“The Cat's Table” by Michael Ondaatje (3)
“The Cat's Table” by Michael Ondaatje (3)
https://www.newyorker.com/magazine/2011/05/16/the-cats-table?utm_source=nl&utm_brand=tny&utm_mailing=TNY_Classics_Daily_111820&utm_campaign=aud-dev&utm_medium=email&bxid=5d511f1405e94e04fb17fc64&cndid=58111023&hasha=147479763ad381df1ed7045869a00456&hashb=4afa6b7c3f7259e2335fe0c08783cef1005dd06f&hashc=1b8c6d4e670158ff22e0cd86e73dbbb16c3c128f61c53e0d761b254de4dd11c0&esrc=NYR_NEWSLETTER_TheNewYorkerThisWeek_217_SUB_SourceCode&utm_term=TNY_Classics
(3)
人生で初めて、僕たちは上流階級の人の運命に興味を抱いた。
そして、徐々にピアニストのマザッパさんや植物学者のダニエルズさんが、それまでは彼らを神のようにすごい人々だと思っていたのが、たいしたことない普通の人で、ものすごい力を持った人がいる事を知ったのだった。
僕たちの船は北西に進み続け、高緯度を通り、乗客は夜が寒くなってくるのを感じられた。
ある日の午後、アラビア海に入り、主任技師は、緊急電源設備の試験のためエンジンを減速するように命じた。
東へ向かう蒸気船が夕暮れの中ですれ違い、コロンボを思いだし三人の話題になった。
アデンは最初の寄港地で、寄港の前には、みんなが手紙を書くのに忙しかった。
というのは、アデンの消印の押された手紙はセイロンに送られたり英国に送られたりするのがしきたりだったから。
僕たちはみんな、朝になると、埃っぽい丘から、その古代の街アデンが近づくのを見ようと舳先に並んだ。
アデンには火山岩でできた貯水池や、ファルコン・マーケット、水族館があり、街には帆を作る職人であふれ、世界中から集められた品物を商う店でいっぱいだった。
そこは僕たちの最後の東洋での足跡だった。
オロンセイ号はエンジンを切った。
港湾の外のスチーマーポイントに停泊した。
乗客は希望すれば船に横付けされた、はしけ舟で運んでもらって町に上陸する事ができた。
朝の9時、なぎだった。
船長は上陸における注意を告知した。
5時間の上陸が許可され、子供たちは男性の引率付けでのみ可。
女性は、不可。
エミリーとそのプール仲間は、予想どおり、下船して彼女たちの美貌を町の人たちに振り撒けないので激怒した。
僕たち子供は僕たちを引率してくれそうな男性を探す方に頭がいっぱいだった。
聞くところによると、ダニエルズさんは古いオアシスを訪れたがっていた。
そこでは、全ての草の葉っぱが水で膨れて人の指の様に肉厚になっていると、彼は言っていた。
僕たちは、彼が見つけた植物を持ち帰ることを条件に彼は引率してくれることになった。
上陸すると、またたくまに、僕たちは新しい言葉に囲まれた。
ダニエルズさんは、大きな植物がある場所に行くタクシーと料金の交渉をするのに忙しかったので、僕たちはそっと逃げ出した。
絨毯売りが僕たちを手招きしてお茶を振る舞ってくれた。
絨毯屋は子犬を僕たちにくれると言ったが断わった。
どこに行くか揉め始めた。
ラマディンは水族館に行きたがった。
最初に市場を見る事になったのでかれは不満そうだった。
僕たちは種や釘や棺桶や地図やパンフレットを売っている狭い店に入った。
町はずれに、頭の形を見てもらって歯を抜いてもらう事ができた。
床屋はカシアスの髪を切って、危なっかしい手つきで彼の鼻毛を切った。
僕は、巻きスカート布がほどかれて着られる鼻を突く匂いや、マンゴスチン匂いや、雨で湿った露店で売る本棚のペーパーバックの匂いの雑踏には、コロンボのパター市場で慣れっこになっていた。
ここは、もっとちゃんとしていた。
溝の中の熟れ過ぎた果物も無かったし、溝自体も無かった。
まるで水自体が存在しないかのような埃っぽい景色だった。
アデンは港町なのに空気は湿気にかけらもなかった。
唯一の液体と言えば、絨毯屋が出してくれた美味しいアーモンドの甘みのする黒いお茶だけだ。
水族館は海のそばの荒れたコンクリートの建物だった。
ラマディンは紅海産のチンアナゴや海水の底を泳いでいるつまらない魚が入った水槽の迷路を通って先に立って歩いて行った。
カシアスと僕は上の階に上がって行った。