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夢と現実のはざまの世界で

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詩を創っています。ちょっとしたセラピーです。夢でも現実でもない世界へようこそ。
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歩きかた

一歩踏み出してみる 二歩おずおずと進んでみる 三歩進んだら空を見上げて 四歩進もうとしたら アッと思い出して 後戻りする 大したことじゃなかったと悔やんで また一歩から始める 今度は顔を上げて二歩進む 三歩進むとやっぱり空を見上げたくなる 一息ついてから四歩進む その先には何が待ち構えているのだろう まだ見ぬことに起きてもいないことについて くよくよ考えるのはやめて また一歩ずつ ゆっくりと進む すぐに立ち止まって空を見上げ あちこちに咲く花に心を奪わ

曇天の冬の森には

冷たい空気の中いつもの森へ向かう   曇天の寒い休日  いつもは多くの人々で賑わう場所も 今日ばかりはひっそりとしている 暗くて寒くて淋しい感じだったらと  出かける前にそんな思いが一瞬よぎったけど杞憂だった 曇天の冬の森は最高であった いつもより人々は少なく しかし確実にその場所が好きな人たちが佇んで座り込んで歩みを止めて  その瞬間を心から堪能していることが様子からうかがえる 灰色の空は暗い気持ちにさせられるどころか むしろ何かから守ってくれているかのようだ

豊かさの定義

ちょうど良い温度のシャワー ちょうど良い固さのプリン ちょうど良い長さの睡眠時間 ちょうど良い丈のワンピース ちょうど良い距離感の友達 ちょうど良い気温の晴れた日 ちょうど良い量の赤ワイン ちょうど良い音量の音楽 ちょうど良い赤みのリップ ちょうど良い距離の散歩道 わたしにとっての豊かさと最適は、あなたとは違うかも 箱を開けた瞬間に幸せが滲み出る宅急便の荷物 優しいイラストを見た時にゆるむ心 バイブレーションが心地よいライブ 極寒の日に寒い寒いと肩寄せながら歩く道 ここは

あたたかいものを詰めこんで

空気がひんやりとして 枯れ葉の絨毯が町中にも広がりはじめると 人々が肩や首をすくめながら 歩く姿が増えてくると こっくりした味のものを食べたくなってくると ああ 冬が近づいてきたんだなと思う 日が暮れ始めると家に帰りたくなり マフラーや帽子や手袋で体を包みこんだり 温かい湯船にじっくりと浸かりたくなり 身の回りの冬支度を開始する 冬は寒くて暗いからこそ 人々は暖かさと明るさを求めるのだろう 町はイルミネーションが灯り 日頃はアンバランスなくらい派手な色彩を放って

何か違う

正しさを主張したくなって 思わず口に出てしまう その後、激しく悔やむ いや間違っていない その伝えた内容は そもそも そんな状況になること自体が違うんだよ まだまだ 道の途中 自分の未熟さに 苦笑い 自己嫌悪に陥りそうになる たまーに ひょっこり顔を見せてくるんだよね いやいや 自己嫌悪案件じゃないからと もう一人の自分が冷静に言い放つ ただ単に何か違うだけだから

大好きの循環

大好きという声を聞いた  これはどこから聞こえてきたのだろう  手に持っていた 小さな青い石?  自分のハートから?  どっか上の方から?  大好きっていう言葉が聞こえてくるのは 久しぶりの感覚  その声の純粋な感じに エネルギーと癒しをもらった朝だった  さあ わたしはこのギフトをどこに循環させれば良いのだろう  そんなことが ふと思い浮かんできた

怠惰な夏

夏は煌めきと 怠惰な濃い空気  人は生命エネルギーに満ち溢れる季節というけど わたしにはなぜか死を感じさせる季節だ  もう終わりに向かっていくだけだから  うっかりすると 明るく陽気なふりをした 無限の暗闇が待ち構えている 夏の濃さは 生命力と死が隣り合わせに感じるから くっきりとしているのかもしれない 冬はね  暗いし 生き物も植物も身を潜めているけど  次の季節が待っているから 暗く止まっているだけではない 夏とは違う 生命力が蓄えられている感じ そっと優しく 次の

新しい世界へ

目覚めの音楽が聴こえる さあ、目覚めて もう 朝だよ  新しい世界が待っているよ そんな風に 言っているかのように奏でる囀り声 新しい世界に ふさわしい自分でも 新しい世界にふさわしくない自分だと思ってしまっていても 扉は みんなに開かれている あの歌声に勇気をもらって 新しい世界へ 新しい一日へ 今日もゆっくりと進んでいこう

新緑の午後に

空と 光と 風と 木々と 草花達と 土と 鳥と 虫と そして 目に見えない何者か達 全てが 奇跡のように もしくは 当たり前のように そこにいて 踊るわたしたちを 包んでくれる ひんやりと 湿り気のある 新緑の午後 勢いを増してきた生き物達のパワーに 励まされて 心が開いて 踊り子たちが くるくる回る 風と音楽に合わせて 体を揺する わたしたちの心が開き 満ち足りてくると 周りの生き物達も大喜び 目に見えない者達も 小さな草花の上で 見物しているだろう