“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (19)

“Heart of Darkness” by Joseph Conrad (19)
https://www.gutenberg.org/files/219/219-h/219-h.htm
指がゆっくりとビスケットに近づきつまんだ、それ以外の動きも、眼差しも無かった。
彼は首に毛織物ウーステッドを巻いていた。
なぜ? 彼はどこでそれを手に入れたのだろう?それは社員証なのか、装飾品なのか、お守りなのか、贖罪のための行為なのか。
それにまつわる意味が何か有ったのか?
海を越えてきた白い糸が、彼の黒い首に巻き付いているのは、とても印象的だった。」

 「同じ木の近くにもう二人、両脚を抱いて座っていた。
一人は顎を膝の上に置いて、何も見ていなくて、我慢できずひどい様子だった。
彼の兄弟の幻影は、まるでひどい疲労に耐えているかのように額を休めていて、その他の全ての事が捻じ曲げられ崩壊してしまった姿勢で、虐殺や疫病の写真のように散らばっていた。
俺が恐怖に襲われて立っていると、これらの生き物の一つが手と膝で這って水を飲むために川に降りて行った。
彼は手で水を飲むと、陽の光の下で座り込み、脛を前に組んで、しばらくして毛むくじゃらの頭を胸骨の上に置いた。」

 「俺は木陰でこれ以上ぐずぐずしていたくはなかった、会社の地域本部に急いだ。
ビルの近くで白人に会った時、その白人の服装は思いがけないほど優雅で、俺は一瞬、彼を幻かと思って見た。
俺は、糊のきいた襟、白い袖口、明るい色のアルパカの上着、雪のように白いズボン、清潔なネクタイ、そして光沢のあるブーツを見た。
帽子は無かった。
髪は、櫛が入っていて、分け目があり、オイルが塗られていて、大きな白い手には緑の裏地の日傘をさしていた。
彼は素晴らしく、耳にペン立てを差していた。」

 「俺はこの奇跡の様な人と握手をして、彼が会社の主任会計士で、全ての会計がこの地域本部で行われている事を知った。
彼は、一寸の間、新鮮な空気を吸う為に出てきたところだった、と言った。
その説明は座りっぱなしのデスクワークを連想させ、ひどく奇妙に聞こえた。
その時の記憶と不可分に関連している、男の名前を最初に聞いたのが彼の口からでなかったら、俺はお前たちにこの男の事をまったく言わなかっただろう。
さらに、俺はその男を尊敬していた。
そうだ:俺は彼の襟と、ベストの襟と、整った髪を尊敬していた。
彼の外見は明らかに美容室にあるマネキンのようだった。

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