“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (20)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (20)
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22
ヴィクトルが起きたのは午後の3時だった。
屋根裏部屋の窓の外は秋の青空が見えていた。
階段でパーシャに会って、今の状況を尋ねた。
「親父は一時間ほど眠るって、どこにも行かず待っていろって」とパーシャは言った。
ヴィクトルは珈琲をたてて、キッチンに持って行き、ホールの電話に出た。
NC1(National Channel 1) テレビの司会者からのアンドレイ・パブロビッチと対立候補のテレビ討論の可能性を探る電話だった。
「現在の処、それはできないでしょう」とヴィクトルは司会者の女性に答えた。
アンドレイ・パブロビッチは電話をして戸別訪問の進み具合を訪ね、それからヴィクトルの書いた原稿を繰り返し頭に入れた。
「20万の公約パンフレット、年金受給者への9万食の配給、もし私が当選した暁には、財政援助として、コンピュータ教室を3校に設置、等々。
義足の寄贈」
「その時に、その女性司会者に、義足を寄贈する所を取材させよう。」
「義足は調達できるんですか?」
「ガレージにスウェーデンの慈善団体から4箱届いている。」
「まだ、それが、合うかどうか、測定していませんよ」
「時間が無い、合う物だけを寄贈して、後は捨てるさ」
「ビリヤード台の方は?」
「すでに手配した。」
30分後、ヴィクトルは顔を洗い、髭を剃り、テレビ司会者に電話をすると、ニュースで放映することを約束してくれた。
1時間後、がっしりした4人の男が大型トラックで現れて、ビリヤード台と義足を積み込んだ。
ヴィクトルが助手席に乗りカフェ・アフガンへと向かった。