“The Zero Meter Diving Team” (15)

“The Zero Meter Diving Team” by Jim Shepard (15)
https://bombmagazine.org/articles/the-zero-meter-diving-team/
http://pioneer.netserv.chula.ac.th/~tpuckpan/shepard-zerometer.pdf

ペーチャはその時までには、父と僕が用意したペンションで臥せっていた。
25歳だった。
そのビルにはエレベーターがなかったので、自力で彼の階に上がることはできない事が分かったが、僕がたまに電話すると、僕は幸せだよ、と言った。
一日中横になって、誰にも文句を言われる事も無く、煙草を吸い、他人に何かやれと言われる事も無く、カセットプレーヤーで音楽を聞いていた。

「困ったもんだ」と父は車の中で呟いた。
「何が?」と僕は聞いた。二人とも怒っていた。
父は不満げに僕を見ながら話すのを止めた。

プリピャチでは検問所として木製の車止めが設置され、一人の役人と2人の兵士がいた。
兵士たちはその保護マスクにタバコ用の穴を開けていた。
兵士たちは僕の父を待ち構えていて、現場に入らせないようにした。
彼の運転手は足を車の窓から投げ出していびきをかいて眠り始めた。
僕だけが中央広場に行き、原子炉跡に面するビルの中を覗き込んだ。
ビルの舗装のはがれた音の響く廊下を歩き、ノートパッドやペンが散乱する無人の事務所を覗きこんだ。
その中のひとつに贈り物用の箱に入った梱包を解きかけた、年月か虫によって破損した、子供用のドレスがあった。
学校の前の通りを渡ったところには、歩道から木が生えていた。
僕は、そこにあるものには触れないで、開いた窓から教室を横切って、歩いた。
誰もいないプール付きの日光浴室を通り過ぎた。
箱の中に小さなガスマスクがある幼稚園。
その多くは、たくさんのおもちゃと一緒に、ひっくり返され盗まれたのだろう。
ある教室の先生の机の前には、赤い黒板に、誰かが「帰ることはない。
さようなら、プリピャチ 1986年4月28日」と書いていた。


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