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茶色は正義だ。天ぷらの名店「土手の伊勢屋」(日本堤)
最初に明言しておきます。茶色は正義だと思う。
このご時世にもかかわらず、ここまで行列するのも珍しいと思うお店がある。
それが、天ぷらの名店「土手の伊勢屋」。
すっっごく天ぷらが食べたくなる時がある。しかも天丼が食べたくなる。
歩いて30分の距離を、前奏と余韻で全速力で歩くと決めて、前日の晩ごはんと当日の朝ごはんを抜いて友だちと行ってきた。これが私たちの儀式(今回で2回目)。
ちなみに、歩いている途中と並びながらのおしゃべりもフルスロットル。いちおう女子なので、お互い少しでもカロリーを消費したい下心はある。
開店約30分前に到着したのに、すでに10人近く並んでいた。
そしてお店からお姉さんが出てきて、メニュー表と、なんと日傘を渡された。冬のホッカイロはあっても日傘レンタルははじめて。
開店前にお姉さんがもう一度やってきて、注文をとる。なんと無駄のないことだろう。
毎回食べきれないのを分かっていて、迷うことなく最もボリュームのある天丼「ハ」と、お椀(汁物)を注文する。別料金で、持ち帰り用のパックをもらえることはあまり知られていないかもしれない。
11:00。どうにか一巡目で入れた。消毒、マスク完璧。お客さんも、気を遣ってなのかほとんどおしゃべりはしない。
しらすおろしも食べてしまった。後悔はしていない。
見よ、この美しき天丼を。本日のメインディッシュ、天丼ハ。
穴子、小海老のかき揚げ、海老一本、旬の魚、野菜三種。
盛り付けといい、素材の間の取り方といい、もうすべてが美しい。海老の反り具合、お魚のまっすぐさ、完璧。
むかし華道をしていたから気づいたんだけど、この配置がどうも生花に通ずるものがあるように思えてならない。根本(お米)を見せないとか、間の取り方とか。お花のように天ぷらを生けたらこうなるのか。
美の暴力であり、茶色の暴力。大歓迎。
そして今、これを深夜に書いていることを心の底から反省している。やばい。もう食べたい。
天つゆを浴びて、サクッとシナっとした、揚げたての天ぷら。天つゆを纏った茶色く輝くお米。頬張ると素材の旨みがじゅわっと口いっぱいに広がるあの瞬間。
衣と素材、そしてお米。口の中でオーケストラがはじまる。指揮はもちろん天つゆ。お腹いっぱい食べた後の背徳感。この余韻に浸るまでがフルコース。
もちろん今回も持ち帰り用パックをもらい、おなかも心も満たされて30分歩いて帰ってきた。
夜まで待ちきれずに持ち帰った天丼の残りをいただく。一粒で二度美味しい。まじで美味。あぁ。
翌日、体重が増えていたのは言うまでもない。
でもまた行きたくなっちゃうんだよね。
土手の伊勢屋
※水曜に加えて、火曜も定休らしいです