よりもイスラエル寄りだったのだから、イスラエルはますますつけ上がるだろう。

こんなトランプを支持する連中の下劣さを象徴する一人が米国のユーチューバー、ニック・フエンテス(26歳)なんだと。このガキ、トランプ当選後、ざまあとばかり「Your body, my choice. Forever」とツイートしたって。
週刊文春11月28日号で町山智浩氏が書いていた。
「これで永遠に女性の体をどうするか決めるのは俺たち男さ、という意味で。こんな連中への抗議として、多くの女性たちが『4B運動』を呼びかけている。男とのデート、セックス、結婚、出産をボイコットする運動」が広がっているのだとか。
この手のガキは日本にもウジャウジャいるだろ。やりたいだけ、挿れたいだけ、やったあとは知らんぷり、射精責任なんて知りませんてな輩の、やなかじゃー(超臭い)なタニグマー(短小)は蹴っ飛ばし、踏み潰し、ちょんぎってやればいい。おほほほほほ。

25日付東京新聞1面トップは「マイナ保険証 甘い制度設計 マイナヒモ付けミス 再改修  計30億円浪費」
記事を読んでいて、みつきは激怒した。
「2度にわたる改修は、ミスを防ぐ仕組みを十分に講じていなかった厚労省の制度設計の甘さによるものだった。しかし、当時の政府は『人為的ミス』を強調し、健保や自治体に責任を転嫁した」
ほんと、自民党・公明党はヤリ口が汚い。官僚もブルシット・ジョブ(クソみたいな仕事)で税金を無駄遣いするんじゃないよ!
そもそも「健康保険証廃止・マイナンバーカードとの一体化」なんて国会の議論を経ず勝手に閣議決定したんだから、廃止撤回だって閣議決定でチャチャっと決められるだろ。国民大喝采間違いなしだ。

11月某日
27日付東京新聞1面トップ「経済安保 運用案 機密資格者の私生活把握。民間人職歴・渡航歴、通院も プライバシー侵害の恐れ」
自公政府の政治家自体「資格なし」と思われ。北朝鮮と通じる反社カルトだの、得体の知れない神社カルトだの仏教カルトだの、危険な極右・レイシスト連中がウヨウヨいるんだからね。

27日から沖縄タイムスが連載「南京に向き合う 日中戦争と沖縄」(全7回)を開始。中国との平和友好を目指す市民団体の南京訪問に記者が同行、「日中戦争と沖縄の関わりや参加者の思いを追った」ルポ。

第1回「加害と被害 遺族苦悩」(27日付)
父と叔父が中国に派兵されたGさん(73、記事は本名、以下同)、
「日本兵にとっての功は、中国人にとっての罪。戦争というのは一人の人間が加害者にも被害者にもなる。それが実相だ」
南京のCさん(64)の父(当時9歳)は南京事件で両親ときょうだいを失った。
「隠れていた一家を見つけると、最初に母の胸を、続いて母の胸に抱かれた1歳の弟の尻を銃剣で突き刺した。泣きわめく他の3人の弟も一人ずつ殺され、父親は背中に銃弾を浴びて亡くなった……11歳の姉は翌日、日本兵に銃剣で傷付けられた身で強姦された」

11月某日
29日付沖縄タイムス1面トップ「32軍壕 県史跡に」
玉城デニー知事は「戦争の不条理さ、残酷さ、醜悪さを知るとともに、平和の尊さを伝える貴重な遺跡」。
沖縄戦を指揮するための司令部壕で、10・10空襲後、日本軍が首里城地下に造った。全長1キロ。総数1000人余の将兵、県出身の軍属・学徒隊、慰安婦が雑居。司令部が南部に敗走する際、破壊された。
この壕は「公開に向け、1960年代に那覇市が調査、90年代には県が基本計画を策定するなど過去に動きがあったものの実現せず、首里城の地下に約80年間眠ったままだった」が、2019年の首里城火災(これには大ショックを受けた)をきっかけに、沖縄戦体験者らから保存、公開を望む声が上がり、今回の戦跡指定となった。
観光だけではない「沖縄」をナイチャー(日本人)には見てほしいさ。

文化面の「琉球語時評 ウチナーありくり」、興味深かった。全文、島言葉で書かれている。
記事の見出しは「琉球の根幹に植民者介入 琉球人ぬ生き方(いちかた) 進路までぃ 決(き)みーんち そーん」
日本(ヤマトゥ)民族、移住/植民者は①沖縄戦②軍事基地③琉球先住民族の自己決定権/独立、といった問題に口出し、介入するなという怒りに満ちた檄文だった。
デマ耕作弘兼某だの、ロンパーひろゆき某だの、前科もんほりえもん某だの、冷血大空あーせいこーせい某だの、ポンニチ保守党百田某だのの沖縄ヘイトには怒り心頭だったので、言いたいことを言ってくれた、と感謝。

