“The Cat's Table” by Michael Ondaatje 最終回
“The Cat's Table” by Michael Ondaatje 最終回
(8)
僕は葬式に出たことはなかった、ましてや、僕にちょっと責任のある葬式には。
エミリーは少し離れた所にいて、ためらいがちの僕を見て、頭を振った。
「猫の食卓」のみんなもそこにいた。
僕たちは花の添えられたクター卿の、架台に囲まれた取り巻きの小さな姿を覗きこんだ。
最後の儀式の声はほとんど聞こえなかった。
司祭の声が言い淀み、水面を越えてやってくる激しい風に消えて行った。
家族が埋葬布に包まれた遺体に触れた時、僕たちは遺体にどんな秘蹟が施されるのだろうかと、前かがみになって見つめた。
そして、ヘクター・デ・シルバ卿は船から滑り降り、海に消えて行った。