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“The Pilot’s Wife” by Anita Shreve (83)

“The Pilot’s Wife” by Anita Shreve (83)
https://jp1lib.org/book/1444400/15aafd
 
「お腹がすいていないの。」
 
マティーは椅子を引き出し、その椅子はたまたま彼女の母から一番遠くにあった、その端に慎重に座った。
彼女の肩は少し丸くなり、手は膝の上に置かれ、足は床の上にVの字を書いた。
 
 「お願いよ、マティー、」と、彼女は言った。
 
「ママ、私お腹が空いていないの、いい、やめて。」
 
ジュリアはマティーと話そうとしたが、キャサリンは彼女の目をとらえ、首を横に振った。
 
「何でもいいから、」と、キャサリンはできるだけ努力して何気ない様子を装って言った。
「そうね、トーストでも」と、マティーは妥協した。
 
 ジュリアはマティーにトーストと一杯の紅茶を用意した。
マティはトーストの皮を細かくちぎり、聖体拝領の白いパンくらいの大きさにして、トーストの皮がなくなるまでゆっくりと気乗りしない様子で噛んでいた。
 
 「私は学校に行けるの?」と、マティーは尋ねた。
「休暇が終わるまでにはね」と、キャサリンは言った。
 
 マティーの顔は青白く、引きつったような、まるで半分の力で動いているように、粒のような白さになった肌だった。
彼女の両眼の間と鼻の端には赤みがかった小さなポツポツがあった。
彼女は縁のないトーストの横に腰を下ろし、プレートの上の食欲をそそらない冷たい四角いものをじっと見ていた。
 
 「散歩に行きましょう、」と、キャサリンは言った。
 
 マティーは肩をすくめた。
片方の肩をすくめる--両肩をすくめるよりもっと無愛想に。
 

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