豊永浩平氏「月ぬ走いや、馬ぬ走い」読了。
行替えのないぎっちり詰まった文字列に圧倒されたけれど、内容にも圧倒された。
14の話で構成され、それぞれの語り手が血のつながりなど何らかの関係性を持つ。
現代に生きる沖縄の小学生、中学生、高校生、沖縄戦でウチナーンチュ母子を殺害する日本兵、その日本兵に足を刺される米兵、その米兵と結婚した沖縄の女性、沖縄出身の特攻兵、学生運動の活動家……。異なる時代を生きた人たちがそれぞれの時代を語る中で、沖縄の戦中・戦後の苦闘が浮かび上がる。

同作品から印象に残った文章をいくつか。
・アア、アア! 兵隊サンガワンヌ赤ングヮーヲクルシタ! 兵隊サンガワンヌ赤ングヮーヲクルシタ! 私は急いで短刀を抜き、子のみならず錯乱し大声で叫喚する母親までをも殺害した。
・梅雨くらいからはもう女子高生の前髪殺しにかかってるよねマジで。
・赤くシミついた、それと色んなおしっことかちょっとイケメンみて興奮したときに垂れるぬるっとした透明な液とか、まあ、色々まじったじぶんのナプキン(中略)まあ、癖みたいなものでナプキン替えるとき毎回嗅いじゃうんだけどね。
・夜になるとそこらじゅうを米兵たちが徘徊し(中略)畑のなかで犯されたすえ、腹を裂かれて女性が殺されるといったたぐいの血腥い噂が、まいにちのように出回っており、
・ヴァギナはナパーム弾の香りだ。

菜々緒さまの「無能の鷹」(10月11日〜11月29日、8回)、面白かったぞ。
見た目は有能そうだけど、仕事はできない菜々緒さま、常に堂々、颯爽、ハキハキしているから周りが勝手に「できる人」と勘違いしてしまう。その思い込みが幸いして商談がまとまったりしちゃう展開に笑いが止まらなかった。
このドラマのキモは菜々緒さまが第1回に職場で力説した「働きアリの法則」でしょう。
「アリの巣には必ず働かないアリが2割存在する。もし、それを排除したとしてもまた、他の2割が働かなくなってしまう」
職場も似たようなもんだよ。全員が猛烈、精鋭、できる人の職場なんてブラック気分が満ち満ちていそうでやだよ。そうならないよう潤滑剤というか緩衝材というかブレーキの遊び的な役割を担う人も必要なんじゃなかな、職場には。

この国はバブル崩壊このかた、強欲な資本屋による儲け優先、株主最優先、内部留保溜め込み優先・社員の生活後回しな新自由主義経済がはびこって、ブラック企業、ブラック労働が当たり前になっちゃって、ずーーーーっと不景気。世界の成長に置いてけぼりを喰らっている。
地道に働く人の給料は上がらず、パソコンをチャチャっと操作して株・為替を売り買いしたり、口八丁手八丁でケムに巻くコンサルなんて虚業が信じられない高給取り。貧富の格差がどんどん広がっている。絶対、異常だよね。
そのことに多くの国民は気づいていない、いまだに世界に冠たる経済大国と思い込んでいる。
この前、ある自治体の広報誌を読んでいたら、「心理教育相談員、スクールカウンセラー」を募集していた。
応募資格は「臨床心理士・公認心理師などの有資格者、大学院で心理学を専攻し修了した方など」とある。でも、正規職員じゃなくて「会計年度任用職員」で「期間は1年」で「報酬は時給1668円」ですって。
何だかなあ。資格取得までの時間と努力と、得られる職業のバランスが取れているとは思えない。将来は雇い止めの恐れも。なぜ正規職員として採用しない?
だから、ここらで元に戻しましょうよ。庶民の生活がどんどん豊かになっていった高度成長期、♪サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ〜 だったんでしょ。
まず諸悪の根源、派遣労働を規制緩和前の水準に戻してはいかが? 派遣切りなんて血も涙もない仕打ちを躊躇なくやってしまう企業、役所には、昔みたいにきちんと正社員、正規職員として雇用することを義務付けるくらいのことをしないと、この国はいつまでも停滞から抜け出せず、格差は拡大し続けるよ。
「自己責任、非正規雇用、生産性 寅さんだったら何て言うかな」(俵万智)
寅さんや「無能」社員に居場所がある社会の方が、居心地がいいに決まっている。

なんてことを、ドラマをみて笑いながら愚考したのでした。
(了)


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