“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (145)

“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (145)
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上の階のデッキを忙しく歩き回っていたムラディンとラドコが昇降口階段に来て、入口に現れた。
ムラディンは本当に後悔している様子で、ラドコは途方くれているようだった。

ムラディンは娘をじっと見つめて、それからヴィクトルを見た。
「お前の傷はどこでつけたんだ?」とヴィクトルに聞いた。

「チェチェンです。」

ムラディンは、ほっとしたという感じだった。
「俺はこれらの傷をボスニアで負ったんだ」と言い、彼の青と白の縞模様のチョッキを引っ張り上げて傷あとを見せ、金の正教会の十字架を投げだして、急に「お前はユダヤ人じゃないよな?」と、聞いた。

「ロシア人の両親から生まれたウクライナ人です。」

「我々スラブ人は団結しなけでばならない、」ムラディンは手を伸ばしてヴィクトルを引き寄せながら、まるで教訓を唱えるかのようにゆっくりと言った。

「息子よ、俺はお前の事を喜んでいる、」と感情に震える声で続けて言った。
「しかし、もしお前が彼女を失望させたら、お前を殺すからな・・・
もし彼女がお前を失望させたら、処分はお前に任せよう。」
ムラディンが抱擁を解いたので、ヴィクトルはバランスを崩しそうになった。
「我々は正に今日、結婚式を執り行うつもりだ」とムラディンは言った。
「そしてあすの6:00、おまえは見張り番ワッチに来て、仕事のやり方を説明してやろう」
「お父さんは殺人者じゃないわ」とヴェスナが二人っきりになった時に言った。
「愛国者なだけよ、彼が言う様に」

「あなたのように」

「そうです。」

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