“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (147)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (147)
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ムラディンが「ウクライナに!」と、乾杯しながら、ニュースを伝えた。
ヴィクトルはこのお祭り騒ぎにはほとんど関係が無いのになあ、と思いながらも、酒を飲んだ。
ヴィクトルは、断りを入れて、下に降りて行って、帰って来て、立って乾杯の音頭を取った。
「今は亡き、私の両親に!そしてあなた、ヴェスナの父に乾杯!」
グラスの鳴る音。
「そして、あなたが彼女を素晴らしい女性に育ててくださったことに敬意を表して、ささやかなプレゼントを・・・」と、ヴィクトルはムラディンに金塊を手渡した。
ムラディンは、言葉を失いながらも、満面の笑みを浮かべてそれを受け取った。
「私だけじゃなく、家族のために受け取ろう、」と、彼は言った。
「お前は知らないだろうが、俺たちは全員で住めるほど大きな家を持っている。
俺の兄弟たちがレストランを買ったんだ。そしてこれが―と金塊を触って―お前たちの将来になるだろう。
一緒に仲良く暮らそう。
俺はお前に親父の商売を教えよう。
パン屋だ。我々は誰もがパンが必要だ。
この金塊でパン屋を買おう、そしておまえとヴェスナと俺の孫にいい暮らしをさせてやろう。」
「パン屋はもうかるし、わたしは熱いのには慣れているわ」とセヴァが言うと、ヴィクトルはまるで彼に「チェチェンの事を覚えているかい?」と尋ねるように、ミーシャの方を見た。
「そして、ミーシャの事ですが、南極で降ろしてやれますか?」と聞いた。
「南極でではないが、ペンギンの住んでいる島でなら、イエスだ。約束する。」