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ローラースケートの止まり方②:急ブレーキ&応用編

 前回に続いて、ローラースケートの止まり方について考えてみる。止まるという動きは、結構奥深い。初心者が一番最初に覚えなければならない動きでもあるが、上達に従ってさまざまな止まり方を習得していくことができる。

 ローラースケートの止まり方①で紹介した基本のストップができるようになったら、今度は急ブレーキをかけてキュッと止まる方法(両足のトウストップやホッケーストップ)そして応用編にチャレンジしよう。

■両足のトウ・ストップ

 両足のトウ・ストップは、急ブレーキをかけてきゅっと止まることができる、とても便利な動きだ。うちのアーティスティック・ローラースケートのクラブでは、ゆっくり止まる時は片足のトウストップ、すぐに止まりたい時はこの両足のトウストップを基本として教わる。

 やり方は、くるっとバックに向きを変えてから、両足でつま先立ちになってトウストップを使って止まるだけ。この時、ピタっと止まるイメージよりも、急ブレーキをかけてトウストップを少しスライドさせるイメージを持って止まるといい。特にスピードが出ている時はスライドの距離が長くなるので、重心を前に残すことが重要になってくる。スピードが出ていない時はピタっと止まることもあるが、最初からそれをイメージして止まると、思いのほかスピードが出ていたときに後ろに重心を持っていかれて危ない。

 両足のトウストップは、バックで止まらなくてはならない。フォアで滑っている時には、くるっと向きを変えて止まる。向きを変えるには、スプレッドイーグル、モホークターンやスリーターン、又は両足で飛んで半回転ジャンプをしてもいい。どんな回転方法でもいいのだが、初めはフォア→イーグル→バック→両足ストップ、の流れでの練習がお勧めだ。イーグルのやり方はこちらを参照。私のコーチは、ベンチに置いてある水を飲みに行ったり、練習が終わって戻る時には、毎回モホークかスリーターン→両足ストップでの練習をしながら戻れ、と言っていた。簡単にできるようになったら、今度は苦手な方の足での練習をしながら戻るようにするといい。

↑ スケートプロというショップの動画。これが基本の両足ストップ。

 でももっと簡単な方法もあるので、これに挑戦する前にまずは以下の2つの動画を参考にして欲しい。

↑ Moxiのアボミナトリックスの動画。ウェイトレスのターンと呼んでいるのは、ようするにスプレッド・イーグルを間に入れるターンのことだ。こんな風に、バックの片足ストップを応用して、ちょっとランジさせて片足を前に出しておく方法だと重心が安定してブレーキをかけやすい。この方法だと、ストップは同時に使わずに、後ろに出す足、次に前の足で、1、2、と順番にずらして使うこともできる。ただしこれだと、やりやすい分両足同時にストップをかける方法より距離が必要だ。ランジして同時に両足にストップをかければその分距離は縮まる。

↑ インディ・エマ・ジョーンズの動画。スピードが出ている時のストップはこの方法が一番簡単だよ、という止まり方を説明してくれる。もちろんスピードの出ていない時でも、初心者にはこの方法が一番簡単かもしれない。インディのフォアからバックへの回転の方法は、体を開いて腰から下をひねりながら軽くジャンプして方向転換するやり方で、なるほど!という感じ。モホークターンとジャンプの両方の良い所を混ぜたみたいなやり方で、確かにこれだと普通の180度ジャンプよりも簡単だし、モホークターンよりも簡単だ。そこからランジしてバックの片足、又は両足ストップに入る。簡単に素早く回転できるので、ターンにまだ慣れずにゆっくりイーグルを入れてからバック……という人は、この体を開いたジャンプにチャレンジしてみるといいかもしれない。

↑ This Radの動画。ランジさせるストップ、そして最後に両足同時のストップを実演している。両足同時になるとどれだけ止まる距離が短くなるか、よく分かる。


■ホッケー・ストップ(二の字ストップ)

 ホッケーストップは、ローラースケートの止まり方の中でも最もかっこいい止まり方だと思う。その場で一瞬にしてガシっと止まることができる止まり方だ。急ブレーキ系のストップの中でも、最も短い距離で止まることができる。アイススケートのホッケーストップは横滑りしてザッと氷を削るような動きだが、ローラースケートの場合は床を削ることができないし、ウィールと床や地面の摩擦が大きく横滑りしにくいので、なかなか難しい。

