“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (138)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (138)
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それは確かに古い、70年代モデル、ベンツだったが、作業ズボンにサッカーシャツを着たムラディンは、明らかに60歳ぐらいだったが、引き締まった強靭そうな外観をしていた。
少し車で行くと海を見下ろす絵の様な村に着いた。
明るい緑色の門の前で車を止め、ムラディンがクラクションを鳴らすと、すぐにジーンズとセーターを着た背の高い女の子と、灰色のスーツに青い蝶ネクタイをした男性が現れた。
男はネットの写真よりは幾分年をとっているように見えたが、ラドコと自己紹介した。
「ヴェスナです」と言って少女は手を差しだした。
「ヨットに行ってそれから船具商のところに行く。」と、ムラディンが車に戻りながら言った。
「お金は持って来たよね?」
「クレジットカードを持ってきました。」
近くの入り江に繋いであったヨットは思ったより小さく、ヴェルナツキー基地にいるのを見たこともなかった。
入り江から車でスプリットに戻り、海岸通りにある船具商に行った。
ブロニコフスキー(南極で知り合った銀行家)のクレジットカードの3800ドル金額に合わせて買ったロープと滑車はベンツのトランクにきちんと積まれヨットに運ばれた。
「クレジットカードを置いて言ってくれれば、店を探すよ」とムラディンがカードのサインを確認しながら言った。
「向こうのあれが君のホテルだ、」と言って、それに続けて「8日、06:00に出航する。明日11時ごろに来ます。」
「2時にしてもらえませんか?アームレスリングの私のチームが出るので、そこに居なければなりません。」
ムラディンとラドコは意味ありげな視線を交わした。
「良いですよ。」とムラディンは言った。
「もう一つ」と言った、彼の声は震えていた。
「僕は自分のペンギンを南極に連れて行って放してやりたいんです。
僕は、南極には行った事があります。」
「じゃあ明日話そう」とムラディンは無表情で言った。
彼らは握手して、ヴィクトルはホテルを横切って、彼らが不信感を持って彼を見ている事を想像した。
多分クレジットカードがそれを帳消しにしてくれるだろう。