“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (47)

“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (47)
https://booksvooks.com/penguin-lost-pdf-andrey-kurkov.html

バスの前に回って表示板の行き先を読んで、足元の草に目をやると、小さなカタツムリがゆっくりと葉っぱの上を這っているのが見え、葉がカタツムリの重みで曲がり、地面に着き、カタツムリは地面へ這っていった。
ノボチェルカスクはロストフ・ナ・ドヌの近くだった。どちらも北コーカサスだ。
「ここだ!」と焚き火のそばの男の一人が呼んだ。
ヴィクトルはそこに行って肉の缶とアルミのスプーンと狩猟用のナイフを受け取った。
「パンは無いんだ」
ヴィクトルはしゃがみこんで、ナイフで缶を開けて食べた。
焚き火のそばで着信音が鳴り、一人の男が携帯を耳に当て、ヴィクトルにはわからない言葉で、携帯で話した。
丁度その時、バスで通路の反対側に乗っていた男がバスから降りて来て、空の缶を林の方に投げ捨て、キルトの服の袖で口を拭い、太陽に目を細め、ヴィクトルのところにやってきた。
「今何時だ、青年」
「12時半です」
老人はうなずき、彼の横に座り、3人がキノコのケバブを楽しんでいるのを見つめた。
「少年、お前は以前そこにいたのか?」
「どこですって?」
「チェチェンだよ」
ヴィクトルは首を振った。
彼はチェチェンについて老人に尋ねたかったが、彼も知らないかもしれないと思い聞くのを止めた。
「あなたは?」
「いいや」
老人は、周りを見回した。
「水さえあればいいのだが・・・つまり、水のための金を払うために、牛を売って豚を2匹殺したんだ。死んだ方がましなくらいだ。・・息子の身代わりになって、彼らをだます事に決めたんだ。彼らは俺には身代金になるようなものは何もないって知っているくせに、借金を返せば息子を返すと約束したんだ。血まみれの寄生虫め!」とヴィクトルにささやいた。
焚き火の方を指さして、「彼らは俺の血をからからに成るまで吸い尽くした。うちの婆さんは生きてゆくのにジャガイモ以外何も残っていないのさ。」
ヴィクトルは、前に見た2匹のカタツムリが無意味に草の上を這うのを見るのに熱中しながら、焚き火のそばの男たちは誰なのか尋ねた。
「2人はチェチェン人だ。運転手は俺たち同様ロシア人だ。」
「それ以外は、チェチェン人ですか?」
「そうだ。行方不明者を探している者もいれば、交渉を望んでいる者もいる・・・
俺は、親切心で連れて来てもらえたんだ。最初は11月までは無理だと言われたんだが、その後今日になったんだ。
お前は、向こうに誰がいるんだ?兄弟か?」
ヴィクトルは、疲れ切った真っ青な目を見ながら「いいえ、友達です。」と答えた。


この記事が参加している募集