“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (45)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (45)
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エルダー・イワノビッチはもう一杯のボーダークラッシュ(国境紛争)を用意しながら「そして、ビムと私こそが本物の男です。」と言った。
「次の30分間のための私のあなたへの助言は、意識が無くなるまで飲め、ということです。
睡眠薬やヤクよりもずっと効きますよ、あなたのペンギンの解放と、ロシア兵器の勝利に乾杯!」
彼らはグラスをチリンとならして、乾杯した。
彼が揺れ始めたのか、彼以外のすべてのものが揺れ始めたのか。
ヴィクトルは自分の空のグラスをおいて、両手でテーブルを掴んで、何とか倒れないようにして、落ち着こうとした。
エルダー・イワノビッチは自分のためにもう一杯のボーダークラッシュを混ぜていた。
ビムはウエイターにお茶とミネラルウォーターを持ってくるように言っていた。
ヴィクトルは、眼を開けていることがますます難しいと分かったが、今のところレストランが彼の視野からなくならないようにするのが精いっぱいで、ウエイターと隣のテーブルは既に視界から消えてしまっていた。
彼は短い皮のジャケットを着た若者が席についたのを見た。
彼を脇に置いて、エルダー・イワノビッチはヴィクトルの方を1,2回指さした。
彼は、次に起こったことを、見る事も知る事も無かった、眼を閉じた。
次々と彼の感覚は喪失し、アルコールの力に屈してしまった。
彼の頭は、ソースをかけたエビとご飯のボウルの横のテーブルクロスの上に横たわっていた。
茶色の上着の男がウオッカを少し飲んで、携帯で電話をかけると、20分後に、角刈りの男たちが現れて、ヴィクトルを引きずるようにして連れ出した。
「クロークに彼の上着があるので一緒に持って行ってくれ」とビムが言い、「ポケットに切符が入っている」とつけ加えた。
36
次の6時間は全く記憶が無かった。
激しい体への衝撃に反応して目を開けようとしたが、彼が見たものは焦点が合っておらず、形を成していなかった。
何か苦い飲み物を使い捨てのコップで飲まされたが、立ち上がろうとしてまた深みに戻っていった。