“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (95)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (95)
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アパートに戻ると、ソニヤがリョーシャにお茶を飲ませていた。
彼女はリョーシャの体の不自由さを助けてあげるのが好きだった。
とはいえ、彼は、実際は無力とは程遠く、行動するのがひどく嫌と言うほどではない程度だった。
「2杯、できれば3杯」
「お砂糖はあなたに悪いわ。
入れていいのは1杯半、いっぱいだけって言われないだけ、感謝しなさい。
お砂糖による病気がどんなにたくさんあるか知ってる?」
「一個は糖尿病だろ?」
「それってお腹の病気?」
「いや、血液の病気だ」
「もう一つの病気はお腹痛よ、チョコレートの中のお砂糖が起こすのよ。」
お茶を飲みながら、リョーシャは窓の外を見た。
彼はキッチンテーブルに座っているのがそれほど乗り気ではなかった。
そうすると、彼とソニヤが同じ身長になるからだ。
雪が降っていた。
向かいのブロックでは明かりが灯っていた。
彼らの台所の灯かりもすでに灯っていた。
彼が窓の棚の上の緑色の骨壺に気付いて、ストーブの側に座っていたソニヤの方を向いて、「あの壺には誰が入ってるの?」と聞いた。
「ヴィクトル叔父さんの友達、モスクワのどこかで死んだの。」
ニーナおばさんはバルコニーの外に置いたのに、ヴィクトル叔父さんが帰って来たときに、ここに戻したの。
リョーシャは彼のかっての仕事だった葬儀や通夜、高価な棺、墓地の素晴らしい安らぎを、憂鬱に思いだして黙り込んでしまった。
喜びの無い美しさ、静寂さ。
「冷めないうちに飲みなさい!」とソニヤが言った。
「ソーセージサンドイッチを作りましょうか?美味しいソーセージよ。」
「たのむよ」
その夜、彼らが食べ終わてテレビの前に座っていると、電話が鳴ってヴィクトルは飛び上がった。
ニーナが電話を取った。
「あなたによ」とヴィクトルに言った。
「ヴィクトルさんですか?」という男の声がした。
「あなた宛ての物を持っています。10Kと交換です。」
「10K?」
「一万ドルです。
明日の正午に場所を電話します。
余計な事はしないように、では」
「誰だったの?」とニーナが心配そうに聞いた。
「ミーシャが返ってくる」
「やったー!」ソーニャが叫んだ後、ヴィクトルの失望の表情を見た。
「何か問題でも?」と、ニーナが聞いた。
「お金だよ。
僕は彼らがタダで届けてくれると思っていた。」
「ミーシャを、ってこと?」
「そう」
そしてヴィクトルは突然、何をすべきかわかった。
アパートを出ながら「帰りは、遅くなるよ」と言った。