The Best American Short Stories 2022 (2)

“A Ravishing Sun" by Leslie Blanco (2)   ニュー・レターズより
ザビエル。
ちょっと救世主のような名前だ。
口の中で言ってみるとちょっと幸せにな気持ちになれそうな名前だ。
結婚しなさい、と花嫁の祖母は言った。
私を自分の悲惨な状態から連れ出しなさい。
あなたたち2人は私にもう一度18歳になりたいと思わせてくれる。

 しかし、ザビエルと私は18歳ではない。
私たちのものは試みの愛の行為とその繰り返しなのだ。
そして何か肉の様な色の塊が彼のシャツの前面に散らばっている。

 私たちは人間の脳の破片をの見分け方を知るべきではない、私たちのではない。

 ザビの?

 彼は死んでいない。
彼の唇は動いている。
彼は私に聞こえない、理解できない言葉をしゃべっている。
そして私はその後、彼のシャツに跳ね跳んでいるものは彼自身のものではないことが分かる。

 遅れて起きる恐怖。
車が炎上するという恐怖。
まだらな日差しの中。
絵のように美しい木々の下で。
突然何かしなければ、と言う衝動。

 私はドアを開ける。

 太陽の光。
空中に漂う花びら。

 私はバイクを探す、そのボディーを探す。
私は足元以外の全ての場所を見る。
足元は。
その時までには、人々が動き回っていて、彼に近づくのを怖がっている。
私にではない。
私は彼に触れる。
私は彼に話しかける。
私は彼の魂が去って行くのを見る。
私はそれを見る。
S字の様に立ち上がり、魚のようにそのしっぽを振って、願い、切望するように。
その後、静寂の中の感覚でスーッと音も立てず素早い動きで、全ての方向に素早く、全ての木々に触れながら、全ての分子に、全ての空の一滴に触れながら。

 爽快だ。

 私が見ているものを理解するまでは。

その後、黒い蠅の群れ、腐肉の悪臭、その重さ ― 丸石 ― そのアスファルトに私の所に落ちてきて、私をそこに止付ける、その物語の上に。
何年間も。

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