“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (46)
“Penguin Lost” by Andrey Kurkov (46)
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典型的なノーズのつぶれた形のパヴロヴォモーター製のミニバスはゆっくりと着実に走った。
窓には昔の長距離列車に着いているような家庭的で豪華なカーテンが掛けてあり、2つの薄暗い前照灯が道を照らしていた。
真っ暗な客室ではいろいろの年齢の12人の男たちが眠っていた。
2人の睡眠薬を入れたフラスコを持った男が、男たちがちゃんと眠っているのかを見張っていた。
車両検査所の300m手前までくると、運転手はサラトフ-ノボチェルカスクと書いた表示板を見て、フロントガラスに投げ出していた足をひっこめた。
しかし、高床式の車両検査所は暗くその検査官たちは、寝ているのか、そこにいないのか、静かだった。
左を見ると、新しい一日の夜明けがやってこようとしていた。
「20km行ったところに森があるので、そこで休憩だ。」と、一人の男が運転手に言った。
完全な沈黙の中で、革張りの二人掛けの椅子に半分座って、半分横になって、ヴィクトルは意識を取り戻した。
痛む背中を伸ばして、周りを見回した。
十数人の乗客の中には、まだ寝ているものもいた。
タラップの向こう側では老人がヴィクオルを気にする事無く缶の肉を食べていた。
運転手はいなくなっていた。
彼らは森の中に駐車していたのだった。
鳥の声が聞こえた。
彼は立ち上がって、開いたドアの方へ歩いてゆき、外を見た。
松林の間から太陽が差していた。
彼は手で日差しを遮り、この現実ではないような状況に慣れっこになった自分に打ち勝った。
彼はどこにいたんだろうか?
ビム、エルダー、そしてスフインクスの話、彼は何も覚えていなかった。
ポケットを調べた。
パスポートとクレジットカードはまだそこにあった。
彼は外に出た。
ちょっと離れた所で、革ジャンを着た3人の男が枝に挿したきのこを焼きながら焚き火を囲んで座っていた。