“Writing Box” by Milorad Pavic (22)
“Writing Box” by Milorad Pavic (22)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66
パリの中心地には、セーヌ川の支流を超えてノートルダム寺院を望む美しい場所に、中古の英語の本屋「シェークスピア」がある。
天気が良ければ店の人は店の前に古本を並べていて、まさにそこが私が妹ともう一度会った場所だった。
「終わった?」とエヴァは私の毛皮のコートをしげしげと見ながらイラつきながら聞いた。
「今からどこに行こうというの?」
「私は新しく借りたフィーユ・デュ・カルヴェールに引っ越すつもりよ。」
「じゃあ、あなたはその新しい毛皮のコートのために新しくアパートを借りたってこと?」
「いいえ、私は夫ともベイリー少佐とも別れたの。
あなたに言ったように私はこの酷い生活を変えるつもりなの。
今がその時よ、もう私は26歳なんですもの。
私は私のお勉強をやり遂げたいの。そしてその後で子供を産むの。
でも誰の子供を産むかってことには気を付けなくちゃあ。」
「それと、新しい愛人とのキエフへのハネムーンはどうなの?」
「無しね。」
「どういう事?」
「新しい愛人なんていないの・・・今はお勉強の時なの。」
「分からないわ。わたしはあなたが新しい愛人のためにあなたの昔からの愛人と夫と別れるのだと思っていたわ。」
「それは正しいんだけど、これまでのところ、新しい愛人は架空の可能性に過ぎないわ。
夫にも恋人にも飽きてしまったの。
多分私は女性の友達を見つけるべきだわ。
彼女たちは私を喜ばせることをもっと知っているわ。」
「だからあなたにはそんな浮気男が全然いないのよ。
まずそれを捕まえることが必要ね。そう、あなたは私よりもっと悪いわ!」
「エヴァ、あなたはほんとに寝ている時は女なの?
私が今から新しい愛人の見つけ方を教えてあげるわ。
彼らはあなたが探そうとしないときに見つかるものなのよ。
一寸瞬きをして見ていなさいよ。
本屋の窓に広告があるのが見える?
見える、いいわ、それを読みなさい。」