“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (44)

“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (44)
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歳をとったウエイターがたくさんのご飯と肉、海老、魚を少々持って来た。
陶器の茶碗が彼らの前に並べられて、ソースとスパイスの金属のスタンドが隣の席から持って来られた。
ビムはご飯を大もりでついで、上に肉を乗せて、しょうゆを振りかけた。
そして、アニシード・ウオッカを飲み終わり、普通のウオッカを注文した。
ヴィクトルもまたウオッカを注文し、気まずい雰囲気の中で食事が始まった。
食べ、飲むにほどに、会話は活発になって行った。
エルダー・イワノビッチは皮膚の整形手術をして、今、紫外線療法を受けている事を告白した。
ビムはボーダークラッシュ(国境紛争)と言う名前の、ウオッカと醤油とメロン半分で作るカクテルを披露した。
ヴィクトルも飲んでみたが、疲れていたので、それほどおいしいとは思わなかった。
ビムはさんざんボーダークラッシュを作った後、「もしチェチェンに連れ去られたのがあなたの兄弟か息子だったら、他のロシア人と同様、かれをみつける為に全力を尽くすでしょうが、ペンギンは人間でもないしロシア人でもない・・・それで、ロシアの武器の勝利の代わりに何に乾杯しましょう?」
ヴィクトルは「言わなかったので、わかってもらえないでしょうが、」と言って、言葉を濁した。
「ミーシャは心臓の移植手術を受けたんです。心臓の提供者は子供。彼の余生を送るために南極に移送する準備が全て整ったところだったんです。でも僕がそのチャンスを彼から奪ってしまったんです。」
「これで、私は全ての事情を聴いてしまいました!」とエルダー・イワノビッチが叫んで、ビムと意味ありげな目つきを交わした。
「そしてもしこれが本当の事なら、言いますが、チェチェンは南極よりも近くにある、ひどいところです。もしお望みなら、2晩、あなたをそこに連れて行くことができます。本当に連れて行ってほしいですか?」
ヴィクトルはため息をついた。
話は荒れに荒れ、もはやミーシャについて話すことは意味が無く、彼が大切にしていた全ての事が無意味になった。
エルダー・イワノビッチはしばらく考えて、誰かに電話をした。
「長男のアーサー、今夜来られるか?北京レストランだ。」
「ヴィクトルさん」と、彼は振り返って言った。
「一分で決めてください。冗談じゃなく。ビムを証人として、私が費用を出して、あなたに心臓移植したあなたのペンギンを見つけにチェチェンへ行ってもらいます。」
ヴィクトルは事の次第を理解するのに時間がかかったが、実際の事だった。
エルダー・イワノビッチの鋭い視線はヴィクトルの突然の決心を迫り、ほんの数分で、「はい」と言っていた。


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