“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (21)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (21)
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投票日一週間前
実際の発表の30分前に、ポーシャが10ドルを掴ませたヴォッカと玉ねぎの匂いのする一人の小男が義足の入った箱を開けていた。
ヴィクトルが風上から見守り、中身を確かめていた。
包みを解くと、脚と膝の関節は異常に小さく、子供用の大きさだった。
そして全義足が同じサイズだった。
添えられた英文の文書には、ザルツブルグにあるルワンダの子供たちを救うための基金からの贈り物、と書いてあった。
どうしてそれがキエフにたどり着いたのかは神のみぞ知ることだ。
ヴィクトルは不安そうにパーシャの方を向いた。
パーシャは荷を解いている男にビリヤード台の脚を指して、やるべきことを説明していた。
男は不審げに、怖がり、考え深げに頷いていた。
彼に課せられた仕事は通常するような仕事ではない。
義足が小さすぎると聞いてパーシャはパニックになった。
ヴィクトルは突然、事が振出しに戻った気がした。
「箱に入れたまま、中身を確かめさせずに寄贈式をしよう」と、彼は言った。
テレビのクルーは少し遅れて、アンドレイ・パブロビッチは15分後に到着した。
箱をカフェ・アフガンに運び込むところ映し、義肢を付けた小男が出てくるという3コマを追加した。
最後に、ツイードのスーツを着たアンドレイ・パブロビッチが、感謝をあらわにしている脚の無い若いカフェの経営者と握手する。
リョーシャもカメラに向かって手を振った。
がっしりした足の長い女性がカメラマンに指示を与えていた。
撮影は30分で終了した。
アンドレイ・パブロビッチが彼女に封筒を渡し、彼女は名刺を渡した。
「我々は残忍な事は望まなかった、これらの義足は子供たちに送り返すのが一番です、ビリヤード台は喜んでいただきます。」と、リョーシャが言った。
アンドレイ・パブロビッチがそれらを引き取る事に決めた時、ナゴルナヤ通りの上の丘の中腹に散らばっているゴミの上にそれらを捨てることが決まり、パーシャが手下と一緒に実行した。