“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (104)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (104)
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アンドレイ・パブロビッチがおとぎ話の様に輝く木のイルミネーションと、プレゼントで膨らんだ赤い袋をかかえて、彼の家の門を通って入って来る子供たちを満面の笑みで出迎えた。
サンタクロースと雪の女王が、半分吸った煙草を赤い靴の下に捨ててあわててやってきた。
「よくやった!」とアンドレイ・パブロビッチがヴィクトルに耳打ちした。
「さあ、パーシャと戻って、お前の子供とペンギンを連れて来い。
一人二人増えたからって一緒だ。」
彼らが着くころまでには、お祭りは盛り上がっていた。
サンタクロースと雪の女王が木の周りで、大型ポータブルラジオの音楽でみんなをダンスに誘っていた。
ヴィクトルがソニヤとミーシャを連れて到着したのを見て、ガリーナ・ミハイロフナと親しげに話していたアンドレイ・パブロビッチが、話をやめて、音楽を止めさせた。
「子供たち! スペシャルゲスト、本物のペンギンに大きな拍手を!」
子供たちは拍手して、ミーシャの周りに走って集まってきた。
「でも、ペンギンに触っちゃダメだよ」と、ソニヤが庇うように言った。
アンドレイ・パブロビッチの合図で、ディスクジョッキーが音楽を元に戻した。
チャンネル1のテレビカーがやって来て、一人の少女と2人のカメラマンが出て来て、ヴィクトルはそれを見たくなかったので、部屋に入り、彼が昔住んでいた屋根裏部屋に上がって行った。
彼はベッドに座った。
彼の後誰も住まなかったかのように、同じベッドカバーが掛けてあった。
去年の正月は彼らは民兵のセルゲイの別荘で過ごしていた。
あの時はニーナはいなかった。
居たのは髭面のリョーシャで、まだ足があり、ミーシャと始めて会ったんだった。
全てはたった一年前の事だ。
下の方では子供たちの歌声が聞こえた。
「森にはモミの木が生えていた、森の中でモミの木が育った..」
彼は窓の方へ行った。
少し雪が降っていた。
もし彼自身が灰の中に居るのでなかったら、セルゲイはまだチェチェンにいて、加熱炉の小屋で新年を祝っていたかもしれない。
ヴィクトルは、サンタクロースが子供たちにプレゼントを手渡しているところに降りて行って、時間がちょうど1時過ぎたところだと気が付いた。
「子供たちは昼食を食べ損なってしまいます」とアンドレイ・パブロビッチに言った。
アンドレイ・パブロビッチは彼に200フリブナ手渡して「彼らをマクドナルドに連れて行け、私のイメージを良くしてくれたお礼に、年始の間、自由だ。2日に出頭しろ、退屈ならもっと早く来い。」
プレゼントを配り終え、音楽が止まった。
運転手がバスのエンジンをかけ、子供たちが開いたドアに向かって走った。
「何とお礼を言ったらいいのかわかりません」とガリーナ・ミハイロフナはヴィクトルに言った。
「初めてキエフを訪れる事が彼らにとってどんな意味があるのか、あなたにはわからないでしょう。」
「そして今、私たちはマクドナルドに行こうとしています。」と、ヴィクトルは言った。
彼女の目には涙があふれ、何か言おうとしたが出来なかった。
「私たちも一緒に行くの?」と、ソニヤが尋ねた。
ヴィクトルは2人用の座席と一人分の立てる空間を見つけて、誰がミーシャを膝に抱いてくれるか聞いた。
「ぼくが!私が!」とそこら中から聞こえてきた。
彼は優しく青いニット帽からきれいなカールをのぞかせた小さな女の子に彼を預けた。
バスは動き出した。