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トラックとクッション(ブッシング)について

 

 ちょっと前に、膝が内側に入ってしまう問題について書いた。

 あれからまだしばらく試行錯誤していたのだが、ツイッターで親切にいろいろ教えてくださった大先輩スケーターの方のアドバイスを元にいろいろ調べていくうちに、エッジの乗りやすさというのはトラックのアクションとクッションのゴムにもかなり左右されるのだな、というのが分かってきた。

■トラック(アクション)

 トラックというのは、この部分。

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photo: Quad Project

 車軸をフレームに固定する部分で、エッジに乗って体重をかけると傾くようになっている。この傾きの大きさを調整することで、滑りがかなり変わってくる。調整の方法は、真ん中のキングピンと呼ばれる部分のナットを締めて/緩めていく。メーカーによってさまざまだが、私のKomplexはキングピンの真ん中をまずアレンキーで緩めてからナットを緩めるようになっている。

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 ↑アレンキーというのはこれ

・トラックを締める →エッジに体重をかけても傾きが小さい

    メリット:安定性が増す

    デメリット:締めすぎるとエッジに乗りにくくなる

・トラックを緩める →エッジに体重をかければ大きく傾く

    メリット:エッジに乗りやすくなる

    デメリット:緩めすぎると安定性がなくなりぐらぐらする

↑ Moxiのエストロジェンによるトラックについての動画。緩めた方が滑りやすい?滑りにくい?と数人のスケーターで実験してみたが、結果は本当に人それぞれのようだ。スピンは締めた方が回転数があがった、自分がこんなに回れるの知らなかった、という人の意見などが面白い。


 まずは、もう一度ネジの基本を確認。締めるのは右回り、緩めるのは左回り、Righty tighty, Lefty loosey。

 私はこのエストロジェンの動画を見て「トラックを緩めてみたら、苦手なバックの左アウトエッジにも乗りやすくなるのでは?」と思い、ある日適当にトラックを緩めて滑ってみた。すると緩めすぎたのか、確かにエッジには乗りやすくなったが、今度は足がぐらぐらしやすくなって片足で滑ることが難しくなってしまった。その後「やっぱりきつめに締めた方が私には向いているのかも」と思い、しばらくガチガチに締めて滑っていたが、フィギュア(図形)をやるとエッジに乗りにくいし「もう自分の丁度いい位置が分からない~」という状態でお手上げになってしまった。

 うちのクラブのボスに相談してみると、基本的に体重が軽い人ほど緩め、重い人ほどきつめにしておく、と教えてくれた。私の使っているKomplexのトラックには緩み止めの凸凹がついており、カチカチと音を鳴らしながら締めていくのだが、ナットを一番緩い状態にしてから娘の体重ならカチカチ音x6回、私は8回締めると丁度いいはずだ、とのこと。やってみると、さすが、ボス。おっしゃる通りでした。参りました。やっと気持ちよく滑れるようになった。

 トラックは、前も後ろも、右足も左足も、基本的にはすべてのナットを同じ締め具合(私の場合は8回)にしておく方が良いそうだ。自分の滑りやトラックについてよく理解してから、前だけを若干きつめに締める、などの調整をしていくと良い。

 そして、緩め/締め具合を調節する時は、いつもカチカチと2回鳴らすぐらいの微調整から始めること。緩み止めの凸凹がない場合は、ナットを90度回す程度で試してみると良いと思う。


 トラックについて相談したついでに、ボスに「このブッシング、もうちょっと柔らかいのに替えてみたいんだけど」と相談してみると、「そうだね、替えた方がいいね」ということになった。


■ブッシング(クッション)

 ブッシングというのは、トラックの上下に挟んであるゴムのこと。この写真だと、グリーンとブルーの部分だ。

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 ブッシングは、ウィールと同じように78Aといった柔らかさの数字を表示していたり、ソフト、ミディアム、ハードの3種類があったりと、メーカーによって表示方法が異なる。

・硬めのブッシング →エッジに体重をかけても傾きが小さい

    メリット:安定性が増す

    デメリット:硬すぎるとエッジに乗りにくくなる

・柔らかめのブッシング →エッジに体重をかければ大きく傾く

    メリット:エッジに乗りやすくなる

    デメリット:柔らかすぎると、ちょっと体重をかけるだけで潰れて

          しまい、クッションとして機能しなくなる、

                                    または安定性がなくなりぐらぐらする

          

↑ クッション(ブッシング)について説明してくれるダーティ・デボラ・ハリー。クッションは地面や床からのショックを緩和するため、合わないクッションだと疲れやすくなり、最悪の場合足が痛くなったりする。さらにクッションには、滑りをサポートし、推進力やパワーを得る役割もある。ローラースケートでは、体重移動して片方のエッジに圧力をかけると、クッションが縮んで支え、エッジに乗れるようになる。自分のフレームをよく調べて、そのフレームに取り付けられる形のクッションを選んでね、とのこと。初心者は柔らかめかミディアムで選ぶと良いそうだ。デボラは体も大きいので硬めのものを使っているそう。しかも、クッションはパフォーマンスに大きく影響するため、3か月ごとに交換しているのだそうだ。

 この動画でデボラも言っているが、ツイッターでアドバイスしてくださった先輩スケーターさんも「トラックを緩めるより、クッションで調整した方がいい」と言っていた。デボラは、トラックを締めぎみにして柔らかいクッションを使った方が、安定感に影響しにくく、パワーも失わず、コントロールしやすくなる、と言っている。

 基本的に、ブッシングは体重の重い人ほど硬い物が必要になり、軽い人ほど柔らかい物を選ぶと滑りやすくなる。体重が重いとそれだけ圧力がかかり、ゴムがぎゅっと縮みやすいからだ。

 体重ごとの柔らかさのだいたいの目安はこちら。

体重:   ソフト - ミディアム - ハード
22kg-45kg:  65a  -  78a -  81a
35kg-55kg:  80a  -  83a -  85a
45kg-65kg:	85a  -  87a -  88a
55kg-80kg:	87a  -  89a -  91a
65kg-90kg:  88a  -  93a -  94a
80kg-100kg+: 91a -  93a -  97a+

 ただし、これはあくまでも目安にすぎないので注意。例えば体重40㎏の人なら、柔らかめが好きな人は65A~80A、ほどほどが好きな人は78A~83A、硬めが好きな人は81A~85Aくらいで選ぶと良いはずだが、こればっかりは好みに個人差があるのでなんともいえない。

 ブッシングは安いパーツなので、いろいろ使ってみて自分の好みの柔らかさ/硬さを見つけていくのが一番だ。

↓私の以前使っていたブッシング

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 私はずっとこの茶色のブッシングを使っていたのだが、今回ブルー&グリーンの柔らかいものに替えてもらった。安定感を失わないまま、エッジにも乗りやすくなり、かなり滑りやすくなったと思う。

 というわけで。とうとうバックの左アウトに乗りにくいのは、靴のせいではなく自分のせいだという、まったく言い訳のできないに状態になったとさ、とっぴんぱらりのぷう。


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