“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (43)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (43)
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年長の痩せた、不自然に顔色の悪い男がそっと彼らの席に就いた。
高そうな服を着ていて、明らかに自分が年寄りだと思われないように身なりに配慮していた。
白いシャツに合わせた青い蝶ネクタイをいじって、片前のスーツの革でくるんだボタンを外して、脚を組んで、テーブルに右ひじをついた。
ビムに目で挨拶をして、好意的な表情でヴィクトルの方を向いた。
「私はエルダー・イワノビッチです。あなたのお話には非常に興味があります。」
ビムは、「私に話したことを全部彼にも話しなさい。」と、先生の様な様子でヴィクトルを促した。
ヴィクトルはあまり気が進まない様子で、彼のペンギンの話を端折って話した。
話を聞き終えると、エルダー・イワノビッチは、「ああ、今わたしがここにいるわけが理解できました!」と叫んだ。
「エルダー・イワノビッチはスフインクスの管財人です。彼に、聞きたいことを聞きなさい。私は黙って私のウオッカを飲んでいますから」とビムが説明した。
「それは、全くはっきりしています。彼の不動産はここモスクワに有りますが、あなたのペンギンがいた動物園はもうありません。ハーチェイエフに引き取られました。」
「誰にですか?」と、ヴィクトルがミーシャを取り戻す道が遠くなったのを感じながら聞いた。
「ハーチェイエフはフェニックスが財産を取られた男です。
ハーチェイエフはカジノをやっていて、彼とフェニックスは一緒に事業をやっていましたが、フェニックスが事業に失敗しました。
その後ハーチェイエフは、全部の事業をたたんで、チェチェンへ逃げました。」
「そこが、ミーシャが今いるところですか?」
「断定はできませんが、北コーカサスのどこか、チェチェンが最も可能性が高い場所です。」
そこまでが私の関与できる範囲です、そうでなければ」と言って、苦笑いをしながら付け加えた。
「その範囲だとあなたもミーシャを追っていけるでしょ」
チェチェンとペンギン、どうもしっくりこない。
二人が真剣な面持ちで見つめる中、ヴィクトルはウオッカに手を伸ばした。