“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (15)
“Girl With a Pearl Earring” by Tracy Chevalier (15)
「じゃあ、中に入った方が良いね、」と彼女が暫くしていった。
彼女が暗い室内に入って行ったので、戸口が入れるようになった。
私は敷居を跨いだ。
初めて玄関に入ったとき、いつも思い出すのは絵のことだった。
私はドアの内側で立ち止まった、ドアノブを握りしめじっと見つめた。
私は前にも絵を見たことがあったが、私の家ではそれほどたくさんの絵を見たことはなかった。
私は11枚を数えた。
一番大きなものは、ほぼ裸の2人の男が相撲を取っているものだった。
私はそれが聖書の物語から取ったものなのかどうかわからなかった、カソリックに独特の物なのだろうかと思った。
他の絵は、果物が盛られているものや、景色や、海の上の船や、肖像画だった。
何人かの画家によるもののようだった。
私はどれが私の新しい主人が描いたものかしらと思った。
私が彼に期待していたものは何もなかった。
後で、私はそれらがすべて他の画家によるもので、彼は自分で描き終わった絵を家に置くことはめったにないと分かった。
彼は芸術家であると同時に画商でもあり、ほとんどどの部屋にも絵を飾っていた、私が眠る部屋にも。
それらが売れる度に数は変わったが、全部で50以上の絵があった。
「すぐ来なさい、のんびりしている暇はないわよ。」
女性は家の片側に沿って奥まで続く長い廊下を歩いて行った。
私は急に左側の部屋に曲がる彼女について行った。
真向いの壁には私よりも背の高い絵が掛けてあった。
それは十字架のキリストを聖母マリア、マグダラのマリア、聖ヨハネが取り囲んでいる絵だった。
私は見つめないようにしようとしたが私はその大きさとその被写体に驚いてしまった。
「カトリックは私たちとそれほど違わない、」と私の父は言っていた。
しかし、私たちはそんな絵を家にも、教会にも、どこにも持っていなかった。
今は私はこの絵を毎日見ることができるだろう。
私はいつもその部屋を磔刑の部屋だと思うことにしていた。