“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (18)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (18)
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20
フレシチャーティク通りの中央百貨店で小雨の中で安っぽい中国の傘をさしていた。
その場所の雰囲気はカフェ・アフガンにリョーシャを訪ねると言う少々楽観的な見通しを忘れさせるほど陽気で騒がしかった。
彼は突然スヴェトラーナを探して夜の幼稚園へ行きたくなったが、そんな考えを打ち消して傘を開いて地下歩道の方へと歩いてゆき、車を拾って、30分後にはカフェの前に立っていた。
「俺が、首が痛くならないよう、椅子を持って来てそこに座ってくれ。」リョーシャは言った。
ヴィクトルの考えはそっけなく受け入れられた。
「お前の候補者が我々を引っ張り出す目的は何だい?」
「負傷した退役軍人たちが表にでたとき、ジャーナリストや写真家がいれば、もっといいな、そうすれば有権者も気が付くさ。」
「お前が政治に首を突っ込むなんて思わなかったよ」
「行きがかり上こうなったんだよ、すぐに足をあらうよ」
「ほんとうか?」リョーシャは疑わしそうだった。
「少し待ってくれ、ボスが何と言うか聞いてくるよ。彼がここにいる事は良いことだ。」
5分後にリョーシャは戻ってきた。
「原則的には、ボスはOKだが、お前のボスから何らかの見返りが欲しいって。義足はイブニングドレスのようなものだ、毎日着るようなものじゃない。脚の低いビリヤード台と出来るだけ多くの義足が欲しいって」
「彼もビリヤードが好きだから条件は飲んでくれるだろう」
「やってみてくれ、そして結果を知らせてくれ。このカードを受け取ってくれ、電話番号が変わったんだ、電話をくれ。
俺のボスとお前のとを交えて会う事になるだろう、選挙前に」
リョーシャは「俺たちが葬儀をやっていたあの頃は良かったなあ、事態はどんどん悪くなっている、」とコニャックのグラスを持ち上げて続けた。
「これからは良くなるさ」
「誰がそう言えるんだい?」
ヴィクトルはコニャックを味わいながら「この銘柄は?」
「マーテルだ。こいつは俺にとっての人道支援団体だ、俺がもう一度歩く夢を見させてくれた。」