見出し画像

ヨツボシケシキスイと僕

国立科学博物館で開催中の特別展「毒」。
今回は毒に焦点を当てた展示ということで、日ごろから毒に対して憧れを抱いている私は魂を震わせながら行ってきました。

動物、植物、菌類、そして鉱物や人工毒など、自然界のあらゆるところに存在する毒について、動物学、植物学、地学、人類学、理工学の各研究分野のスペシャリストが徹底的に掘り下げ、国立科学博物館ならではの視点で解説していきます。毒をテーマにした特別展は、国立科学博物館では初めての開催となります。

特別展「毒」<オフィシャルHP>より抜粋 https://www.dokuten.jp/

展示の中で一番面白いと感じたのは、擬態の話。
擬態には色々種類があるのですが、この展示では「ミューラー擬態」と「ベイツ擬態」の解説がされていました。

特別展「毒」より

ミューラー擬態とは?

複数の有毒生物種の外見が似る現象です。
ここでの擬態の目的は、自分が危険だということを周囲に知らせて、天敵から身を守る、いわば「守り」のための擬態です。違う種類の虫どうしでも外見が似てくることをミューラー擬態と言います。この画像では、ナナホシテントウ、ヒメアカホシテントウ、ナミテントウの関係がミューラー擬態の例として挙げられています。(上記の3種はアルカロイドという毒を持ち、身の危険を感じると黄色い液体のアルカロイドという毒を出します。)

ベイツ擬態とは?

無毒の生物が有毒生物に似た外見をもつ現象。
この擬態の目的も、自分が危険だということを周囲に知らせて、天敵から身を守る、いわば「守り」のための擬態なのですが、この擬態はミューラー擬態と違い、本当は毒を持っていないのに、毒を持っていそうな外見をすることで天敵を欺く擬態方法です。この画像では、ナナホシテントウとクロバシツツハムシ、ヒメアカホシテントウとヘリグロテントウノミハムシ、ナミテントウとヨツボシケシキスイの関係がベイツ擬態の例として挙げられています。

で、ここで注目したいのがこの虫

はい、ここでベイツ擬態の例として挙げられている「ヨツボシケシキスイ」に注目してみます。

えっ君はこの外見でナミテントウに似ているとでも思っているの!!?


もうちょっと…ちゃんと擬態しなよ…
似てねぇよ!!全然似てねぇよ!!
せめてフォルムを似せてくれないと!!
もっとナミテントウはまるっとしてるでしょ??あなたのフォルムはまるでクワガタのメス!!
これで誰が騙されるの??ここまで似ていないとナミテントウにも失礼じゃないか??ナミテントウ側も「あいつ全然似てねぇ」って思っているよ!!?

と一通りツッコミ終えたところで、冷静になって考えてみた。

そしたら、
もしかしたら、
ヨツボシケシキスイは自分なんじゃないか
と思えてきた。

自ら毒を持つわけではなく
毒を持つヒーローに姿だけでも似せようとするものの
その姿すら似ない

かたや、

何者かになろうとするものの
武器があるわけではなく
武器があるふりすらできていない

なんて滑稽なんだ。全然バカにできない。
僕はヨツボシケシキスイだった。
毒がないことがばれないうちに
早く毒を作れるようにならないと。

華麗な毒をもつナミテントウは鯛…
お前に華麗なんて言葉が似合うと思うか
お前は転倒虫だ
何回転んでも起き上がってこいよ

という魚住ならぬ虫住の言葉が聞こえてきそうだ…

#今こそ学びたいこと #毒 #特別展 #国立科学博物館 #科博

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?