“Writing Box” by Milorad Pavic (24)
“Writing Box” by Milorad Pavic (24)
https://jp1lib.org/book/16698678/7e0b66
箱の上の端には最初の内部隔壁がある。
もし内部用のカギを回すと、不思議な目的が達せられる。
鍵の圧力で箱の底にある穴からネジが現れる。
だから箱は船の揺れでテーブルやそれを置いた他の台から滑ることもない。
前述のカギとネジは木製の表面に固定するために使われたのだ。
箱がロックされている限りネジには達しない。
「あなたに左手が2本あったとしても、あなたはそれを盗むことはできませんよ。」と、給仕がそれを置くときに言った。
真鍮の枠と布の筆記するための表面の間には、その上部の縁に沿って明るい木材と暗い木材で出来た小さな溝が5つ、5つのお盆のようにある。
その一つはおそらくインク壺が入っていたのだろう、というのはそこには緑色のシミがたくさんついている、そしてもう一つにはインキの上に振りかけるための砂が入っていた。
4つのトレーは正方形で、5番目は長方形でらせん状の溝を切ったチーク材で出来ていた。
その事から判断して、恐らくその下には砂を使わない場合を考えて、吸い取り紙が付いていたのだろう。
だからペンホルダーを収容するためのそのトレーは同時に吸い取り紙も兼用していたのだろう。
2つのトレーは空だ。
ホルダーを入れるトレーにはペンを固定するための銅の金具の付いた濃い緑色の杉材のペンホルダーがある。
その隣のトレーには赤い砂と、ペニス状の形をした笛と、箱の中には入っていなかった瓶のガラス瓶用のコルクが入っていた。
笛は死者の魂を呼ぶためのものだ。
それは何か「クムト!クムト、クムト!」という奇妙な音を出します。
これは死者の氷のような夢が自分自身を温めるために生きている者の心地よい夢の中に時折入り込む時に出す呼び声なんだ。
その時だけ彼らを呼ぶことができる。
より正確に言えば、その笛は死者の魂を召喚したい人が、その魂を呼び出すことができるために使われる。