”Guardian Angel” by Arthur C Clarke (12)
”Guardian Angel” by Arthur C Clarke (12)
彼は一瞬にして凍り付き、心と体はその不意の衝撃に麻痺してしまった。
その後、自分の感覚が信じられないとでもいうように、彼はベッドの上でひざまずき、指先でおどろくほど馴染みのない壁を探り始めた。
彼は「カチッ」という音がして暗闇の一部が横に動く時、こんな動作を一瞬だけしていた。
ぼんやり薄暗く光る背景に男のシルエットがチラリと見えた。
:そしてドアがもう一度閉まり、暗闇が戻って来た。
それは大変速く起こったので、彼は自分が寝ている部屋の様子は何も見ることはなかった。
一瞬の後、彼は強力な電灯の光に目がくらんだ。
光線は彼の顔を横切って光り、一瞬彼をとらえ、その後ベッド全体を照らすために降りて行った。
彼は今見たのだが、ベッドだと思っていたのは、目の粗い厚板の上に置かれたマットレス以外の何物でもなかった。
暗闇の中から、柔らかな声が極めて上手な、最初はストロームグレンが確認できなかった訛りの有る英語で話しかけてきた。
「ああ、書記官、君が起きていると分かってうれしいよ。
気分が良いといいのだが。」
彼が発しようとした怒りの質問は彼の唇の上で消えた。
彼は暗闇を見つめ返し静かに答えた、「どのくらい私は意識を失っていたんですか?」
「数日だよ。
我々は後遺症はないだろうと約束されていた。
それが分かってうれしいよ。」
一部は時間かせぎのため、一部は自分の反応を検査するため、ストロームグレンは両脚でベッドの端を跨いだ。
彼はまだ寝間着を着ていたが、寝間着はしわくちゃでかなり汚れていた。
彼が体を動かすと、(厄介なほどではないにしても、自分が実際薬物を投与されたと充分分かるほどの)微妙な眩暈を感じた。
楕円形の光は部屋を横切りストロームグレンは初めてその部屋の広さを把握することができた。