↑ ジプシー・ルーカスによるホッケーストップ講座。両足のトウを同時に向きを変えて、お尻をきゅっと突き出す。腰や上半身はひねらずスクエアなままで。これが基本。

↑ ローラーダービーのミラクル・ウィップによるホッケーストップ。細いアイスのブレードと同じようにはいかないけど、動きは同じようにスライスするイメージで、とのこと。

↑ スケートブリテンの動画。最初は、きゅっと止まらずにちょっと円を描くようにスライドしてスピードを落としてから、きゅっと止まる練習をする。0:38からは、片足のプラウストップを練習する。このプラウストップの動きを最終的に応用して、1:23から両足できゅっと止まるホッケーストップに完成させていく。内側の足を先にきゅっと回転させてから、外側の足をプラウストップの要領で止める。なるほど。

↑ スポーツ&アウトドアの動画。最初はTストップのやり方で、ホッケーストップは1:54から。かかとをフリックする。3:10からはバックのホッケーストップのやり方。床を切り込んでいくように。

追記:たまに紹介するアイススケートのコーチ・ジュリアの動画を先ほど見ていたら、ホッケーストップというのはようするに前足がプラウストップ(イの字ストップ)、後ろ足がTストップの止まり方だ、と言っていてなるほどと思った。動画そのものはアイスのストップでちょっと違うため、ここでは紹介しない。


■その他の止まり方:応用編

 ローラースケートでの止まり方は多種多様だ。でも、基本的にはまずトウストップ、プラウストップ、Tストップ、ホッケーストップをマスターした方がいい。もちろん滑るスタイルによっても違うので、すべてを覚える必要はない。ゆっくり止まるストップ、急ブレーキのストップがそれぞれ一つずつできるようになれば、それで良いと思う。その上で、応用編にはこんな止まり方もある。

↑ インディ・エマ・ジョーンズの動画にMoxiのエストロ・ジェンがゲスト出演している回。フォアからバックに踏みかえる方法(オープンドア、クローズドアと呼んでいるやつ)、ジャンプで半回転する方法(ジャクジー水流みたいに水をかきわけるような勢いのモーメンタムを使う方法、肩と体をひねってジャンプする方法)が個性的でおもしろい。この人は本当に型にはまらない自由な滑り方をするなぁ。ストップも、バックの片足、バックの両足同時のほかに、お尻をきゅっとひねって横にスライドする方法、片足スライドでもう片足は曲げて宙に浮いたままなど、実用的なだけじゃない、カッコいい止まり方を紹介している。

↑ ミッドウェスト・ジャムの動画。後ろではなく横でやるTストップのような止まり方!Tストップのずぼらバージョンといったところか。Tじゃないな、なんだろう。への字ストップ?素直に後ろでやるTストップの方がやりやすいような気もするが。

↑ ダーティ・デボラによるチョップストップ。インサイドのつま先から降りて、ハの字に踏み、踏み、踏み……。おもしろい。

↑ ニコール・フィオーレによる動画。最初はデボラのような踏む方法、そしてTストップなどを説明しているが、8:12からの回って止まる方法は特にアーティスティックの人が普段の何気ない動きでよくやる方法だ。ガシっと止まるのではなく、小さな円を描いたりターンやスピンをして止まる。進む勢いを回転に変えると一か所にとどまることができるからだ。慣れるとこれが一番ラクで、止まるぞ、という特別な動きをしたり特別な力を加えないままするっと止まることができる。動画には出てこないが、片足のトウを床についてピボットターン(ピボットターンについてはこちら)をしてもその場で止まりやすい。

↑ フランス生まれの普通の靴に変身するローラースケート、Flaneurzの動画。こちらもシンプルに両足でくるっと小さな円を描いて回るだけで止まれるのがよく分かる。

↑ ラナによる動画。ピボットターンをアレンジしたような感じでかっこいい。フォアの右インサイドピボット(左軸)のあとにバックの右アウトを入れている。


 ローラースケートの止まり方は、こんなところだろうか。他にも何かあれば、ぜひ教えてくださいませ。


追記:応用編の回って止まる方法に動画を追加しました。

追記その2:インディがとても良い動画をアップしたので、両足ストップの箇所に追加しました。


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